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★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇カスリーン・フェリアのシューマン/ブラームス/シューベルト歌曲集

2008-09-01 09:28:01 | 歌曲(女声)

シューマン/ブラームス/シューベルト歌曲集

コントラルト:カスリーン・フェリア
ピアノ:ジョン・ニューマーク/フィリス・シュプール/ベンジャミン・ブリトゥン

CD:独DECCA 433 471-1

 カスリーン・フェリア(1912-1953年)は、英国の著名なコントラルト(アルト)。ブルーノ・ワルターに見い出され、ワルターと競演したマーラー「大地の歌」は有名なレコードで、シューマン/ブラームス/シューベルトの歌曲集のレコードも、ワルターがピアノ伴奏した盤があるが、これは3人のピアノ伴奏によるもの。最初はシューマンの「女の愛と生涯」で、このCDの中心をなしている。普通「女の愛と生涯」はソプラノかメゾソプラノのよって歌われるのを我々は聴きなれているので、コントラルトの「女の愛と生涯」を聴くと最初、異質な感覚に捉われる。しかし、聴きこんでいくうちに「女の愛と生涯」の別な側面を見せられるようで、聴き終えて新しい発見といった気持ちにさせられる。安定した光沢のある、心に残る魅力ある歌声で、ソプラノを聴きなれた耳には特に新鮮に聴こえる。

 フェリアの声の特性により合うのがシューベルトのリートだ。存在感のあるコントラルトの歌声は、シューベルトの歌を寄り深く、大きな空間へと導いてくれる。ソプラノやメゾソプラノでは、こんな奥行きのあるシューベルトはなかなか表現できないであろう。そして、フェリアの歌声は聴くものを包み込んでしまうような包容力を秘めており、改めてその魅力に引き込まれる。このCDの最後に、「きよしこの夜」「神の御子は」の2曲のクリスマスキャロルがオーケストラ伴奏で収められているが、これもフェリア
の歌声で聴くと一層奥行きが広い世界を感じることができる。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇クリスタ・ルートヴィッヒのマーラー歌曲集

2008-08-13 14:24:48 | 歌曲(女声)

マーラー:歌曲集「さすらう若人の歌」「亡き子をしのぶ歌」「リュッケルトの詩による5つの歌」
        「子供の不思議な角笛」

メゾ・ソプラノ:クリスタ・ルートヴィッヒ

指揮:サー・エードリアン・ボールト/アンドレ・ヴァンデルノート/オットー・クレンペラー

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

 クリスタ・ルートヴィッヒの歌声は、メゾ・ソプラノだけあって深みがある上、温もりも感じさせ、聴いていて自然と和やかな雰囲気に包まれる。低音から高音まで持てる音域が広く、表現力というか説得力は他のソプラノを決して傍に寄せ付けない。安心感を持ってしみじみと聴くことのできる歌手のナンバーワンかもしれない。そんなことから私はクリスタ・ルートヴィッヒはこれまで随分聴き込んできた。そんなルートヴィッヒがマーラーの歌曲を歌ったのがこのCDだ。

 私にとってマーラーの交響曲はちょっと近づきがたい存在である。何かエキセントリックなところがあって落ち着いては聴けない。スケールの大きさや哲学的な表現は凄いなあとは感じるが、身近に感じるかといわれるとノーになってしまう。ところがマーラーの管弦楽を伴った歌曲の私の印象はがらりと変わり、心の底から情愛に満ち溢れた好ましい存在に感じられる。至極ノーマルな感覚で、自然な佇まいが聴いていて好ましい印象を受ける。昔、フィッシャー・ディスカウが歌った「さすらう若人の歌」と「亡き子をしのぶ歌」が収められたLPを何回も何回も繰り返し聴いていたことが懐かしく思い出される。

