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★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇堀米ゆず子のシベリウス/メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲

2008-06-07 10:07:04 | 協奏曲(ヴァイオリン)

シベリウス:バイオリン協奏曲
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲

ヴァオリン:堀米ゆず子
イヴァン・フィッシャー指揮/コンセルトヘボウ管弦楽団

CD:CBS/SONY RECORDS 30DC5111

 堀米ゆず子のヴァイオリンは、繊細でいて、しかも情感のゆれの表現が巧みなところが魅力で、今の若いバイオリニストがなかなか引き出せない情景を描ききる。しかも、ばねのような強靭さも持ち合わせている。シベリウスとメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲は目いっぱいにバイオリンを鳴らす演奏が多い中、堀米ゆず子は曲そのものの中に入り込み、表面的でない何かを探り出そうとしているかのような、心の奥底からの共感に基づいた演奏となっている。このCDの録音は1988年と今から20年前だ。

 堀米ゆず子は1980年に日本人として初めてエリザベート国際コンクールで優勝し、その後マールボロ音楽祭など海外での活躍が中心で、現在ベルギーに在住している。このこともあり、最近の知名度は日本ではあまり高いとはいえないが、その実力のほどは現役の日本人のヴァイオリニストとして屈指の存在となっている。今後、さらなる日本での演奏会活動を期待したいところだ。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇チー・ユンのメンデルスーゾンバイオリン協奏曲

2007-12-11 20:22:46 | 協奏曲(ヴァイオリン)

メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調
ヴュータン:バイオリン協奏曲第5番イ短調

演奏:バイオリン=チー・ユン/ヘスス・ロペス=コボス指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

CD:日本コロムビア COCO‐78913

 このCDはチー・ユン若かりし頃の名演盤。メンデルスゾーンを弾くチー・ユンは、実に若々しい演奏で、曲想に正にぴったりとした演奏だ。のびのびとしていて、女性ならではの感性をちりばめ、豊かにメロディーをうたっていく。メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲はこんな演奏だと一段と見栄えが良くなる。何か人生の花の部分が開花して、これからの浮き立つような未来を見通してるような感じがする。ヴュータンのバイオリン協奏曲第5番も抑制の効いた伸びやかさが引き立つ。オーケストラと一体化して演奏する様子が好ましい。(蔵 志津久)

http://www.hmv.co.jp/news/article/511140103

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◇クラシック音楽◇五嶋みどりのシベリウス:バイオリン協奏曲

2007-11-20 22:20:05 | 協奏曲(ヴァイオリン)

シベリウス:バイオリン協奏曲

ヴァイオリン:五嶋みどり 
    
指揮:ズービン・メータ

管弦楽:イスラエルフィルハーモニック管弦楽団

CD:米ソニーミュージック  

 シベリウスは今年没後50年に当たる。日本で人気があるシベリウスの曲といえば交響曲とこのバイオリン協奏曲であろう。ここで五嶋みどりは神経力のすべてを投入して、迫力のあるメリハリが効いた名演を聴かせている。あたかもバイオリンにシベリウスの魂が乗り移ったかのような感じがして、やはり只者のバイオリンにストではないという印象を聴く者に与えずにはおかない。ズービン・メータの指揮も陰影に富んだ、シベリウス特有の澄んだメランコリックな雰囲気を巧み演出している。みどり&メータの組み合わせは最上のバイオリン協奏曲を創りだす。  
 
 五嶋みどりの演奏を聴いていると、誰かに似た演奏だなと思えてきた。そうだ、ジネット・ヌブーに共通する強靭な精神性と曲の構成力の確かさが、みどりの身上となっていると感じられる。ジネット・ヌブーは早熟の天才バイオリニストであったが、みどりも早くからその天分を世界の聴衆に証明して見せた。そして、この2人の共通点はしなやかなバネのようなバイオリン使いにあると思う。この結果聴き終わった印象は、力で弾きまくったというよりは、バイオリンの持つ可能性を十分に引き出したという方が強い。  
 
 現在、五嶋みどりは子供たちの音楽教育に力を入れているようである。この辺もただのバイオリニストとはちょっと違うなという感じがする。この先みどりの演奏はどのような変貌を遂げていくのであろうか。今度は歳をとった五嶋みどりの演奏を聴いてみた意気がする。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇ズカーマンのベートーベン:ロマンス第1番/第2番

