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高脂血症の治療薬で早起き?睡眠障害治療薬の開発に期待=産業技術総合研究所

2007年04月25日 | 薬理
 高脂血症の治療薬「フィブレート製剤」に、睡眠のリズムなどを刻む「体内時計」を調節する働きがあることを、産業技術総合研究所生物時計研究グループ(茨城県つくば市)などの研究チームが突き止めた。

 睡眠障害を持つマウスにこの薬を飲ませたところ、いつもより早起きし、正常マウスと同じように活動することがわかった。研究チームは今後、この治療薬を飲んでいる患者に早起きの傾向があるか調べ、睡眠障害の治療薬の開発につなげていきたいとしている。

 研究チームは、この薬を飲む時間帯と効き方との関係をマウスを使って調べた際、薬を飲むマウスが早起きになっていることに気付いた。薬を含むエサを食べたマウスは3時間ほど活動する時間帯が早くなり、起きる時間が遅くなる「睡眠相後退症候群」の症状を持つマウスに与えたところ、症状が改善したという。

 この薬が体内時計を調節する仕組みは不明だが、同研究グループの大石勝隆・主任研究員は「時差ぼけの改善などにも効果が期待できる」としている。

[読売新聞 / 2007年04月25日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070425it11.htm



【高脂血症薬、睡眠障害に効果?マウス、早寝早起きに=産業技術総合研究所、早稲田大学】

 高脂血症治療薬のフィブレートが、マウスの体内時計を早寝早起きに変えることを、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と早稲田大が突き止めた。まだ動物実験の段階だが、ヒトの睡眠障害の新しい治療薬として期待できるかもしれない。

 産総研の生物時計研究グループの大石勝隆主任研究員らは、ふだんは夜行性のマウスを使って、餌にフィブレートを0.5%混ぜて与え続けてみた。すると、2週間ほどで与える前に比べて活動時間帯が約3時間前倒しになり、明るい時間帯から活動を始めるようになった。常に真っ暗にするなど、光の条件などを変えても結果は同じだったという。

 遺伝子などを調べた結果、フィブレートの受容体である「PPARα」というたんぱく質が、体内時計を調整していることがわかったという。

 リズム障害や時差ぼけなど睡眠障害で悩む人は多い。同グループは今後、ヒトの体内時計への影響を調べれば、治療薬の開発につながる、とみている。

[朝日新聞 /2007年05月02日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200705010444.html



【フィブレート:高脂血症治療薬に体内時計調節の働き】
 血中のコレステロールや中性脂肪濃度を減らす高脂血症治療薬フィブレートに、生物の体内時計を調節する働きがあることを産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と早稲田大の研究チームが確認した。マウスはもともと夜行性だが、高脂血症治療薬を餌に混ぜて与えると、“早寝早起き”になった。夜眠れず、朝起きられないといった睡眠障害や、時差ぼけの改善薬の開発などにつながる成果だという。

 生物には時計遺伝子と呼ばれる一連の遺伝子群があり、その働きによって約24時間周期の体内リズムが保たれている。

 マウスの活動時間帯は通常、夜間に限られるが、フィブレートを餌に混ぜて与えると活動時間帯が約3時間前倒しされ、明るい時間帯から活動を始めるようになった。また、時計遺伝子が壊れ、活動開始時間が通常よりも遅い睡眠障害マウスに投与したところ、活動時間帯が正常化した。

 フィブレートは、脂質の代謝にかかわるPPARαと呼ばれるたんぱく質と結合する。PPARαには時計遺伝子を調整する働きがあり、結果的に睡眠障害が改善されるらしい。

 研究チームによると、国内では5人に1人が睡眠障害を持つと疑われる。治療法には、強い光を毎朝浴びる高照度光療法やビタミンB12の投与などがあるが、作用メカニズムは不明で、効果も個人差が大きいという。

 同研究所生物時計研究グループの大石勝隆主任研究員は「今後は、人への効果の検証などを進めたい」と話している。【石塚孝志】

[毎日新聞 / 2007年05月02日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070502k0000e040023000c.html


産業技術総合研究所 プレスリリース
■高脂血症治療薬による睡眠障害の新しい治療効果
 -フィブレート製剤による体内時計の制御-
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070425/pr20070425.html

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