 「さすらう若人の歌」と「亡き子をしのぶ歌」は、通常その内容からバリトンが歌うことが多い。前者が男性の失恋の歌、後者が子供を亡くした父親の心情が詠われているからである。このCDでのルートヴィッヒは何の違和感もなく2曲を歌い上げている。それは彼女の持つ、落ち付いたしみじみした雰囲気がそうさせているのであろう。この2曲以上に成功しているのが「リュッケルトの詩による5つの歌」である。マーラーの深遠な世界を見事に歌いきっている。ここでは抜粋であるが、全曲を収めた彼女の「リュッケルトの詩による5つ歌」のCDがあったら聴いてみたいものである。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇アーメリングのシューマン「女の愛と生涯」「リーダークライス」

2008-08-08 11:10:23 | 歌曲(女声)

シューマン:女の愛と生涯/リーダークライスOP39

ソプラノ:エリー・アーメリング
ピアノ:ダルトン・ボールドウィン
    イエルク・デムス

CD:日本フォノグラフ(PHILIPS) 17CD-78

 私はソプラノというとすぐにリタ・シュトライヒとアーメリングを思い出してしまう。アーメリングの歌声は、何者にも真似の出来ない、まろやかな、そしてなんとも伸びやかな世界が、幸せな空間を作り出す。このCDの録音は「女の愛と生涯」が1973年8月、リーダークライスが1979年4月と記録されている。

 シューマンは「女の愛と生涯」で女を、そして「詩人の恋」で男を、それぞれその内面に入り込んで実に巧みにその心情を描ききっている。これほどまでに人の心を描けるとは、ただその表現力といおうか、観察力には驚くしかない。「女の愛と生涯」ではアーメリングは美しく、そして愛らしい彼女の持つ本質的な美的感性を思う存分花広がせている。こんなに伸びやかに美しく歌い上げた「女の愛と生涯」はあまり聴いたことがない。

 一方、リーダークライスの方は、6年間という間があるのか「女の愛と生涯」ではみられなかった深みのある歌唱に脱帽してしまう。シューベルトの歌曲のようにシューマンの歌曲も人生の辛い部分が曲に反映されることが多いが、そんな難しい表現もアーメリングはらくらくとこなす。陰影に富んだ、そして深く考え込むような場面でも、アーメリングの声は、彼女の持つ本質的な透明感でリスナーに決して不快感を与えはしない。ピアノ伴奏のダルトン・ボールドウィンはアーメリングとの息の合った演奏スタイルが素晴らしく、イエルク・デムスはシューマンの世界を巧みに表現して、アーメリングの歌声を一段と高めている。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇金子みすゞ童謡曲集(浜圭介作曲)

2008-07-30 19:02:05 | 歌曲(女声)

みすゞのうた(金子みすゞ童謡曲集=作曲:浜圭介)

ソプラノ:佐藤しのぶ
テノール:佐野成宏
佐渡裕指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団

CD:エイベックス・マーケティング AVCL-25160

 金子みすゞ(明治36年4月―昭和5年3月)は、たった26歳でこの世を去った天才童謡詩人である。デビュー当時西条八十に「若き童謡詩人中の巨星」とまで賞賛された類まれなる才能を持っていたが、わずか26年の生涯は大変不幸なもので、その生涯を読むだけでも気が滅入ってしまうほどだ。しかし、作品自体はまったく彼女の人生とは異なり、明るい、夢に満ちた、誠に美しい童謡に仕上がっている。一般に童謡というと子供向けということになるが、彼女の童謡は童謡の範疇を超え、大人が読んでもその意味する事柄に深く共鳴することができる。東京・築地の泉岳寺の掲示板にみすゞの詩が掲げられ、道行くすべての人に無言で語りかけていたのを思い出す。みすゞの手にかかると日本語が生き生きと輝き出す。日本語ってこんなに美しい言葉だったんだと改めて思い知らされる。モーツアルトの手にかかるとたちまち五線譜が輝くと同じように、みすゞの手にかかると日本語は圧倒的な表現力を発揮する。弱い力かもしれないが、人々の心の中に入り込むと強靭な力となる。

