SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

MYRIAM ALTER QUINTET 「REMINISCENCE」

2007年03月05日 | Group

ミリアム・アルターはピアニストであると同時にコンポーザーである、と紹介されている。
普段は何気なしに聞いているこのコンポーザーとはいったい何をする人なのだろう。単純に「作曲家」と訳していいものなのだろうか。何か違う。もっと総合的な「作家」としての意味合いが強いのではないかと思う。もちろんあくまで私見だ。
女性のピアニスト兼コンポーザーならカーラ・ブレイを思い出す人も多いはず。となると何となく見えてくる。演奏技術よりもコンセプト・メイキングがうまい人に違いない。
このアルバムはそんな彼女のつくるドラマチックな私小説だ。
まず1曲目。しっとりと濡れたようなイントロから主旋律に入り込むまでの僅かな時間に、このアルバムの期待感がグイッと高まる。とにかくホーンアンサンブルが見事なのだ。いい映画は最初の出だしから観客をスクリーンに引き込むが、正にそれと同じ感覚だ。各ソロパートも全体の雰囲気を壊さずに美しいメロディを歌い上げていく。聴き続けるとスリリングなシーンもあれば思わず泣きたくなるような場面にも出くわす。どの場面も実に感動的だ。
このアルバムは全11曲で構成されてはいるが、感覚的には一つのストーリーの上に展開されていく。
個人的な大推薦盤である。