防衛局は、辺野古・設計変更申請最高裁判決の前から、美謝川切替工事や辺野古側への土砂仮置き工事等、本来なら設計変更申請が承認されないと施工できない工事を施工してきた。さらに最高裁判決の翌日(9月5日)、大浦湾の6件の護岸工事計画を発表し、うち4件は9月8日に入札公告を行った。
各新聞は、「防衛省前のめり」、「既成事実化、民意逆なで」等と批判しながらも、これらの工事が11月22日に開札予定なので、その後、契約手続きを経て大浦湾での工事が始まると報じている。
知事が最高裁判決を受けて設計変更申請を承認してしまうのか、あるいは不承認を続け、国が代執行の手続きに入るかはまだ分からない。しかし防衛局は、いずれかの方法で設計変更申請の承認が得られればすぐに工事に着手できるのではない。
2013年12月、仲井眞知事は埋立承認の際に、「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」等の留意事項を付した。今回、発注した大浦湾での護岸工事等は、県との実施設計協議が必要であり、すぐに工事に着手はできない。県との協議の結果、内容が変更になることもあり、今の時期に工事を発注したのは拙速に過ぎると言わざるを得ない。
また、今回の是正指示の取消しをめぐる関与取消し訴訟の福岡高裁那覇支部判決は、「承認等の申請に際し、--- 設計が依拠した地盤調査等の詳細にまで及んだ文書の提出は求められていない。--- 承認等の申請に対する審査の後に、実施設計を行う段階において、より詳細は審査又は協議が行われることが予定されている」(P79)として、知事が、B27地点でのボーリング調査が行われていないこと等を理由に設計変更申請を不承認したことを「裁量権の逸脱又は濫用に当たる」と判じた。
そうであれば、実施設計協議において、知事が詳細な審査を行い、B27地点でのボーリング調査を指示することもできるはずである。