 以前、同じ職場で一緒に働いていた女性に金子みすゞについて聞いてみたところ、よく知っていたようで大変嬉しく感じたことがあった。みすゞの詩に共感するもの同士は、何か一体感みたいなものを感じる。ところで、金子みすゞは西条八十に激賞され名前が知れわたったが、その後何故か人々から忘れ去られてしまった。それを長年にわたる努力で再び広く世に紹介したのが矢崎節夫氏である。徐々にマスコミに取り上げられ、詩集も出版されて、現在では書店に行けばたやすく金子みすゞの詩集を買えるようにまでなった。これまで、何人もの作曲者によってみすゞの詩に曲が付けられてきたが、今回、浜圭介氏によって決定版ともいえる曲が付けられ、発売されたのがこのCDである。

 童謡のCDはあまり聴く機会がないが、このCDは単なるものめずらしさでなく、みすゞの詩を素直に曲としてまとめ、愛唱歌として後世に残せるような充実した内容となっている。浜圭介氏はこのCDのライナーノートにこんな文章を寄せている。「金子みすゞさんの詩は何と素直な詩でしょう。ひとつひとつの言葉の中に美しさと優しさと情が素直に表現されている。私はただひたすらにみすゞさんの思うままに自由にメロディを書かせてもらいました。生きている事がこんなにも素晴らしいと思った事はありません」。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇リタ・シュトライヒのドイツ歌曲集

2008-07-26 08:17:45 | 歌曲(女声)

ドイツ歌曲集(シューマン:くるみの木他/ブラームス:子守歌他/リヒャルト・シュトラウス:子守歌他)

ソプラノ:リタ・シュトライヒ
ピアノ:ギュンター・ヴァンセンボルン

CD:ポリドール POCG-2135

 リタ・シュトライヒ(1920-1987年)が全盛時代にはその名声はすさまじいものがあった。ラジオから流れてくるソプラノの声というとリタ・シュトライヒが圧倒的に多かった。ソプラノといってもコロラトゥーラソプラノなのでリスナーの受ける印象は普通のソプラノの何倍にも達する。まるで鳥がきれいな声で鳴いているような印象で、さらに安定した音程、技術的な高さ、どれをとっても一流だし、誰でもその実力を認めざるを得ないといった、一際抜きん出た存在であった。1959年に来日しているのでご覧になった方もおられると思うが、容姿端麗でオペラなどでも華を添えたという。

 このCDは1961年録音の“歴史的名盤シリーズ”と銘打ってあり、音質には期待できないだろうと聴いてみるとびっくり。現役のCDでも通じそうな鮮明な録音となっているのでありがたい。曲目はドイツ人であるリタ・シュトライヒの十八番のドイツ歌曲なので十分に堪能できる。特にブラームスとリヒアルト・シュトラウスの2人の子守歌は他のCDでは聴くことが出来ないほど、情感に溢れた名演となっている。全体的にこれらドイツ歌曲の真髄を余すところなく歌い上げ、聴くものを感動させる。また、ピアノのヴァイセンボルンの名伴奏振りも、このCDの価値を高めている。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇アンナ・モッフォのラフマニノフ:ヴォカリーズ他

2008-07-10 11:05:22 | 歌曲(女声)

カントルーブ編:オーヴェルニュの歌
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番
ラフマニノフ:ヴォカリーズ

ソプラノ:アンナ・モッフォ
レオポルド・ストコフスキー指揮/アメリカ交響楽団

CD:RCA(BMG VICTOR)B20D-30048

 アンナ・モッフォは一般にもその名を轟かした米国のソプラノであるが、残念なことに06年3月に他界された。RCA会長であったロバート・サーノフ氏と再婚し話題を集め、両親がイタリア系の出身の関係でイタリアのテレビ番組で司会者を務めたりした。また、イタリアで最も美しい女性の10人に選ばれなど常に音楽以外でも脚光を浴びる存在であった。このことは日本にも伝わり、そのレコード/CDは発売される度に注目を集めていた。通常、このように音楽以外に華やかな話題を集めるアーティストは実力が伴わないのが常であるが、アンナ・モッフォの場合はまったく違う。その透明な歌声の素晴らしさは群を抜いていた。

