無精髭

無精者の日記です

抹殺された知事 佐藤栄佐久氏はなぜ原発に反対したのか

2011-05-29 18:38:42 | 日記

       ハマナス (相馬市アリーナ前)

 今日は朝から台風の影響で小雨が降り続けています。  時間ができたので以前から気になっていた前福島県知事の佐藤栄佐久氏のことを調べてみました。

 表題のように書いてしまうとご本人からは「原発反対なんかしてないよ。」といわれそうですが、私の感じていたイメージでは、保守本流の政治家なのに原発問題は良くやってくれているなぁと思っていました。  名前で検索してみると佐藤氏のブログが開設されていてその中にロストワンのトークライブがUSTREAMで公開されていました。  出席者は飯田哲也氏、河野太郎氏と面白い組み合わせで時間は少し長いのですが、前知事がこれまでのいきさつや裏話なども紹介していて、興深く見させていただきました。

 佐藤栄佐久氏が原発に本格的に取り組み始めた理由は地元をないがしろにした政府の強引な原発推進政策にあったことが分かります。  前知事が立ち上げた「福島県エネルギー政策検討会」の報告書(平成14年9月)の冒頭にこの検討会設立に至った理由が書かれています。  それによれば「・・・・このように、国策として一旦決めた方針は、国民や立地地域の住民の意向がどうあれ、国家的見地から一切変えないとする一方で、自らの都合により、いとも簡単に計画を変更するといった、国や事業者のブルトーザーが突進するような進め方は、本県のような電源地域にとって、地域の存在を左右する大きな影響を与えかねないものです。 ・・・・」、 使用済み燃料の処理、事故時の地元自治体に対する対応、情報隠しなどなど度重なる経験が知事をして「自らの確固としたエネルギー政策を持たなければ自立的な発展は望めない」との認識に立たせたものでした。

 それにしても巨大システム原発が事故隠しやデータ捏造、検査結果の改ざん、内部告発の隠蔽などや、はては反対派の抹殺まで政・官・学・産一体となった巨大モンスターによって「ブルトーザーが突進するように」進められてきた結果の行き着く先が今度の福島第一原発の事故だったといえるのではないでしょうか。

 


目標は1ミリシーベルト 保護者の訴えが文部科学省を動かす

2011-05-27 21:53:21 | 日記

 今日はうれしいニュースが飛び込んできました。  小中学校等の被ばく線量の目標を1mSv/年にすると文部科学省発表しました。   福島の保護者の声がやっと政府に届いた瞬間でした。  今できることはできるだけ早く実行することが大切です。  これまでは知りえたデータも既知の対策も活用するどころか隠蔽されてきました。  ここにきてやっと様々な事実が少しづつ明らかにされ、政府も対策に乗り出しました。  遅きに失したとはいえうれしいことです。  

 頼りない民主党政権ですが、自公政権であればこうはなっていなかったのではないでしょうか。   様々な公害訴訟、エイズ問題など被害者の声が政府に届くまでどれだけの犠牲者の命が積み重ねられた知れません。  もっとも放射能被曝はこれまでの間に大半の被曝を許してしまいましたし、その犠牲は今後10年~20年の歳月を経て検証されるべきものですが、国民の意志に対する態度の違いは評価すべきものがあるのではないでしょうか。

    
 話は少し変わりますが、国会で散々問題になった福島原発1号機の海水注入の問題です。
官邸の意向で海水冷却が止まったとのかどうか、議論の焦点になった原子力安全委員会の斑目委員長の「私はいったいなんだったんでしょう。」という発言に象徴されるように、この国の中では何が事実か判別不能に陥ってしまったようです。  賢明にも現場責任者である福島第一原発所長の吉田氏は本社との会議では海水注入中断に合意したものの、実際には中断せず海水注入を続ける判断をしました。  また事故後の防潮堤の建設問題でもこれを拒否する本部に対して「こんなこともできないならやってられない」と開き直ったと報じられています。
日本の運命を左右するような重大な決定が所長の知見と勇断により決定されたのです。