2007-09-01 21:02:56 | 協奏曲(ヴァイオリン)
ベートーベン:ロマンス第1番/第2番、その他

演奏:バイオリン=ズカーマン/ズカーマン指揮セント・ポール室内管絃楽団

CD:日本フォノグラフ 32CD-620

 べトーベンのバイオリンと管弦楽の作品であるロマンスは第2番の後に第1番が作曲された。これは後年の研究によるため。第2番は1789年に作曲された、アンダンテ・カンタービレの指定を持った大変流麗な曲で、人気が高い。全曲が文字どうり歌うように構成されているので、バイオリンが持つ神経質なところが弱められ、大変聴き心地がよい。一方第1番は1800年頃の作曲とされている。第2番と対を成す作品で、全体的に第2番と印象は変わらない。だだ、第1番の方が力強さがあり、その後のベートーベンの作曲を暗示するようでもある。バイオリンの演奏と指揮はズカーマンであるが、正に“ロマンス”の持つ優美さと芯の強さの両方を表現できる数少ない演奏家であるといえる。このくらいロマンスの持つ美しさを奏でられると、他の奏者がこれを超えることがなかなか困難になる、と考えたくなるほどだ。
(蔵 志津久)

http://www.fstrings.com/player/detail.asp?id=46
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◇クラシック音楽◇クライスラーのブラームス・バイオリン協奏曲

2007-05-31 22:07:35 | 協奏曲(ヴァイオリン)
ブラームス:バイオリン協奏曲
       ジョン・バルビノー二指揮 ロンドン交響楽団
パガニーニ:バイオリン協奏曲第1番
       ユージン・オーマンディ指揮 フィアデルフィア交響楽団
クライスラー:バイオリン小曲集

バイオリン:フリッツ・クライスラー

CD:英Biddulph Recordings

 フリッツ・クライスラーはバイオリンの小曲の作曲者としてよく知られているが、もともと一流のバイオリン奏者であった。自作をはじめとした小品を弾いたレコードは比較的出回っているので聴いた方も少なくないであろう。このクライスラーがブラームスの大曲、バイオリン協奏曲を弾いたらどうなるか。結論から言うと今まで聴いたことのないようなブラームスのバイオリン協奏曲に仕上がっている。普通の奏者ならブラームスらしい燻し銀のような雰囲気を醸し出すのだが、クライスラーは違う。あたかもシルクでつくられたスーツとでも言おうか、一音一音に輝きがあり、いつものブラームスとは別世界だ。あるものに別の角度から光を当てると、まるで別のもののように映るのと似ている。新しいブラームス像が出現する。聴けば聴くほど引き付けられるCDではある。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC
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◇クラシック音楽◇ジネット・ヌヴー/べトーベン バイオリン協奏曲

2007-03-30 22:12:43 | 協奏曲(ヴァイオリン)
ベートーベン:バイオリン協奏曲ほか

バイオリン:ジネット・ヌヴー

演奏:ハンス・ロスバウト指揮/南西ドイツ放送管弦楽団

CD:ミュージック東京(MUSIC & ARTS CD-550)

 この実況放送の録音は天才女流バイオリニスト・ジネット・ヌヴーが飛行機事故で死ぬ1カ月前に録られたものだった。享年30歳。世界はなんとも惜しい才能を失ったものか。既に巨匠としての演奏スタイルを滲ませた堂々としたベートーベンのバイオリン協奏曲ではある。女性バイオリスト独特の優美さとずっしりとした構成力があいまって、聴くものに圧倒的な感動をを与えずにはいられない。もし彼女が飛行機事故で死ななかったなら、必ずや世界のバイオリニストの頂点に立っていただろう。ただ、比較的音の良い録音(もちろん不満は残るが)を残していって置いてくれたことだけが幸いなことといえる。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8C%E3%83%B4%E3%83%BC

 
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◇クラシック音楽◇ヤッシャ・ハイフェッツ/バイオリン協奏曲集

2007-03-06 20:54:57 | 協奏曲(ヴァイオリン)
①シベリウス:バイオリン協奏曲
②チャイコフスキー:バイリン協奏曲
③グラズーノフ:バイリン協奏曲

バイオリン:ヤッシャ・ハイフェッツ

演奏:トーマス・ビーチャム指揮/ジョン・バルビノーニ指揮/ロンドン交響楽団

CD:英国EMI=CDH 7640302

 ヤッシャ・ハイフェッツはバイオリンをいとも簡単に弾きこなすバイオリンの名手でありながら、技巧だけに溺れることがない。筋肉質ですっきりした中に、音楽を愛して止まない姿勢を感じられるところが好きだ。現在のあまりに聴衆に媚び過ぎたバイオリンの演奏家とは一線を隔する。西条卓夫氏の快著「名曲この一枚」(文芸春秋社刊、1964年7月発刊)の中で同氏は、ハイフェッツのシベリウスのバイオリン協奏曲の演奏について「やや業師的だが、殊のほか明快緻密で逞しく、北欧人としての血の共感にも満ちている。特に冷徹な叙情性が快適だ」と書いている。正にハイフェッツの本質を捉えた文章だ。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%84
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