西麻布を歩いていて見つけたカフェ。
大通りに面しているのに、こんな素敵なカフェが道沿いにあるなんてと驚きました。
ゆったりとした椅子。ほどよい空調が施された室内、切り取られた小窓から射し込む緑の光、お客様は馴染みの大人の方たちが多いようでした。
「cafe」の案内版を見つけ、入口のドアが一枚板で中が見えなかったけれど思い切って入りました。女性のオーナーがひとりで切り盛りし、カウンターの内側で注文を聞いたり豆を挽いたりのほどよい動き方で良い感じでした。
私は“おひとり様”で入ったのでカウンター席を進められました。
一見さんよろしく店内をジロジロ、ここに入ってよかった!!当たり!とすぐに思いました。珈琲を注文すると「苦めですが、濃いのがいいですか、それともあまり苦くないのがいいですか?」と尋ねられました。案の上供された珈琲はとても美味しかったです。
さらに壁面に目をやると一枚の絵が目にとまりました。
私が絵に目をとめて首を斜めにして眺め続け、カウンターの中に視線を戻すと思わずオーナーの方と目が合ってしまい、少し絵にまつわるお話しをしました。
この絵はご近所の方とお店に来られたお客様がカウンターに座り、紙はありますか?と尋ねられ、オーナーの女性はそばにあったカレンダーの裏面を差し出したそうです。すると筆ペンでさらさらと絵を描かれ、煙草の灰でぼかしを入れ、そばにいた女性から口紅を借りて紅を挿されたそうです。
描き上がるまでに15分もかからなかったと思います、と、女性。
この絵はロサンゼルス在住の日本人画家工藤村正画伯の描かれた絵です。
初めて訪ねたカフェで、素敵な話しを聞くことが出来て、私も幸せな気分になりました。
「30年以上続けているんですが、こんなご時世ですからね、この絵をいただいて私も絵の中の女性のような笑顔でお客様に接し、もう少しこの店をを続けようと思いました」とさりげなく話されていた言葉。
良い出会いを一時いただいて私も心から感謝しました。また訪ねようと思います。