無精髭

無精者の日記です

放射能拡散予測???

2012-10-25 20:06:36 | 日記
 今日の朝刊に全国16原発放射能拡散予測が発表されました。
IAEAの避難規準に則り積算線量100mSVを超える地域を予測したものです。
発表されたデータによれば唯一稼動中の大飯原発はじめ柏崎刈羽、福島第2、浜岡の3原発が30Kmを超えています。 大飯原発の100mSV超え汚染予想地域は京都市まで達しています。 

 しかし、このデータには大きな疑問があります。 それはこのデータを算出した手法です。 漏れを予想した放射能の量は福島第一原発事故の予想値77京ベクレル、風についてはそれぞれの地域の過去に観測した年間データを使用し、地形データは使用せず平坦な地形が続いていると想定しています。 SPEEDIを使えば地形データも含めてかなり実態に沿った精確な予想が出来ることは福島原発事故時の実績があります。 それなのになぜあえてアバウトな結果をだすような手法を使ったのか、という疑問です。

 もとよりわたしはSPEEDIの仕様はわからないので今回のような予測にそぐわない理由があるのかも知れません。 が、すでにSPEEDIによるシュミレーションは他原発でもなされているはずでそのデータが著しく不都合なものだったのではないかと勘ぐっています。 なぜなら福島原発の事故では風向きと地形に沿って高汚染地域が30Kmの範囲を大きく超えて広がり、放射能を含んだ放射性プルームが福島市から二本松市を通り郡山市まで達して汚染を広げました。 つまり地形やその地形に沿った風速、風向きまで算定要素に含めてしまうと30Kmという範囲をこえてとんでもない地域まで汚染予想範囲が広がってしまう場合があるのではないか、ということです。

 福島の事故では国はもとより、福島県そのものがデータ隠しに躍起となって住民被曝を拡大させました。 原発隣接町村でさえ町長、市長の判断で住民避難させたのです。
その大きな理由は避難対象住民の数の膨大さです。 福島市まで避難対象となればもはや受け入れ側がパンクするでしょう。 福島県は住民被曝を甘受する方を選んだのです。
今回のシュミレーション結果を見る限り風向きに沿ってはいるものの割合平均的に拡散しています。 福島の経験ではきわめて狭い範囲に予想以上に遠距離まで汚染しています。 そうすると人口の少ない僻地に立地するはずだった原発が実は一旦事故がおきると大都市まで汚染することになり、原発立地(運転)は出来ないことになります。

 もっとも放射能拡散予測ばかりでなく、地震でも活断層の隠蔽や最大予想震度の低めの設定など大きな問題を抱えており研究者は事故のずっと以前から福島のような重大事故の発生を警告していました。 「原発震災 ・・・警鐘の軌跡」石橋克彦著 をみるとその恐ろしさがわかります。 事故前には全く省みられなかった警告でしたが、事故後は誰もが実感したことでした。

 世界の一割の地震が集中する日本、その地震集中帯に沿って林立する原発、狭い日本で原発政策の最も現実的な選択は原発ゼロなのではないでしょうか。
 そういえば先日南相馬市で福島県警音楽隊の演奏会があったのですが、その時に演奏された「宇宙戦艦ヤマト」がとてもリアルに感じられたのは私だけでしょうか?


止まったままのメガソーラー計画

2012-10-01 23:22:13 | 日記
 昨年の暮れだったと思いますが南相馬市桜井市長の話を聞く機会がありました。 その頃市は大きな問題を抱えていました。 それは震災復興に力を振り絞って働いてきた市職員の大量退職(100名を超える)の問題でした。 全力で頑張っているのに、市民の不満不安のはけ口にされて多くの職員が精神的なダメージをうけ定年前に退職しようとしているというのです。 翌年3月には看護士を中心に本当に大量退職が発生しました。 市長はこの町を復興に立ち上げるには職員にも市民にもわずかでも希望が持てる具体的な計画が必要で、その一つはメガソーラーなど自然エネルギーの建設や研究機関の誘致だ、と話していました。 ソフトバンクの孫正義社長のてこ入れでトントン拍子に進むかと思われたこれらの計画が一向に進まないと思っていたら、なんと農水省が農地転用に待ったをかけているというのです。 農地に住宅を建てたり農業以外の目的に使用する場合はこの農地転用許可を受けなければならず、この制度は農地の乱開発を抑止して食料自給率を高めようという農水省の方針に一定の成果を上げてきたことは事実でしょう。
 しかし、いま相馬郡、双葉郡においては津波被害に加え、放射能汚染で田畑は荒れ放題に放置されているのです。 とても優良農地などと言えるものではありません。 汚染の主体をしめるセシウム134、137の半減期は134が2年ほどですが137は30年と長くその比率は1:1とされているので放射能は10年ほどで半分以下になるでしょうが、その後はだらだらと100年あまりもかけて減少していくのですから、農家にとっては致命的です。 しかも田んぼで言えば耕地整理された優良田圃でさえ4割方減反させられているのです。 農地として不適格となった被曝地を転用して何とか復興しようとして知恵を絞っている自治体に冷や水をかけるような農水省の態度には驚きをこえて怒りを感じます。