シネマ見どころ

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「冷たい熱帯魚」(2010 日本映画)

2018年10月10日 | 映画の感想、批評
1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにした映画。
この殺人事件は、日本の犯罪史に残る残虐極まりない事件で、当然それがベースとなっているのでとてもグロテスクな内容になっています。

園子温監督作品としては「エクステ」「奇妙なサーカス」「ミスズ」を数えて4作品目です。

当時の日本の映画賞を総なめにした村田を演じたでんでんさん曰く「台本を読んだ僕らでさえ、あれだけ枠からハミ出る映画になるとは思わなかった・・・」
そう言わしめる程、当然テレビの枠では作れない映画らしい映画になっていると思う。まず、観ていて思った事は吹越満さん演じる社本さんが時間が経つごとに壊れていく凄まじさ。でんでんさんの一人舞台になりそうなこの作品をがっつり組んで盛り立てている凄さ。さぞかし現場は緊張と演者のテンションⅯÅⅩ状態だったんだろうな。そう感じる作品です。でんでんさん演じる村田の「ボディを透明にする」と言うセリフには少し笑ってしまう。あと演出の凄さ、園子温監督はどうやって演者をこの世界に引き込んでいったのか・・・。勿論役者の力量あって、その引き出しを出す事が演出家であり監督の仕事ではあるのだけど、その辺の変態性も認められる一部なのだと思う。
ただ、あまり人にお勧め出来る映画では無い事は確かでありますが・・・。
そういえば、園子温監督とニコラスケイジがタッグを組む事がカンヌ国際映画祭にて発表されたらしい。内容的には文明崩壊後の世界を舞台にしたアクションスリラーで、ケイジ演じる悪名高き犯罪者が、闇の世界へ連れ去られた少女を救おうとするさまが描かれるらしい。
初めて英語劇を手がける園子温監督は「僕は最高にエキサイティングな気持ちで、映画の準備をしています・・・」との事。そして「この映画はハリウッドにおけるデビューだけでなく、僕のキャリアにおいても最高のものにしたい」と意気込みを語ったみたいです。
日本の鬼才を世界にしらしめて下さい。(CHIDU)

監督:園子温
脚本:園子温、 高橋 ヨシキ
撮影: 木村信也
出演:吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲、裴ジョンミョン、諏訪太朗、瀬戸夏実、山根和馬他