慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市、冨田勝所長)の板谷光泰教授らのグループは、三菱化学生命科学研究所(東京都、関谷剛男所長)との共同研究で、分割した遺伝子をつなぎ合わせて遺伝子全体(ゲノム)を再構築する技術を開発したと、9日までに発表した。細胞内の遺伝子全体を抽出することが可能になる基盤技術で、ゲノムに関するさまざまな研究の効率を飛躍的に高めることができるほか、病気の治療や有益な物質を生産する微生物の開発などに応用できるという。
板谷教授によると、遺伝子には長さや大きさなど、一定のサイズがあるため、巨大な遺伝子全体を一度に引き出そうとすると、物理的に途中で切れてしまっていたという。このため既存の技術では、遺伝子の一部しか取り出すことができず、研究効果の実証などに一定の時間が必要とされてきた。
板谷教授らは、遺伝子全体を短く切り、枯草菌というバクテリア内にそれらの切った遺伝子を組み込みつなぎ合わせることで元の状態に復元、抽出する手法を考案。マウスのミトコンドリア(呼吸などに関与する細胞小器官)ゲノムと、イネの葉緑体ゲノムを用いて実験し、復元化を成功させた。この技術は、国際論文誌「ネイチャー・メソッズ」2008年1月号に掲載された。
板谷教授は「これまでは遺伝子の一部を取り出して利用していたが、この技術を用いると遺伝子全体を扱うことができるため、効率的に研究を進めることが可能」と解説。ミトコンドリアに起因する病気の治療法開発や、プラスチックの原料となる乳酸を多量に発生させるような有益微生物の開発などにも転用できるとしている。
[山形新聞 / 2008年01月09日]
http://yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200801/09/news20080109_0111.php
板谷教授によると、遺伝子には長さや大きさなど、一定のサイズがあるため、巨大な遺伝子全体を一度に引き出そうとすると、物理的に途中で切れてしまっていたという。このため既存の技術では、遺伝子の一部しか取り出すことができず、研究効果の実証などに一定の時間が必要とされてきた。
板谷教授らは、遺伝子全体を短く切り、枯草菌というバクテリア内にそれらの切った遺伝子を組み込みつなぎ合わせることで元の状態に復元、抽出する手法を考案。マウスのミトコンドリア(呼吸などに関与する細胞小器官)ゲノムと、イネの葉緑体ゲノムを用いて実験し、復元化を成功させた。この技術は、国際論文誌「ネイチャー・メソッズ」2008年1月号に掲載された。
板谷教授は「これまでは遺伝子の一部を取り出して利用していたが、この技術を用いると遺伝子全体を扱うことができるため、効率的に研究を進めることが可能」と解説。ミトコンドリアに起因する病気の治療法開発や、プラスチックの原料となる乳酸を多量に発生させるような有益微生物の開発などにも転用できるとしている。
[山形新聞 / 2008年01月09日]
http://yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200801/09/news20080109_0111.php