お菓子教室Cakes&Tea(ケーキ&ティー) わかこのお菓子な生活


福島県会津若松市にある洋菓子、パン、和菓子の教室です。

自家製天然酵母

2009-03-08 | 自家製酵母パン

 昨日までの1週間、パンコース参加者に自家製の酵母パンを少しづつでも食べていただこうと酒粕酵母の食パンをたくさん焼きました。

 先日のブログで書いた、フランスパンのような固い皮、天然酵母パンらしい食感...。最初に焼いた頃はしっとりしていたのに、どうしてこんなに変わってしまったのか...と思っていた原因がわかりました。

 実は...教室で実習した食パンと同じ配合で作っていたはずが、久しぶりに手際よくパンを作ったつもりだったのですが、あまりに急いで作ってバターを入れるのを忘れていました

しかも、6台も...。

 でも、バターを入れないフランスパンっぽいざっくり感と粉の風味がかえって、パンの美味しさを引き出してくれて美味しかったみたい。

 パンの感想はさまざまでしたが、皆さん共通するのが「イーストが気になっていて、天然酵母パンには興味がある」という事でした。焼いて時間が数日たったパンでも酸味も無く味わいがあったので、ほとんどの方(もしすると全員!?)に「美味しい」と言っていただけました。

 昨日は、そのパンコースの前半最後の最終日。メールでの予約の時「先生やあおいさんに強い影響を受けて自家製天然酵母パンを焼いています。色々教えてください」とメールいただいた4月からずっとパンコースに通ってくださった生徒さんがいらっしゃいました。

 正直、このメールをいただいた時に、私以上に色々挑戦している様子が書かれていたので、天然酵母初心者という事でたぶん同じレベル...答えられることあるかな???と思っていました。

 でも、ブログを見て天然酵母に興味を持ってくださった方がいるというのは嬉しいこと。教室に通ってくださったことをきっかけに手作りだからこその安全で安心なお菓子や料理により興味を持って実践していただける事が嬉しく、この生徒さんがいらっしゃるのを楽しみにしていました。

 その生徒さんにいらっしゃるタイミングに合わせてパンを仕込んでみました。いつもなら、1次発酵に一晩、2次発酵にもう一晩かけているので2日前に仕込めばいいのですが、その日は前日が休みなので木曜日の朝、出勤と同時に実習時間前にパンを仕込み1次発酵。夕方までになんとか膨らみベンチタイム後、食パン型に入れました。

 でも、ここで問題が...。今までも休みの前日に作っておいて帰ったのですが、それは寒かったからタイミングを合わせるのが楽でした。家に持って帰り発酵を調整した事もあったけど、それは家で食べてもらったり、家の親戚にあげたりする場合。教室用なので置いて帰ることにして、実家の母に「明日様子を見てこのくらいの高さになったら冷蔵庫にしまって。」と頼んで帰りました。でも、母の考えたタイミングでその日のうちに早めに冷蔵庫に入れて前日早めに出して温かいところに一晩置いたそうですが...。

 そして、土曜日の朝...膨らみがいまいち。今まで見たこともないようなピンポン玉くらいの大きさの気泡が2台ともぽっこり膨らんでいました。とりあえず、気泡をつぶしてみたけど数分たつと同じ現象が繰り返される状態。あまりにひどいので何回かつぶしてみました。

 午前中、実習室がかなり温かかったので、1台は午前中の生徒さんにもの焼きたてを食べてもらおう。と思って温かい実習中に生徒さんのいる実習室に置いたのですが...気が付くと少ししぼんじゃいました。もう1台の涼しい部屋に置いたパンと明らかに高さが違います。あまりのひどい状況に午前中はパンを焼くのをやめました。

 そして午後、メールをいただいた生徒さんがいらっしゃいました。責めてもう一台は何とかなるかな~と思っていたのですが、いつもより気温が温かいのに朝からほとんど変わらない。そして、ついに型の高さまで生地が膨らむ事が一度もないまま、2台とも同じ高さに下がってしまいました。

 天然酵母パンを作り始めて、ベストな状態まで一度も膨らまずに沈んだのは始めてです。

いただいたメールの内容だけに、このタイミングでこんな状態になるのはかなりショック。この失敗パンを出すか出さないか悩んだ結果。「発酵オーバーなんでですけど...」と、焼いてみました。

 結局、いつもの2/3、一番膨らんだ時の半分くらいの高さになってしましました。

 失敗とはいえ、この日の講習のベーグルと比べるとほとんど劣らない膨らみ具合。発酵オーバーとは思えない、味わい。

 そして、話は天然酵母の話題に...。

このとき参加してくださった生徒さん2人とも自家製天然酵母パンに挑戦しているとか。もう1人の方は、前回あおいさんと教室で一緒になった時に、天然酵母の話題になり興味をもって実践したようです。

なんだか、私とあおいさんのブログの影響で天然酵母パンが秘かなブームになっているかも...!?

特に、メールをいただいた方のレベルは高く、びっくりでした。いくつもの天然酵母で挑戦してみたとか、あおいベーカリーの日記を最初から3回読んだとか。いろいろ本やインターネットで調べて、天然酵母に関する知識は私以上。

実は私、本を買ったものの、酵母種の作り方以外はほとんど見ていません。酵母菌が思った以上に簡単にできて、そのままつなげ続ける事ができて、パンも理想的にできたので、なんの問題もなく作り続けていました。酵母の元種が出来たら、パンの基礎を知っていて発酵状態のタイミングを合わせられれば、何の問題もなく天然酵母パンが作れます。なにしろ始めてからずっと忙しい日々が続いたのでパンを作る時間で精一杯。そんなわずかな時間を利用して作れる天然酵母パンが自分に合っていると楽しんでいました。

これで、天然酵母のパンを教えようとは、全く考えていなかったのですが、この1週間、試食してもらったパンを食べてもらいながら、酵母種や種を使ったパン作りの説明をしていたのですが、教えて欲しいという意見もかなり多く、再来年度に向けてちょっと考えてもいいかな~と思い始めたところでした。

でも今回、パンを発酵オーバーにさせてしまったし、私以上にいろいろ天然酵母パンに実践したり、調べている生徒さんを見て、教えるってことはやっぱり難しい。と思ってしまいました。

考えてみれば、自家製天然酵母パンを売っている方が「そのパンを売るまでの苦労話を話したら6時間以上は止まらない...」と言っていたことがありますが、いつでも自分の理想のタイミングに合わせるなんてことは、やっぱり大変な事なんだと思います。

今回は、発酵の条件が悪いことが重なったのですが、酵母菌の状態はまだまだいい感じ。まだ、この酵母菌で焼いていこうと思っていますが、酒粕酵母は冬の酵母。もう、発酵させるには難しい季節になってきているのかもしれません。そろそろ他の酵母にも挑戦してみた方がいいのかも。

そもそも本には、元種はつなげ続ければ、2週間は大丈夫。それ以上はつなげられるが発酵力が落ちてくる。と書かれていたのに。元種を育て続けて2ヶ月半。そろそろ限度だったのかもしれませんけど。

何よりパンを食べてくれる人がいないのに焼き続けることが一番の難点。いろいろ試したいけど、それだけのパンをどうしようというのが一番の課題です