日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

『ゆめつげ』 畠中恵

2006-08-04 | 本と漫画の話

畠中恵さんは「しゃばけ」シリーズでブレイクして、普段時代小説を読まない人までファンに取り込んでいるようです。
私も「しゃばけ」シリーズは好きで、最新刊「うそうそ」も図書館でまだかまだかと予約待ちしています。(31人待ち…)
この本は、「しゃばけ」シリーズ以外の時代小説(他に現代ものもあるらしい)で、たまたま書棚に並んでいたので、さっそく借りてみました。

黒船が来航し、不穏な時代に入った江戸末期、「清鏡神社」という小さな神社の神官兄弟が巻き込まれた騒動が描かれます。
兄・弓月(ゆづき)には、「夢告(ゆめつげ)」という能力があります。
これは、依頼者の探し物や知りたいことを夢に見て、それを読み解いて結果を告げる、という能力です。
ただし、弓月の「夢告」は、ちょっと的外れだったりして役に立たないと氏子の間では有名でした。
そんな評判もあまり気にせずのんびり屋の兄と、兄をフォローするしっかり者の弟・信行。
ある日、「清鏡神社」とは比べ物にならないくらい大きくて立派な神社「白加巳神社」の若く有能な権宮司、彰彦が訪れ、8年前、安政の地震で迷子になった大店の一人息子の行方を占ってほしいと頼まれます。
弓月の能力は当てにならないから、と最初は断ろうとしますが、雨漏りする屋根の修繕費にも困っている父の様子を思い、結局は引き受けます。
ところが「白加巳神社」へ向かう道すがら、いきなり辻斬りに襲われるなど波乱の予感。
事態はどんどん複雑に、そして危険な方向に…


「夢告」は、体に負担のかかる仕事らしく、本来めったには行わないものなのですが、必要に迫られて「夢告」を重ねる弓月はどんどん弱っていきます。
それに反比例するかのように、能力の方はどんどん強くなり、「夢告」をする気がなくても唐突に夢の世界へ引き込まれるようになり、戻ってこられなくなる危険や、衰弱から命を落とす危険も感じ始めます。
一方では複数の辻斬り(浪人)が横行し、関係者が殺される事件が続き、どこへ行くにも死の不安がつきまといます。
弓月は無事事件を解決して、生きて帰れるのか
ずーっとハラハラし通しでした。
最後話が大きくなりすぎて駆け足で纏めたような気はしますが、面白く読めました。
表紙の見返し?に入っている白加巳神社の見取り図のおかげで、主人公達がどう動いているかも理解しやすかったです。

時代小説ビギナーでもたぶん読めますが、興味を持たれた方は、まずは病弱な若旦那と過保護なお目付け役2人(実は妖怪)が活躍する「しゃばけ」シリーズからいかが?
オチャメな妖怪が色々出てきて楽しいですよ。
鳴家(やなり)の「きゅわわ~」がカワイイです

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする