西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

横笛-11

2012-04-17 | 泣けます、長唄
横笛-11


横笛はしばし嘆き悲しみうち沈んでいたが、
もはや是までと意を決した。

懐剣を取り出し、黒髪をばっさりと切り落とすと、
よろよろと立ち上がり、歩き始めた。

そこを滝口が呼びとどめ、

「剃るまでは 恨みしことも 梓弓 誠の道に 入るぞ嬉しき」
と歌を読んだ。

横笛は、

「剃るとても 何か恨みん梓弓 引き止むべき 心ならねば」
と返し、互いの迷いが晴れたと菊園の歌詞は結んでいる。

実際にはこの歌は、
横笛が出家して奈良の尼寺法華寺に入ったことを知った滝口が送った歌で、
その時の返歌が「剃るとても…」だ。

横笛はその後亡くなり(大井川に身を投げたとも)、
それを知った滝口は修行に没頭し、高野の聖となったのだとか。
 


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tea break・海中百景
photo by 和尚
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