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「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」(2016年 アメリカ映画)

2017年01月11日 | 映画の感想・批評


 (注・ネタバレあり。できれば作品をご覧になってからお読みください。)
 どんどん広がる「スター・ウォーズ」の世界。ファンにとってはうれしいスピンオフ作品の登場だ。その名は「ローグ・ワン」。そもそも“ローグ”とは「はぐれ者」「反逆者」という意味があるが、すでに7作を数えるルークを軸とする〈スター・ウォーズ・サーガ〉の作品とは別の、初めてのアナザー・ストーリーであることや、幼いころ両親と離れ離れになってしまった主人公ジン(またまた女子!!)の存在はまさに”ローグ”そのもの。そしてこの粋な名前は、エピソード3と4の物語を繋ぐ重要な役割を果たした戦士たちのチーム名でもあるのだ。
 さて当時の世界とは・・・。「エピソード4・新たなる希望」の冒頭で流されるオープニング・クロールを復習してみるとよくわかる。つまりこの作品は「時は内戦のさなか。凶悪な銀河帝国の支配に反乱軍は秘密基地から奇襲を仕掛け、帝国に対して初めての勝利を収める。その戦闘の間に反乱軍のスパイは、帝国の秘密兵器の設計図を盗み出すことに成功。それは『デス・スター』と呼ばれ、惑星をも破壊するのに十分な威力を備えた、武装宇宙ステーションだった。」という中で語られていた、ファンならぜひ知りたかったデス・スターの設計図入手作戦を映像化したものなのである。
 スター・ウォーズシリーズの監督でもあり、「ローグ・ワン」のオリジナル原案者でもあるジョージ・ルーカスが、黒澤明監督のサムライ映画が大好きだったことはよく知られているが、ローグ・ワンのチームの面々も「七人の侍」や「隠し砦の三悪人」のキャラクターたちに通じるものがあるのは、日本人として嬉しいところ。正義のためなら自分の命もいとわないサムライ精神が随所に感じられ、戦闘シーンが多いにもかかわらず、哀感漂う作品に仕上がっている。そういえばギャレス・エドワーズ監督の前作は「GODZILLA ゴジラ」で、その成功で本作の監督に抜擢されたというから面白い。また多大なる犠牲の果てに、エピソード4に繋げるためにあの“時の人”を登用し「HOPE!」と言わしめたのも見事。
 ディズニーがルーカスフィルムを買収し、製作権利を得た「スター・ウォーズ」シリーズから、こういう優秀なスピンオフ作品が出てくるのは実に結構なこと。次なるアナザー・ストーリーの主人公はハン・ソロだとか?!これもまた楽しみだ。
 (HIRO)

原題:ROGUE ONE:A STAR WARS STORY
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:クリス・ワイツ、トニー・ギルロイ
撮影:グレイグ・フレイザー
音楽:マイケル・ジアッキーノ
主演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、ドニーー・イェン、マッツ・ミケルセン、チアン・ウェン、
   リズ・アーメッド、フォレスト・ウィテカー、K-2SO