脊髄(せきずい)損傷の症状を、神経幹細胞の移植と抗てんかん薬の併用によって大きく改善させることに、奈良先端科学技術大学院大の中島欽一教授、あべ松昌彦研究員らがマウスの実験で成功した。後ろ脚のマヒしたマウスの7割が歩けるようになった。18日に広島市で開かれる日本再生医療学会で発表する。
神経幹細胞は、信号を伝えるニューロン(神経細胞)、そこに栄養を供給する細胞、神経を包むさやなどのもとになるが、脳や脊髄の損傷部では大半が栄養供給細胞になり、新たなニューロンはほとんど作られない。グループはこれまでに、抗てんかん薬として使われているバルプロ酸が、神経幹細胞のニューロンへの変化を促すことを発見した。
今回、脊髄の傷ついたマウスの損傷部に、遺伝的に同系の胎児マウスから採った神経幹細胞を移植し、バルプロ酸を注射すると、6週間後には21匹中、15匹が後ろ脚を使って歩けるまで回復した。幹細胞の移植だけでは後ろ脚は少し動くものの体重を支えられず、バルプロ酸だけでは、ほとんど動かないままだった。
詳しく調べると、神経幹細胞を移植してニューロンに変化するのは1%以下だが、バルプロ酸を併用すると約20%まで向上。断裂した神経回路を、新たな複数のニューロンがリレーするように再建していた。
あべ松研究員は「拒絶反応のない自分のiPS細胞(新型万能細胞)から神経幹細胞を作れば、有望な治療法になりそうだ」と話す。
(あべ=「木」偏に「青」)
[読売新聞 2010年03月09日]
http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20100309-OYO8T00213.htm
まだマウスレベルでの実験です。ですが、
将来、脊髄損傷で歩けなくなった患者さんが歩けるようになる。そういう治療法が確立するのならば、とても素晴らしいことですよね。その日が待ち遠しいです。
神経幹細胞は、信号を伝えるニューロン(神経細胞)、そこに栄養を供給する細胞、神経を包むさやなどのもとになるが、脳や脊髄の損傷部では大半が栄養供給細胞になり、新たなニューロンはほとんど作られない。グループはこれまでに、抗てんかん薬として使われているバルプロ酸が、神経幹細胞のニューロンへの変化を促すことを発見した。
今回、脊髄の傷ついたマウスの損傷部に、遺伝的に同系の胎児マウスから採った神経幹細胞を移植し、バルプロ酸を注射すると、6週間後には21匹中、15匹が後ろ脚を使って歩けるまで回復した。幹細胞の移植だけでは後ろ脚は少し動くものの体重を支えられず、バルプロ酸だけでは、ほとんど動かないままだった。
詳しく調べると、神経幹細胞を移植してニューロンに変化するのは1%以下だが、バルプロ酸を併用すると約20%まで向上。断裂した神経回路を、新たな複数のニューロンがリレーするように再建していた。
あべ松研究員は「拒絶反応のない自分のiPS細胞(新型万能細胞)から神経幹細胞を作れば、有望な治療法になりそうだ」と話す。
(あべ=「木」偏に「青」)
[読売新聞 2010年03月09日]
http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20100309-OYO8T00213.htm
まだマウスレベルでの実験です。ですが、
将来、脊髄損傷で歩けなくなった患者さんが歩けるようになる。そういう治療法が確立するのならば、とても素晴らしいことですよね。その日が待ち遠しいです。