 このCDでは民謡をアレンジしたカントルーブの「オーヴェルニュの歌」とヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ第5番」などが収められた個性あるCDとなっている。ここでもアンナ・モッフォは持ち前の伸びやかで透明感のある歌声を披露する。これを支えるストコフスキーの指揮ぶりも見事に決まっている。カントルーブはフランスの、ヴィラ=ロボスはブラジルの、長くその地で歌い継がれてきた曲を題材に選び、編曲して見事に演奏会用の音楽に昇華させている。特にヴィラ=ロボスは民謡をバッハ風のアレンジで再現してみるという破天荒な試みを行い、見事成功させた。昔のNHKのクラシック音楽の番組ではしょっちゅう“ブラジル風バッハ”が放送されていたが、最近では聴く機会が少なくなってきたのは寂しい限りだ。

 このCDの最後に収録されているラフマニノフの“ヴォカリーズ”の出来栄えは、あらゆるヴォカリーズの録音の中で最上位に挙げられると思う。物悲しい、何かを訴えるようなラフマニノフメロディーは、あらゆるジャンルの音楽の中でも人類が生み出した最も優れた音楽の一つだと私は確信している。その数ある演奏中で、このアンナ・モッフォ/ストコフスキー盤はトップにあるといってもいい。人類は今、繁栄を謳歌する先進国の対極に、子供たちがその日の食事代を稼ぐために学校にも行けないという多くの国があるという現実を抱えている。また、先進国は自分たちのかけがえのないすみかである地球を自ら手で破壊しつつある。先ごろ開催されたサミットの会場で、会議を始める前に各国首脳にこのラフマニノフのヴォカリーズのCDを聴いてほしかった。アンナモッフォの歌声は壊れいく地球そのものの悲鳴に聴こえるし、学校に行けない子供たちの訴えにも聴こえる。そうすれば、あんなのんびりした会議の結論にはならなかったはずだ。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇世界的名ソプラノ:喜波貞子の復刻版CD「わすれないで、私を」

2008-04-29 17:43:54 | 歌曲(女声)

歌曲集「わすれないで、私を」

 ソプラノ:喜波貞子

CD:ビクターエンタテインメント/アートヴィレッジ VXCD-1001  

 08年2月に、松永伍一著「蝶は帰らず―プリマ・ドンナ喜波貞子を追って」の文庫本がウェッジ社から発売された。私はこの文庫本を読むまで喜波貞子という、蝶々夫人で有名な世界的なソプラノの存在を知らなかった。三浦環や関屋敏子は知っている人は多いだろうが、同世代でしかもヨーロッパでは三浦環より評価の高かったという喜波貞子の存在は、戦後忘れ去られてしまっていた。それを丹念な調査で掘り起こしたのが松永伍一氏であったが、残念ながら文庫本の発刊の後を追うように08年3月3日に他界された。

  喜波貞子は日本人とはいえ、4分の1だけ日本人の血が混じった日本人だが、1902年(明治35年)横浜で生まれ、大正9年渡欧し、ミラノでソプラノの勉強を始め、21歳(大正13年)のときリスボンで初演を行っている。この辺のいきさつについては松永氏の「蝶は帰らず」に詳しく紹介されているいるので一読をお勧めする。日本で一度忘れ去られた世界的名ソプラノが、ちょっとしたきっかけで再発見されるくだりは、まるで推理小説を読むような感じだ。文庫本の口絵の藤原義江と写っている写真(昭和12年頃、ベルリン)にも興味が引かれる。

  このCDは松永氏の労作が契機になり、SPレコードから復刻されたものだが、その多くが意外に今でも十分に観賞できる音質なのが嬉しい。これを聴くと、なるほど、当時世界的なソプラノ歌手であったことが裏付けられる。古い録音だが、そのチャーミングな歌いっぷりが伝わってくる。ヨーロッパで人気となった理由が分かるような気がする。特に、バッハ/グノーの「アヴェ・マリア」は、今聴いても第1に挙げられるほど素晴らしい出来栄えだ。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇グリーク/シベリウス/ラングストレム歌曲集

