【歴史的名盤CD選集】
~ウクライナ出身の名ヴァイオリニスト レオニード・コーガンのブラームス:ヴァイオリン協奏曲ほか~
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
ラロ:スペイン交響曲
チャイコフスキー:憂鬱なセレナード
ヴァイオリン:レオニード・コーガン
指揮:キリル・コンドラシン
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
CD:EMIミュージック・ジャパン QIAG‐50093
レオニード・コーガン(1924年―1982年)は、旧ソ連・ ウクライナ出身の名ヴァイオリニスト。現役時代は、同郷のヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフ(1908―1974年)の陰に隠れて知名度では一歩譲ってはいたが、その実力では甲乙つけがたい存在であった。モスクワ音楽院で学んだが、1936年に演奏旅行でソ連に来たジャック・ティボー、ヨーゼフ・シゲティに絶賛され、将来を嘱望された。1941年、このCDに収録されているブラームスのヴァイオリン協奏曲をモスクワ音楽院大ホールにおいて、モスクワ・フィルと共演し正式なデビューを果たす。1951年ブリュッセルの「エリザベート王妃国際音楽コンクール」において、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏し優勝。その後、世界的な演奏活動を展開。旧ソ連政府から、1955年に名誉芸術家、1964年にソ連人民芸術家に選ばれ、1965年にはレーニン賞を受賞した。このCDのブラームス:ヴァイオリン協奏曲は、鋼鉄のような力強さに裏打ちされた一分の隙もない技巧的に完璧な演奏に圧倒させられる。一方、ラロ:スペイン交響曲では一転し、澄んだ音色のヴィブラートを存分に駆使し、ロマンの香り豊かな演奏を聴かせる。最後のチャイコフスキー:憂鬱なセレナードは、民俗色豊かな暖かい雰囲気に包まれ何とも心地良い。(蔵 志津久)