「手間は取らせない。二、三、聞きたい事がある」
「何かしら?」
「この町に世にも珍しい女が居るって聞いて来たんだが、何でも魔女神になり損ねたとか言ってたっけな……」
リグレットはとぼけて言った。
とりあえず、マリスよりの考えの人間だと思わせないといけない。
「あら、妬けちゃうわね。あんなねんねがお好みなの?」
「ねんね?」
「ガキってことよ。小娘も良いところね。あれはまだ、男を知らないわね。あんなのがいいの?私なら、そういうシチュエーションでもやってあげるわよ。演技力の問題でしょ。あんなマグロ女より、断然、私の方が……」
「いや、そういう事じゃなくて、そのマヌケ面をちょっと拝んでみたいなと思ってさ」
「良いわね、後で案内してあげても良いわよ。――後でね」
リエンはおそらく、リグレットを使徒にするつもりなのだろう。
後でという事はそういう意味だと取れた。