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L.A.ギャングストーリー(2013年アメリカ)

2013年05月11日 | 映画の感想・批評
 戦後間もない頃にボクサーからのし上がりロサンゼルスを牛耳った実在のギャング、ミッキー・コーエン。その一味を一掃しようと立ち上がった警察官たちの物語である。コーエンはイタリア系のマフィアとは一線を画するユダヤ系だ。地元の判事、警察幹部や保安官を買収し、ますます増長する中で、警察本部長は主人公のオマラ巡査部長に組織の壊滅を命じる。ただし、あくまで非公式の隠密作戦だから警察バッジをはずして黒子として任務に当たれというのだ。何しろ警察内部はほとんどコーエンの息がかかっているため、秘密裏にことを進める必要がある。オマラが独自に選別した5人の警官はそれぞれひとクセもふたクセもある連中で、「七人の侍」をベースにしたのではないか(本部長を入れると7人になる)。
 それにしても、だ。久々に痛快なギャング映画を堪能した。とりわけ、驚いたのはカーチェース場面である。麻薬取引の現場を押さえた面々が逃走する車列を襲撃するシーンで、カメラは上空から2台の車を追い、徐々に追跡する車に近づくや、車のサイドに回り込み助手席から顔を出して前方の車を銃で狙い撃ちする警官を斜め前から捉える。その華麗なるカメラワークに唸ってしまった。この映画は、クレジットタイトルで確認したところ、カメラ3台で撮っていることがわかった。いったいこのルーベン・フライシャーという監督はどういう人だろう。既に2作ほど撮っているらしいが、この映画がメジャーのデビューといっていい。その演出のキレは鋭い。
 オマラ役のジョシュ・ブローリンもいいが、稀代の顔役に扮するショーン・ペンの悪逆非道ぶりは「犯罪王リコ」のエドワード・G・ロビンソン、「暗黒街の顔役」のポール・ムニ、「白熱」のジェームス・キャグニーに匹敵するほどだろう。それに正義の鉄槌を振り下ろそうとする本部長役のニック・ノルティが渋くていい。 (ken)

原題:Gangster Squad
監督:ルーベン・フライシャー
原作:ポール・リーバーマン
脚色:ウィル・ビール
撮影:ディオン・ビーブ
出演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴスリング、ショーン・ペン、エマ・ストーン、ニック・ノルティ