チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

由紀さおりコンサート 1

2012年06月03日 23時37分09秒 | 市原フィル

由紀さおり・安田祥子姉妹の「ラストツアーコンサート」に行った。

夜明けのスキャット」ではなく、25年姉妹で続けてきた、童謡のコンサートだ。

会場は杉並公会堂。
高校の音楽祭では、ボサノバのバンドで舞台にあがり
大学ではオケであがったことがある懐かしいホールだけど、
現在の杉並公会堂はコバケンさんをはじめ一流のアーチストが演奏する、
素晴らしく音響が良いシューボックス型のホールに生まれ変わっていた。

2時間を越える二人の舞台は、ピアノ1台での伴奏だけだったが、豊かで豪華なコンサートだった。

二人の歌ってくれた童謡はどの曲も僕がまだ幼稚園のころ、
母が歌って聞かせてくれていたことを、はっきりと思い出すことができた。
そのうえ由紀さおりさんの顔も、表情も僕の記憶にある母の顔とそっくりで、
まるで母親がよみがえって歌って聞かせてくれているのでは、と錯覚に陥るほどだった。

今日はっきり分かったことがある。
それはピアノもステレオも無く、教養らしきものが無かった家に生まれた自分が
そこそこの音感を持ち、ブラバンやオケで演奏することを続けてきた背景には、
母親が様々な童謡を子どものころに歌って聞かせてくれていたからなんだ、ということだった。
音楽という素晴らしい世界への道をつけてくれた母に感謝したい。

そんな気付きを与えてくれたコンサートだったので、二人のCDを購入して
コンサート終了後握手をしていただくことができた。
柔らかで華やかにお二人の一言と、柔らかな手の感触を心に帰路についた。

途中立ち寄った、荻窪駅近くのこの店での「刺身七点盛り」は絶品でした。


5日には、千葉県文化会館大ホールで、世界的なジャズバンドでもあるピンク・マルティーニと
由紀さおりとの、日本初のジョイントコンサートがある。
あさっての公演がまた、楽しみだ。

 

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ちょっと普通じゃない自分体験ができた一日

2012年06月03日 00時23分21秒 | 市原フィル

 年とともに「自分像」は固まってくるものだと思うけど、いつもと違う体験があった。


「指揮者の辻さんの送迎お願いできますか」とメールで団員から依頼されたところから始まった。
辻博之さんは、今回はブラ1の下振りだけど来年の定演に招聘する客演指揮者。
情熱的な指揮振り、豊かな音楽表現で団員を虜にした若手のホープでもある。

自宅から歩けるほどの会館で、辻さん常任指揮の地元の室内楽団の練習があり
練習終了後、市原フィルの練習会場まで送ってほしいということ。
さすがに「これは自分が引き受けるのがフツーだよね」と思い引き受けることにした。

でも引き受けたまではいいけど、だんだん道中を考えると気が重くなってきた。

この室内楽団の演奏会を聴いたことは何度かあり、辻さんの姿は知ってはいるけど
どうも僕の性格として、身近でない人と同じ空間を共にすることに慣れていない。
特に「先生」など肩書きというものがあると、どうしても気後れする自分がいる。
・・・かつて「社長」のお供でグリーン車に乗ったときも、飛行機で出張したときも
  社長の隣には10分も座っていられなかったという「前科」もあるんだな~・・・

指定された会場ロビーに入ると、辻さんは練習を終えた室内楽団の皆さんと談笑中だった。
周りには、以前エキストラでこられたチェロ嬢も、以前の楽団でお世話になった方も
アンサンブルを組んでいるバイオリン譲も見える。

「お迎えに参りました」と遠くから挨拶すると、若い辻さんは明るく応えてくれた。
近づくと、室内楽コンサートで名調子で司会をされる、楽団代表者の女性が声を掛けてきた。
「楽器は何をされてるんですか」
「チェロです」
「お住まいはどちら?」
「自宅はすぐそこです」
「あらま~、だめよ!地元でやらなけりゃ、ね~!」
(確かに車で市原まで通うものいいけど、ここならチェロを担いで数分だけど・・)
「ここで午後一緒に練習したあと、辻先生と一緒に行けばいいんだから」
てな調子で、あれよあれよという間に連絡先を書かされてしまった。

気圧されはしたけど、なんとなく和んだ雰囲気になってきたところに
「皆さん、今度入団される方です」と紹介されたときにはさすが
「ギョエ~!」と驚かされた。

こうした圧倒的なリーダーシップのまとめ役がいて楽団というのは存続するんだな~
固定化しつつある我が人生に、新しい振動が入り込む余地はあるのかもしれないな~
などと感心しながらも、早々に指揮者を伴って会館を立ち去った。

ま~これが非日常の「異質体験」その一。



今度は指揮者殿を乗せて小一時間のドライブをしなければ・・・どうしよう・・・
会話の相手をするのはいいけど・・・
指揮者殿もダブルヘッダーとなるので疲れているはずだし・・・
話し出したら過剰に話し始めるばかな自分も見たくないし・・・

結局
会話もそここそこに、「道中どうぞお休みください」と
僕はウォークマンを突っ込んでAdeleを聞き始めることにした。
(グラミーで優勝したAdeleの歌声はどんな状況でも心を惹きつけてやまない)
さすがに、指揮で疲れていると思しき辻さんも早速眠りに入ってくれた。
一安心・・・

そして夜の練習会場に到着。
ブラームス1番の下振りをしてくれた辻さんの練習は楽しく、笑いの連続となった。
特にすばらしかったのは、総練後半になって四楽章の弦が、
はっきりと”ブラームス色”の響きに変ってきたことだった。
声楽出身でもあるからだろうか、辻さんのアドバイスは弦楽器全員で呼吸を深くすること。
そして、弓を弦から決して離すことなく全弓で弾ききる感覚でということだったと思う。
そのあとの弦は、重々しいブラームスを出現させてくれた。

練習のあとはすっかり辻ファンになってしまい、気持ちも楽になって
練習場近くの駅ではなく、東京への入り口でもある蘇我駅までお送りした。
無論、ウォークマンも忘れて辻さんの指揮者としてのこぼれ話しなどを
楽しくうかがいながら、あっという間の時間を過ごすことができた。

「知らない人と楽しく話せた」。
う~んこれが「異質体験」その二。

この日は、人との”新しい出会い”ということを体験できたということだろうか。
自分ってこんな人間という自画像や、毎日の行動パターンとは違う自分を
体験できることは、ちょっと不安だけど、なんだか楽しい気持にさせてくれるものだ。
まだまだ人生、捨てたもんじゃないかも。

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