SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CURTIS FULLER 「Vol.3」

2007年03月14日 | Trombone

トロンボーンという楽器は茫洋としてつかみどころのない楽器だ。
U字型の金属パイプをスライドさせて音の高低を出すというある意味アバウトな構造のせいである。だから明確な単音表現よりも流れるような音節をつくり出すのに適している。
カーティス・フラーはそんなつかみどころのない楽器を、ファンキージャズでも活躍できるようにした男である。
彼が吹くと全体の空気が一変する。
単に音に厚みが出るなどといった表現だけでは言い表せない彼独特の暖かみある世界が広がるのだ。

本来カーティス・フラーといえば、「ブルースエット」を最初に紹介すべきかもしれない。
彼のスマッシュヒットであり、ファンキーな時代の金字塔だからだ。
但し、個人的にジャケットが大嫌いなのである。全体の色彩といい、タイポグラフィの扱いといい、品のない奇妙な絵(イラスト)といい、ここまで嫌いな要素が詰まったジャケットもない。聴くときはこのジャケットを伏せて聴いているくらいだ。ただそれだけの意味でここには載せないことにした。
その点このVol.3は、ジャケットはもとより内容も「ブルースエット」に負けていない。アート・ファーマーもいいし、ジョージ・タッカーのベースもすごい。ベニー・ゴルソンとの競演作もいいが、この作品もまた彼の代表作だと思う。
トロンボーンという楽器に、ある種の違和感を感じている人にこそお薦めだ。