 これは決して東電の組織だけに起きている問題ではありません。  どこの会社、組織でも少なからず起きている問題です。  「本音と建前」 高度成長を経て巨大化した資本は少しづつ現場から遠ざかり、下請け、請負、派遣と自分自身をも見失う様な変身を遂げました。  その結果本社は損益しか興味をもたず、はるかかなたにある現場は中小零細会社が担っています。  大企業といわれる組織はほとんど内部は空洞化してしまっています。  技術立国と言われてきた日本の技術を支える部門が消えようとしているのです。  現場の仕事をしているのは孫請、ひこ請け、その社員もほとんど派遣社員や臨時社員です。  現場の声が本社に届くルートなどあるはずもありません。  万が一届こうものなら最末端の会社はその責任を問われ倒産の憂き目に会ってしまいます。  このような企業風土の中で生き延びるためにはどんなに重大なことでも判断基準は会社の存続であるだろうし、自身の生活です。  その結果は明らかです。  会社の会議では架空の事実に基づいた真摯な?議論が交わされ、現場には現実とかけ離れた方針が示される。  吉田所長は派遣や臨時社員ではないでしょうが、会社組織は上から下までこの病魔に汚染されています。  まともに仕事をしようとしたら本社の命令など脇に置かざるを得ないというのが実態ではなかったでしょうか。  ましてや東電では原発の不祥事が多発する中で原発に携わる幹部は左遷され中枢幹部には原発の専門家はいないということです。

  しかし、現実はそう甘くはありません。  架空の儲け話は長続きするはずがありません。  アメリカのリーマンショックに代表されるように。  利益は人々の生産活動に依存します。  お金がお金を生むはずはありません。 どんな社会でも利益の根源は人々の生産活動にあるのです。  架空の安全理論の上に築き上げられた原発は自然の猛威の前に脆くも崩れ去りました。  情報隠蔽の片棒を担いだマスコミも安穏としてはいられません。  ネット社会はここでも威力を発揮しています。  善悪入り混じりながらも真実を伝える役割を担っています。
混沌としたこの時代ですがもう少し希望をもってもよさそうです。

 

  


福島市も動く 小中学校などの除染対策 

2011-05-23 23:54:24 | 日記

 動こうとしない文部科学省を尻目に小中学校などの校庭の除染作業に着手していた郡山市に続いて福島市も市内の小中学校などの校庭の表土の除去を5月中に実施することを決めたようです。 以前から福島市内の汚染度は高く子供たちの被曝が心配されていました。 

 文部科学省は3.7μSvを超える県内13施設の校庭」などの使用制限を通知していましたが、福島県の資料によると実際はもっと多くの施設が該当していました。  福島市や郡山市の汚染度は原発からの距離が離れていたにもかかわらず高い値で推移していました。  この2市が避難地域に指定されなかったのは避難人口の多さであったことは今周知の事実です。  そもそも年間20mSvという値は国際放射線防護委員会の規準で言えば原発にかかわる人たちの許容量で、一般のひとは1mSvなのです。  事故の緊急時でこそ100から20mSvとなっていますが、今度の事故のように長期間にわたって大量の放射能を放出し続けるような事態は想定していないのです。  しかも20mSvという値は内部被曝を考慮しておりませんから実際の被曝量は外部被曝量の4倍80mSv(武田邦彦教授)にも達します。  100mSvを超えると何らかの健康被害が出るということは多くの科学者の共通認識ですから、文科省の規準がいかに高いものかがわかります。

 このような文部科学省の態度に福島の保護者はこの規準を見直し従来の1mSv/年に戻すよう求める抗議行動をしました。  政府および文科省はこれまでの子供や国民の安全を犠牲にする態度を改め、被害を最小限にとどめるためのあらゆる対策を実施すべきですし、自治体や保護者の自主的な対策に対して全面的に支援しなければなりません。

