SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

HANS KOLLER JAZZ ENSEMBLE 「NEW MEMORIES」

2007年03月18日 | Group

ハンス・コラーという人は、まだ日本ではほとんど知られていないだろう。
ただ同姓同名のテナーサックス奏者(オーストリア)がいたので紛らわしいが、ここでご紹介するのはまだまだ若い70年生まれのピアニスト、ハンス・コラーである。お間違いなく。

このアルバム、現代のビッグバンドジャズを知りたい人にはうってつけのアルバムである。
但しビッグバンドといってもデューク・エリントンやカウント・ベイシーのようなスタイルではない。どちらかというとギル・エヴァンスやオリバー・ネルソンの系列に含まれる。以前ご紹介したミリアム・アルターにも近い存在といえる。
ビッグバンドジャズの面白さは、何といっても分厚いアンサンブルと、ソロパートに入る一瞬のタイミングにある。これには一糸乱れぬ全員の呼吸が必要で、指揮を執るリーダーの手腕がものを言う。決まった!と思った時の快感は何ともいえない。
ハンス・コラーによる音づくりの特徴は、ブロードウェイのミュージカルを観ているような臨場感にある。場面場面で主役が交代しても多くの脇役がきちんと全体の流れを崩さずに進行していく。その中心にいるのがドラムを叩くジーン・カルデラッツォだ。以前クリストファー・シモンズと組んだピアノトリオでもいいリズムを刻んでいた。

ハンス・コラーのような才能ある人を生かすも殺すも私たちリスナー次第だ。
先入観を持たず新しいジャズもどんどん聴いていこう。