シネマ見どころ

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「七つの会議」(2019年日本映画)

2019年02月13日 | 映画の感想・批評


 大ヒットしたドラマ「半沢直樹」や映画「空飛ぶタイヤ」の池井戸潤原作のオールキャストエンターテイメントである。最初から最後まで、“映画はこうでなくっちゃ!”ってノリノリで、その条件の、分かり易い設定(=単純明快)、美男美女のオールキャスト(=端役も容姿端麗)、話題性(=野村萬斎主演、池井戸潤原作)、大げさな演出(=言い争う際は顔が近く、顔の表情で気持ちを表す)が2時間続く作品ある。
 私はサラリーマンなので、営業部と経理部の仲が悪いや、営業1部は花形部署だが、営業2部はそうではないという構図は単純過ぎて、入り込めなかった。営業2部の売上が悪いのに、働く姿が全見えないのも気になった。主人公のぐうたら社員を野村萬斎が演じているが、歌舞伎調の口調や動作(歩く姿や立ち姿さえも歌舞伎調)をするのである。そんなぐうたら社員がいるだろうか。ちなみに、外見は、髭面、居眠り、ネクタイ緩々である。でも、背筋はピンと伸びている。挙句の果てに、心許せる元妻には、きちんと養育費は払うのである。「ぐうたら」になってしまった過去が明らかになり、単純なぐうたらではないことは証明されるが、想像の範囲内で、感情移入が出来ないまま、映画はラストへと進むのである。
 ラストの「不正は完全には無くならない」というメッセージは、あまり映画では観掛けない一歩引いた注釈シーンだったが、付け足した印象で、全体的に二番煎じ感が否めない作品であった。
 「半沢直樹」が大ヒットし、成功体験の“倍返し”を狙ったが、狙い通りには行かず?でも、それがオールキャストの陥りやすい点なのかも・・・。最近は、配役や原作といった話題性を全面に押し出す類の映画が多いような気がする。ヒットさせないといけないという命題を抱えた映画製作の難しさなのか。製作する側の苦悩が垣間見えると理解するのは勝手な解釈だろうか。
(kenya)

監督:福澤克雄
脚本:丑尾健太郎、李正美
原作:池井戸潤
撮影:公表データが確認出来ず
出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、藤森慎吾、朝倉あき、岡田浩暉、木下ほうか、吉田羊、土屋太鳳、小泉孝太郎、溝端淳平、春風亭昇太、立川談春、勝村政信、世良公則、鹿賀丈史、橋爪功、北大路欣也他