 朝日新聞の23日版の「声」の欄にチェルノブイリ事故当時にドイツで働いていた尾上さんという方が体験したドイツ政府の対応が紹介されていました。  その一部を紹介します。 「事故当初、風はチェルノブイリからフィンランドやスウェーデン方向に吹いていたが、ある時点から風向きが一変し、現場から1500キロ離れたフランクフルト方向に吹き始めた。 すると、すぐ居住地域の緊急告知で自宅待機を促され、職場も学校も休みとなった。 25年も前の話だが、今回の福島第一原発事故と比べて優れていたのは、情報公開の素早さと正確性である。 毎日、ドイツ政府当局が風向きや放射線量を予測し、それを参考に皆が行動できた。 また、公園や学校の砂場をすべて厳重に立ち入り禁止にし、数ヶ月かけて砂を取り替えた。 将来ある子供への影響を一番に考えた措置だった。・・・・・・・・」  

 これが、本来の国民の安全安心を守る政府の態度だと思うし、このような情報公開がなされていればパニックなど起こりようもないのではないでしょうか。  前代未聞の被害を受けながら世界からも脅威の目で賞賛されるような行動をした国民をも信頼しない愚民政策とも思える情報操作をつづける東電や政府の態度は許せるものではありません。  
このようなやり方が世界に誇る科学技術立国日本の実力が災害時に生かせない大きな原因になっていることはかなしいことです。  200億円といわれるSPEEDIは福島県民の被曝量を最小限に済ませるデータを事故当初から打ち出していましたが、そのデータが公表されたのは3月23日になってからでした。 気象庁も同様のデータを持っていました。 100数十億の開発費と安くない維持費をかけたシステムが全く生かされなかったのです。  福島県には3月13日にはこのデータが届いていたのですが、政府は県に対し口止めしていたといいます。  日本の国民が、福島県民が避難に一番大切な情報を知りえたのはドイツやスエーデン、オーストラリアの放射能飛散状況シュミレータでした。  結局、政府も県も住民の「安心安全」よりも優先するものがあったのでしょう。  また日本はロボット王国だったはずです。  高放射線環境での作業にアメリカのロボットが導入されましたが、「なんでー アメリカ製なの?」と誰もが思ったのではないでしょうか。  日本のロボット技術は世界の最先端です。  疑問が解消したのはやはりだいぶ日にちがたってからでした。  ここにも60億円もの税金をつぎ込んで開発されていました。  JCOの臨界事故のあとに政府は数社にロボットの開発を指示して数機のロボットが開発されたのですが、絶対安全の原発には無用の長物と電力各社は採用を見送り、1機が東北大学に引き取られた他は廃棄処分になったそうです(朝日新聞記事)。

 政府の対応には目を覆いたくなりますが、残念ながらこの政府を取り替える選択枝があるでしょうか。  自公政権は政・官・学で今の無批判の原子力政策を育て推進してきた人々なのです。  もし彼らが政権を握っていたら菅総理が決断した浜岡原発の運転停止などできたかどうか疑わしいし、今後のエネルギー政策にしても従来の路線から抜け出せそうもありません。  また、今菅首相を退陣に追い込むことはかつて福島県知事だった佐藤栄作氏を失ったような過ちを繰り返すことになりかねません。  今はしばらく我慢の時なのでしょう。

 

 

 

 


やわらかな野菊の花

2011-05-21 00:30:41 | 日記

 

 たんぼのあぜ道に野菊が咲いていました。  今は田植えの真っ最中で畦は坊主頭のように刈り取られていますがここはまだ残されていました。  どこにでも咲いている花ですが良く見るとなかなか綺麗です。

 

 

 白い花が多い中でひときわ赤く色づいた野菊です。  華やかですねぇ。


現実を正確に把握することがはじめの一歩 放射能瓦礫を片付けよう

2011-05-20 00:13:59 | 日記

 宮城県丸森町で牧草から暫定許容値300ベクレル/Kgの5倍をこえる1530ベクレル、大崎町で350ベクレルの放射線が検出されたという報道がありました。  先日には神奈川県南足柄市で収穫した一番茶の生茶葉の2品目からセシウム134、137の合計でそれぞれ550ベクレル/Kg、570ベクレル/Kgが検出されました。  この生茶葉が加工され水分が飛ばされるとさらに放射線量は増えて荒茶で3000ベクレル/Kgとなって基準の500ベクレル/Kgを超えてしまい、現状ではこの基準を緩和しないとお茶の出荷ができなくなるということでした。