2008-01-01 11:18:28 | 歌曲(女声)
グリーク:歌曲集「山の娘」/ラングストレム:歌曲集(セメレ他)/シベリウス歌曲集(はじめての口づけ他)
 
ソプラノ:シーヴ・ヴェンベルイ

CD:東芝EMI CE-5495

 北欧の、とりわけリートは透明感溢れるすがすがしさが際立つ。このCDも、年の初めに聴いて、そんな感じがいい雰囲気を醸しだす。グリーク、シベリウスは日本でもよく聴かれるようになってきたが、まだまだ、一般的とは言いがたい。演奏会でもドイツ、イタリアそして僅かにフランスの歌曲が取り上げられることがほとんどだ。北欧のリートは感情をストレートに表現するというより、何か抑制のある素直な表現に好感が持て、日本の古来の和歌の世界に迷い込んだみたいな優雅な気分に浸ることができる。ラングストレムというスウェーデンの作曲家は知らなかったが、これもなかなかいい。ソプラノのシーヴ・ヴェンベルイは、フラグスタート張りの歌唱を聴かせてくれている。 (蔵 志津久)
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◇クラシック音楽◇クリスタ・ルードヴィッヒの歌曲アルバム

2007-06-09 22:11:24 | 歌曲(女声)
歌曲集:シューベルト、ブラームス、リヒアルト・シュトラウス、ウォルフ、シューマンその他

メゾソプラノ:クリスタ・ルードヴィッヒ

CD:仏EMI CMS 7 64074 2

 クリスタ・ルードヴィッヒは決して美声ではないが、温もりのある、そして人情味溢れる歌唱は、聴く者に深い感銘を与える。声のきれいな歌手や迫力のある歌手は掃いて捨てるほどいるが、淡々として滋味溢れる歌唱を聴かせてくれる歌手はそう多くはいない。その少ない歌手の中の一人がベルリン生まれのメゾソプラノ、ルードヴィッヒである。既に引退し今では生の声を聴くことはできないが、比較的多くの録音を残している。このCDは有名な歌曲を網羅した歌曲アルバムで我々が知っている曲が多いので楽しい。例えばシューベルトなどは普通の歌手が歌うと、何か冷たい、孤独の影が前面に顔を出すが、ルードヴィッヒが歌うとシューベルトもたちどころに感情のこもった、親しみやすい歌曲に変身を遂げる。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92
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◇クラシック音楽◇フラグスタートのシベリウス/グリーグ歌曲集

2007-05-29 21:06:36 | 歌曲(女声)
歌曲集:シベリウス/グリーグ/他

ソプラノ:キルステン・フラグスタート

CD:英DECCA 440 492-2

 キルステン・フラグスタートは一世を風靡したワグネリアン・ソプラノ。ノルウエーの紙幣に描かれたり、航空機の尾翼に肖像画が使われたりと、国民的な英雄であったことが分かる。日本であるなら、さしずめ美空ひばりといったところか。今の日本は米国一辺倒のきらいがあり、ヨーロッパでもせいぜい英国、ドイツ、フランス、イタリアまでの文化が紹介される機会が比較的多い。その一方で、今の日本人がノルウエーをはじめとした北欧の国々の文化に触れる機会は少ない。しかし、北欧の国々の曲は、日本に馴染みのある欧米諸国より日本人の感覚に合う。それは、このCDに収められたシベリウスやグリーグの歌曲を聴いてみれば直ぐ分かる。フラグスタートはワグナーのオペラ歌手ということで、歌曲はどうかという疑問はこのCDを聴いてみれば解消する。日本人にはイタリア式の大鑑巨砲主義的歌唱より、北欧のしみじみした歌曲の方がよく似合う。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88
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