西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

めりやす

2017-03-25 | 浮世絵
これは鳥居清満(享保20〜天明5・1735〜85)の浮世絵だ。
題名は「髪梳妹背の鏡」(かみすきいもせのかがみ)、制作年は宝暦5(1755)年。

市村座の初春狂言「子宝愛護曾我」(こだからあいごそが)の二番目に出された演目で、
通称は「長五郎髪すき」という。

杵屋弥十郎が作った二上りのめりやすだ。
本来めりやすは三下りだったので、当時は珍しがられたことだろう。
独吟は松島庄五郎だ。

   


書き入れの歌詞にも二上りの文字が見える。
「くしげ鏡台取り揃え 言葉にいわれぬ乱れ髪
 いたずらがみの ばらばらと もつれて解けぬ解け櫛の
 男心を思いやる 顔と顔との鏡山
 人のしがからさき見えて わが澪の海しら波や
 同じ流れに陸奥の 忍ぶ人目も男故
 互いの心三熊野の 神々様を仲立ちに
 誓文くっされ 後の世かけて
 変わるまいぞと 繰り言ながら 返す返すも頼みてし
 言うに言われぬ わが涙 濡れて墨散る延べ紙の
 あからさまには 人知らず 思い参らせそろかしく」

三味線を弾いているのは踊子だ。
芝居興行とリアルタイムでこういう刷り物を発行していたとは面白い。
この曲は伝存しており、今日も演奏されている。
コメント
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