なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

公民館

2020年04月04日 | 仕事

が、とうとう4月中かなりの期間休館になるとの事。今日は太極拳サークルがあったのだが、そもそもサークル活動をやっているのが我々のみ・・・・。いよいよヤバくなってきた感。

 それにしても、日本の感染状況は面白い。というと、顰蹙だけども、未だ感染者0の県が3つもある(4/4時点)し、1日当たりの新規患者が3桁にようやくなったのが東京のみ(4/4時点)というのは、諸外国と比べるとメチャクチャ少ない。ずうっと状況を観察してて、成程なあ、と思う事について。ウイルスに関するABC予想。どなたかこの仮説を証明していただけないでしょうか?

 というのは、自分は獣医で、従って、家畜の伝染病については発症に対する対応その他、割と知っているから。ので、今の対策って、世界的に片手落ちだよ、と感じているのだ。

 家畜の場合、法定伝染病が出ちゃうと、それに対する対応は一つしかない。つまり、殺処分ですわね。だから、とにかく伝染病の病原体(ほぼウイルス)を畜舎内に持ち込まないことが重要で、その件について、酪農家さんや養豚・養鶏業の方たちは常にピリピリしている。人間が持ち込まない対策の第一はなにかというと、手洗いもそうだけど、むしろ、足。というか、靴。

 家畜伝染病が発生すると、トラックのタイヤ等の足回りの消毒・畜舎の敷地出入り口に石灰・畜舎出入り口に消毒薬の踏み込み槽・あるいはそこで靴&服の履き替え着替え、それに追加して手洗いと。こういう対策が基本なんです。なるべく、こうした事を普段から励行して、伝染病が出た時に慌てないようにする。

 で、これ、人間で全くやってないでしょ。広がるに決まってますよ。

 ところが、日本人は、これを普段からやってるんですよね。つまり、玄関で靴脱いで上がりましょう、でスリッパ履いて、という一連の「なんとなくやってる」習慣が、かなりウイルスを防いでいる可能性が高い。

 欧米はここが全くダメ。なぜなら、土足で家に上がり込んでいるから。きったない街中をどすどす歩いた靴でそのまま室内に踏み込んでる。あっちの家は絨毯敷きが多い。土足で汚れた絨毯に超強力な掃除機をかける。排気が舞い上がる、中にウイルスが仕込まれてたら、軽~~~く吸い込んじゃいますよ。その結果、発症してしまう。

 海外旅行程度でウイルス感染するなんて変だ、と思ってた。でも、ホテルは土足だし、客室に掃除機かけまくってるんだもの、そりゃあ感染しますわ。だから、帰国者でも、住んでいた人はあまり感染したという話を聞かない。住んでた人は、おそらく海外でも、帰ったら靴脱いで、という日本式生活様式を保っている人が多いんじゃないかな。だから、感染しにくいのだ。クルーズ船もそう。掃除したせいで、ウイルスが広がった、可能性が高い。

 だから、欧米でいくら手洗いだ・マスクだ、とやってもドンドコドンドコ広がっちゃうわけ。対策のピントが外れている。

 あとは例えば、イタリアだけども。イタリアに一回行って呆れたのは、あの人たちのお喋り好きは度を越しとる、こと。ちっさいテーブルを囲んで何時間もべらべらやってる。よく喋ることがあるなあ、と。切符を買うだけで、切符売りのオジサンと10分はペラペラしてる。だから広がった。

 それから、同じ感染でも発症するしない、重篤度が極端に違う理由。やっぱりある程度規則性がありそうだと。ウイルスの暴露数によるのではないか。1~1000~10000~1000000、一回に暴露するウイルス量が少なければ、まあまあ発症せずに済む。ウイルスに対する抗体は、だーれも持っていない、だから、こいつ病原性があるじゃないか、なんとかせにゃ、と抗体をつくってなんとかするための時間的余裕は、一回当たりに暴露したウイルス数に反比例するはず、なんです。ウイルス量が多いほど、時間の余裕はなくなってしまって重症化する。例えば狂犬病。これもウイルス疾患で、発症したらまず助からないのだが、この病気は咬まれてうつる。狂犬病の動物に咬まれた時真っ先にやるべきことは、傷をガンガン水で洗浄して、傷に含まれるウイルス量をなるべく減らす事なんです。それから、何回も何回もワクチンを打って、抗体を山ほどつくってウイルスに対抗する。

 体に入り込む病原体は少ないほどこっちに有利なんですよね。志村さんは、そこをミスった。かなり大量に吸い込んじゃったんじゃないか。

 それに追加して、宿主である、こちらの状況が加わる。スポーツ選手って、実はあまり病気に強くない。体を普段から酷使しているから、リカバリーに能力を使っちゃってるんですね。あと、おそらくなにかと靴を履き替えることが多いから、感染の可能性が増える、という事ではないか。あとは、年寄り・子供・基礎疾患持ち。当たり前ですけどね。志村さんは酒を飲んでた(だろう)が災いした、おそらく。アルコール代謝に能力を使っちゃって、ウイルスに対抗するパワーが落ちたんでしょう。

 だから、「3密を避ける」のが間違ってるわけじゃないし、手洗いも当然ですけど、それに追加して、「靴裏注意!!靴裏はハイターで消毒!」というのも付け加えていいと思う。欧米なら、「靴脱いで家に上がれ」という習慣づけをした方が絶対良い、と思うんです。どなたかWHOに言ってやってくださいよ~~。

 あと、公衆衛生の専門家は我々獣医師です。感染症専門医だけだと、見落としが絶対に出ます。獣医も検討会議に参加させるべきです。

コメント
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