昨日(9月11日・月)は、慌ただしい1日だった。
午後から夜にかけて、辺野古・最高裁判決について、県への要請・激励行動や記者会見、学習会等に追われていたが、昼過ぎ、県から、知事が今日付で、遺骨混りの土砂採掘で問題となった糸満市・熊野鉱山の土砂搬出道路の農地一時転用申請を許可したという電話が入った。
とうとう「魂魄の塔」横で鉱山の開発が始まってしまう。この3年間にわたって、具志堅隆松さんらと全力をあげて取り組んできた問題だけに、残念でならない。この問題については、後日、まとめて説明したい。
辺野古・設計変更申請をめぐる最高裁判決を受けて、知事には、「司法の最終判断に従い、変更申請を承認せよ」という圧力が強まっている。しかし、今回の最高裁判決は形式的な点だけから県の訴えを退けただけで、知事の不承認を「裁量権の逸脱・乱用で違法」としたものではない。
そこで知事に、あくまでも設計変更申請不承認を続けてほしいと、県内15団体が要請・激励書を提出した。
我々の要請内容は次の2点である。
1.設計変更申請を承認しないこと。
2.再度の設計変更申請不承認、埋立承認の再撤回の事由を検討するために、2015年、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置すること。
昨日(9月11日・月)、照屋秀伝反戦地主会会長や桜井国俊さんら、7団体の代表11名が、土木建築部統括監に要請書を手交した。この要請書の内容については、9月12日(火)、土木建築部長と話し合う予定だ。
(要請書提出後の記者会見)
(土建部統括監に要請書を手交)
夜は、今回の最高裁判決と今後の対応について、徳田博人琉球大学教授の学習会(沖縄平和市民連絡会主催)。8月31日に続いて2回目の学習会だが、今回は80名ほどの人たちが集まった。
徳田教授は、最高裁判決が何故、実体的判断を回避したのか等の問題点分かりやすく説明され、次のように結論された。
「今回の最高裁判決には、県民の命(安全性)にかかわる実質的判断・確定がない。また、(県、周辺住民の抗告訴訟等)他の訴訟は継続し、そこで裁決が覆される可能性がある。知事が、変更申請承認をするに熟していない。」
昨夜の学習会も、8月31日の学習会と同じように、後日、ユーチューブで公開するので、是非、ご覧ください。
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沖縄県知事 玉城デニー様 2023年9月11日
辺野古・設計変更不承認に係る関与取消訴訟の最高裁判決後の対応についての要請
設計変更申請を承認することなく、再度の不承認、又は埋立承認の再撤回で頑張ってください!
--- 私たち県民は、知事の毅然とした対応を支持し続けます。国の理不尽な攻勢に対して、知事と県民が一体となって、辺野古新基地建設を阻止するために粘り強い闘いを続けましょう。---
沖縄平和市民連絡会、沖縄環境ネットワーク、ジュゴン保護キャンペーンセンター、ガマフヤー支援者の会、PFAS汚染から市民の生活を守る連絡会、Okinawa Environmental Justice Project、反戦地主会、一坪反戦地主会、ヘリ基地反対協ダイビングチーム・レインボー、奥間川流域基金、嘉手納ピースアクション、本部町島ぐるみ会議、うるま市島ぐるみ会議、南風原町島ぐるみ会議、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会
日々、辺野古新基地建設反対のためにご尽力いただいていることに心から敬意を表します。
さて、県が提起した辺野古・設計変更申請不承認をめぐる2件の関与取消し訴訟に対して最高裁は、本年8月24日、国土交通大臣が不承認を取消した「裁決」の取消しを求める訴訟については「上告不受理」とし、さらに9月4日、「是正の指示」の取消しを求める訴訟についても、公有水面埋立法の承認要件の不充足性について何らの判断も示さず、県の訴えを退けました。公有水面埋立法が定める災害防止や環境保全への配慮については全く触れず、「行政庁の裁決は関係行政庁を拘束する」という形式論を並べたものにすぎません。知事は、「このような判決は、地方公共団体の自主性や自律性、ひいては憲法が定める地方自治の本旨をも蔑ろにしかねないもの」と批判されましたが、私たちも知事のこの見解に賛同します。
この最高裁判決を受けて、知事の対応には次の3つの選択肢があると言われています。
① 設計変更申請を承認する。
② 判決は受け止めるが承服しがたいので、県としてはなお設計変更申請を承認しない(その場合、国が代執行訴訟を提起するので、この訴訟で争う)。
③ 再度の設計変更申請の不承認、又は埋立承認の再撤回をする。
最悪の選択は、「行政の長として司法の最終判断に従う」として、設計変更申請を承認してしまうことです。この場合、大浦湾での工事が始まり、大浦湾の環境は壊滅的に破壊されてしまいます。南部地区からの遺骨混りの土砂搬送も始まるでしょう。県が、実質的に、「辺野古新基地建設反対」を県政の柱から降ろすことになり、辺野古反対運動もきわめて厳しい状況を迎えます。この選択だけは絶対に避けてください。
知事は8月25日の記者会見で、「技術的にも法律的にも県の判断は正しい」と強調されました。今回、設計変更申請を承認してしまえば、知事の従来の説明とも矛盾することになってしまいます。
今回の最高裁判決は、知事の不承認理由を否定したものではなく、基地建設の是非についての判断もしていません。そもそも、地方自治法は是正指示の判決を最終的なものとせず、さらに代執行の手続き等を定めていることからも、是正指示判決は、知事に承認を強制する効力はありません。知事は今回の最高裁判決の後も、設計変更申請を承認するのではなく、辺野古新基地建設を阻止するためにあらゆる手法をなお駆使して頑張っていただけるものと確信しています。
そして私たちは、知事が別理由による再度の設計変更申請不承認、又は埋立承認の再撤回が可能かどうかを検証するために、2015年当時、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置されるよう要請します。
設計変更申請の審査の過程で、県は防衛局に452件もの質問を出しました。しかし、防衛局の回答は全く杜撰なものでした。また、環境部からも89件の問題点を指摘した意見書も出されました。ところが県は、これらの問題のほとんどを、何故か、2021年11月の設計変更申請不承認の理由とはしませんでした。2021年の不承認理由は非常に少なかったのですから、それ以外の理由[1]で、設計変更申請を再度、不承認すること、また、新たに明らかになった事由で埋立承認の再撤回[2]することも可能です。
今回の最高裁判決は、あくまでも2021年11月の不承認理由に関する判断であり、別理由での再度の不承認や、まして、新たな事由による埋立承認の再撤回は、今回の最高裁判決に拘束されるものではありません。
9月4日の最高裁判決後、知事には、「最高裁判決に従い、設計変更申請を承認せよ」という圧力が強まっているものと思います。しかし、県民投票や3回の知事選の結果でも、辺野古新基地建設についての県民の民意は明らかです。私たちはあくまでも知事の毅然とした対応を全力をあげて支持します。
以上の立場から、下記のとおり要請します。
記
1.設計変更申請を承認しないこと。
2.再度の設計変更申請不承認、埋立承認の再撤回の事由を検討するために、2015年、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置すること。
(脚注は略)