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統合失調症の発症に関与する遺伝子の機能を解明=名古屋大学

2007年01月04日 | 脳、神経
 統合失調症の発症に関与しているとみられる遺伝子「DISC1」は、脳内の情報伝達にかかわるタンパク質の「適正配置」に重要な役割を果たしていることを、名古屋大医学系研究科の貝淵弘三教授と田谷真一郎助手らのグループが世界で初めて解明した。新しい治療薬の開発に道を開く成果として期待される。
3日付(現地時間)の米神経科学学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載される。

 DISC1は、イギリスの統合失調症が多発している家系の遺伝的解析から、発症に密接に関与していることが報告されていたが、具体的な働きは分かっていなかった。

 生物の神経細胞は木の枝のように分かれた複数の樹状突起(じゅじょうとっき)と1本の軸索(じくさく)を持っている。樹状突起が他の細胞から信号を受け取ると、軸索が別の細胞の樹状突起の方に伸びて神経回路を形成し、信号を伝える。軸索の伸びは、複数のタンパク質が軸索内の決められた場所に適正に配置されることによりコントロールされている。

 軸策が伸びる際、複数のタンパク質は「キネシン1」と呼ぶ貨車役のタンパク質に乗って軸索内を運ばれる。貝淵教授らは、ラットの脳の神経細胞を使い、DISC1がどのように働いているのかを分子レベルで調べ、DISC1は「積み荷」である複数のタンパク質を貨車に載せる「コンテナ」の役割を果たしていることを突き止めた。

 DISC1の機能が壊れると、軸索の伸びが抑制されて神経回路の形成に支障が起こり、発症すると考えられるという。貝淵教授は「現在の治療薬は、陽性症状には比較的有効だが、陰性症状にはほとんど効果がない。この研究を進めれば、陰性症状に対する新薬の開発につなげられる可能性が高い」と話した。

[中日新聞 / 2007年01月04日]
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070104/mng_____sya_____010.shtml


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