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若きバスケットマンたちに夢のある話題がⅡ

2015-07-20 21:05:01 | basketball

五輪切符狙う日本バスケ界の“キング” 4年ぶり代表復帰の田臥勇太

産経新聞 7月20日(月)16時5分配信

 1976年モントリオール大会を最後に、五輪から遠ざかっているバスケットボールの男子日本代表。来年のリオデジャネイロ五輪は日本協会が国際連盟に科された国際試合出場停止処分の影響で、予選にすら出場できない“門前払い”が危惧されたが、男子2リーグ統合を実現した川淵三郎・日本協会会長らによる改革が評価され、処分解除にこぎ着けた。「チャンスが与えられたのは大きい。勝てるチームを作り上げられるよう準備したい」と意気込むのは34歳のポイントガード、田臥勇太(リンク栃木)。日本人として初めて米NBAを経験し、4年ぶりに復帰した代表で最年長となった司令塔は、川淵会長から直々に受けた激励を胸に刻み、練習に打ち込んでいる。(奥村信哉)

 6月15日から味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で始まった男子代表候補の強化合宿。2020年東京五輪を見据え、17歳の八村塁(宮城・明成高)ら若手の抜擢(ばってき)が目立つ中、最年長となった田臥は記者会見で晴れ晴れとした表情を見せた。「このタイミングで選ばれたことには意味があると思う。日の丸を背負えるチャンスを与えられたからには、覚悟を持って全力で挑みたい」。五輪出場の意義を問われると「夢ですね。僕には時間がない。早くつかみたい」と目を輝かせた。

 秋田・能代工高では総体、国体、選抜優勝大会の「3冠」を3年続けて達成。04年にはフェニックス・サンズと契約し、日本人初のNBA選手となった。広い視野と卓越したパスセンスは今も健在で、昨季のナショナルリーグ(NBL)ではアシスト王とベスト5に輝いた。日本代表の長谷川健志監督は「ガードにはテンポをつくり、流れを読む力が必要。コンディションが心配でNBLを相当見たが、彼がいることでゲームが落ち着くし、大きな波がない」と期待をかける。

 シーズン中に負ったけがの影響で、田臥の合流は10日ほど遅れた。オフには毎年米国を訪れるが、今年は「パスポートが切れていた」ため断念。代わりに所属チームと提携関係にある宇都宮市のスポーツジムに「こんなに通ったことないってくらい」通い、コンディションを万全に整えて合宿に加わった。

 6月30日の練習公開日には他の選手の練習中もコートサイドからひときわ大きな声をかける34歳の姿があった。「最年長だからとかじゃなく、チームが強くなれるよう、必要な声は出していかないといけない。限られた時間の中、外で見ているときも集中力を持って取り組もうとしている」。コート内で繰り出すパスも圧巻で、米ジョージ・ワシントン大で活躍する20歳の渡辺雄太は「いつも落ち着いていて、常に周りを見ている。やっぱりNBAを経験された方は違う」と脱帽した。

 後輩への気遣いも怠らない。特に八村に対しては「自分も高校生で代表合宿を経験したので気持ちは分かる」と、顔を合わせる時間が短かった初日のうちに「(八村が出場した)高校選抜優勝大会、2年続けてみたよ」と声をかけて緊張をほぐした。昨季NBA下部のDリーグでプレーした21歳の富樫勇樹ら、台頭する若手との定位置争いも今後本格化するが、「チーム内で競争しないと強いチームは作り上げられない。お互い刺激し合える関係でいたい」と歓迎する。

 合宿には川淵会長も訪れ、「厳しく練習し、自信を持って戦ってくれ」と激励した。さかのぼること2カ月。田臥の脳裏にはリンク栃木の試合を視察するため、宇都宮市の本拠地を訪れた川淵会長の言葉が強く焼き付いている。

 「カズじゃないけど、やれる限りやってくれ」。48歳になった今も現役Jリーガーとして活躍する元日本代表FW三浦知良(横浜FC)を引き合いに出されたことで、気合が入った。

 「そういう存在になれるよう、ベストを尽くしたい」。再出発する日本バスケットボール界の“キング”として、最初のターゲットはリオ五輪切符獲得。優勝チームに五輪出場権、2位と3位に世界最終予選出場権が与えられるアジア選手権(9~10月、中国・長沙)に向け、新たな挑戦が始まっている。