SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

BILL EVANS TRIO 「Waltz for Debby」

2007年03月25日 | Piano/keyboard

おそらくモダンジャズ史上、最も有名なアルバムの一つだろう。
現在のピアニストは星の数だが、その大多数がビル・エヴァンスから影響を受けていることは間違いない。それくらい彼の存在は大きく、永遠に愛されていく人だろうと思う。
以前このWaltz for Debbyを演奏しているビル・エヴァンスの姿を映像で見たことがあるが、決してハンマーのように指を振り落としたりはせず、まるで鍵盤を撫でるような優しいタッチで弾いていたのが印象的だった。

彼の演奏技術を今更解説するつもりはない。
このアルバムが有名になり売れに売れたのは、必ずしも彼の演奏技術だけではないからだ。
では何か。
ヴィレッジ・ヴァンガードというジャズクラブのお陰である。
カチャカチャと食器やグラスのふれあう音や、客の話し声などが鮮明に記録されているから価値が倍加したのだと思う。
つまり私たちは常にあんな雰囲気の中でジャズを聴きたいのだ。
本格的なジャズ喫茶などに行くと、下を向いてただじっと聞き入っている客が必ずいる。そうした人に限って、こちらが余計な音を出すと「何だよ!」といった目つきで睨んでくる。冗談じゃない、自分一人でじっくり味わいたいのなら家で聴いてくれといいたい。
その点、ここでの客の半分は真剣に演奏を聴いていない。それでいいのだ。その方が演奏する方も肩の力が抜けていく。
こんなお店がもっともっと存在すべきなのだ。