 お茶の件ではどの段階で測定した数値を使うのかが議論になっているようです。  お茶を飲むときにはかなり薄まっているので飲む時点の測定値が水道水の基準300ベクレル/Kgでいいのではないかというものです。  生産者や事業者からすれば同じ飲み物なのにという思いは理解できます。  せっかく苦労して育ててきていざ収穫というときになって出荷停止では今までの苦労が報われません。  しかし、ここでお茶の基準を変えてしまうと他の野菜や穀物、肉などの基準も加工して食べるときの測定値を適用することになってしまい、現実的てきではありません。  

 また、そもそも水道水の基準300ベクレル/Kgにしてからが非常時の基準です。
世界の水道水の基準は WHO基準 1ベクレル(Bq/L)、 アメリカの法令基準 0.111ベクレル(Bq/L) となっていて日本でも事故の前まで、ヨウ素 I-131 10ベクレル(Bq/L)  セシウムCs-137 10ベクレル(Bq/L )と定められておりその根拠は国際放射線防護委員会の勧告(公衆の年間被曝量は1mSv以内)に従いこの設定値を十分に下回る値として決められたものです。  外部放射線量も20倍の年間20mSv、水道水は30倍、食物も・・・となるとそもそもこれまで決められていた基準が何だったのかということになってしまいます。
国民の健康を守るためにはこの水準に抑える必要があるという科学的知見や関係者の合意のもとに決められてきた基準、法律であったはずの規準なのです。

 できるだけ人々の被曝を減らし、生産者も生活が成り立つような方法を考えるしかないのですが、その前提条件として現実の放射能汚染がどのようになっているのかを正確に把握することが、対策を考えるはじめの一歩ではないでしょうか。  今回問題になった宮城県にしてもお茶の産地静岡県も実態調査は行わない方針のようで沈静化に必死のようです。  
しかし、今後も国内の広い範囲で放射能汚染の被害が表面化してくるのは確実で、風評被害を心配して実態の把握を怠ったり、測定結果を隠したりしていては被害の実態把握をあやまりしいては国民にとって最良の選択が何かを判断することができません。  そもそも風評被害が出るのはこのような隠蔽体質が購買者の不安を増幅し、商品の品質に不信をもたれることが原因ではないでしょうか。  どこかのお偉い人がおいしいおいしいといいながら食べてみせるあのパフォーマンスにどれだけの効果があるでしょうか。  それよりもはっきりと00ベクレルと表示されていたほうが消費者には安心です。  消費者はそれぞれの条件によって判断基準が違うのですから安全安全という前にデータを表示するというのがこれまで進めてきた方向だったはずです。   

 大量に、広範囲にばら撒かれてしまった放射能は原発震災の瓦礫です。  目に見えないだけにやっかいで危険なものです。  政府もやっと学校の校庭などの除染(放射能を取り除く)対策を検討し始めました。  郡山市の独自の除染作業が始まって、やっと重い腰をあげざるをえなかったのでしょう。  徹底した放射能汚染調査に基づいて生活空間や人の集まる公共施設、道路や農地など可能な限り科学技術を駆使して取り組むべきです。  高濃度に汚染された土は従来の法律に基づいて処理されるべき低濃度放射性廃棄物なのですから見えないことをいいことにして放置するわけにはいかないのです。  この放射能瓦礫を放置すればその量に応じて私たちの積算被曝量が増えていくのです。  日本は水の浄化や空気の浄化、土壌改良など環境産業でも世界のトップクラスの技術力を持っています。  いまこそ企業の利益のためでなく国民を守るためにこの技術力を生かしてもらいたいものです。  すべては国民のために! すべては子供たちのために!