無精髭

無精者の日記です

福島市も動く 小中学校などの除染対策 

2011-05-23 23:54:24 | 日記

 動こうとしない文部科学省を尻目に小中学校などの校庭の除染作業に着手していた郡山市に続いて福島市も市内の小中学校などの校庭の表土の除去を5月中に実施することを決めたようです。 以前から福島市内の汚染度は高く子供たちの被曝が心配されていました。 

 文部科学省は3.7μSvを超える県内13施設の校庭」などの使用制限を通知していましたが、福島県の資料によると実際はもっと多くの施設が該当していました。  福島市や郡山市の汚染度は原発からの距離が離れていたにもかかわらず高い値で推移していました。  この2市が避難地域に指定されなかったのは避難人口の多さであったことは今周知の事実です。  そもそも年間20mSvという値は国際放射線防護委員会の規準で言えば原発にかかわる人たちの許容量で、一般のひとは1mSvなのです。  事故の緊急時でこそ100から20mSvとなっていますが、今度の事故のように長期間にわたって大量の放射能を放出し続けるような事態は想定していないのです。  しかも20mSvという値は内部被曝を考慮しておりませんから実際の被曝量は外部被曝量の4倍80mSv(武田邦彦教授)にも達します。  100mSvを超えると何らかの健康被害が出るということは多くの科学者の共通認識ですから、文科省の規準がいかに高いものかがわかります。

 このような文部科学省の態度に福島の保護者はこの規準を見直し従来の1mSv/年に戻すよう求める抗議行動をしました。  政府および文科省はこれまでの子供や国民の安全を犠牲にする態度を改め、被害を最小限にとどめるためのあらゆる対策を実施すべきですし、自治体や保護者の自主的な対策に対して全面的に支援しなければなりません。

 朝日新聞の23日版の「声」の欄にチェルノブイリ事故当時にドイツで働いていた尾上さんという方が体験したドイツ政府の対応が紹介されていました。  その一部を紹介します。 「事故当初、風はチェルノブイリからフィンランドやスウェーデン方向に吹いていたが、ある時点から風向きが一変し、現場から1500キロ離れたフランクフルト方向に吹き始めた。 すると、すぐ居住地域の緊急告知で自宅待機を促され、職場も学校も休みとなった。 25年も前の話だが、今回の福島第一原発事故と比べて優れていたのは、情報公開の素早さと正確性である。 毎日、ドイツ政府当局が風向きや放射線量を予測し、それを参考に皆が行動できた。 また、公園や学校の砂場をすべて厳重に立ち入り禁止にし、数ヶ月かけて砂を取り替えた。 将来ある子供への影響を一番に考えた措置だった。・・・・・・・・」  

 これが、本来の国民の安全安心を守る政府の態度だと思うし、このような情報公開がなされていればパニックなど起こりようもないのではないでしょうか。  前代未聞の被害を受けながら世界からも脅威の目で賞賛されるような行動をした国民をも信頼しない愚民政策とも思える情報操作をつづける東電や政府の態度は許せるものではありません。  
このようなやり方が世界に誇る科学技術立国日本の実力が災害時に生かせない大きな原因になっていることはかなしいことです。  200億円といわれるSPEEDIは福島県民の被曝量を最小限に済ませるデータを事故当初から打ち出していましたが、そのデータが公表されたのは3月23日になってからでした。 気象庁も同様のデータを持っていました。 100数十億の開発費と安くない維持費をかけたシステムが全く生かされなかったのです。  福島県には3月13日にはこのデータが届いていたのですが、政府は県に対し口止めしていたといいます。  日本の国民が、福島県民が避難に一番大切な情報を知りえたのはドイツやスエーデン、オーストラリアの放射能飛散状況シュミレータでした。  結局、政府も県も住民の「安心安全」よりも優先するものがあったのでしょう。  また日本はロボット王国だったはずです。  高放射線環境での作業にアメリカのロボットが導入されましたが、「なんでー アメリカ製なの?」と誰もが思ったのではないでしょうか。  日本のロボット技術は世界の最先端です。  疑問が解消したのはやはりだいぶ日にちがたってからでした。  ここにも60億円もの税金をつぎ込んで開発されていました。  JCOの臨界事故のあとに政府は数社にロボットの開発を指示して数機のロボットが開発されたのですが、絶対安全の原発には無用の長物と電力各社は採用を見送り、1機が東北大学に引き取られた他は廃棄処分になったそうです(朝日新聞記事)。

 政府の対応には目を覆いたくなりますが、残念ながらこの政府を取り替える選択枝があるでしょうか。  自公政権は政・官・学で今の無批判の原子力政策を育て推進してきた人々なのです。  もし彼らが政権を握っていたら菅総理が決断した浜岡原発の運転停止などできたかどうか疑わしいし、今後のエネルギー政策にしても従来の路線から抜け出せそうもありません。  また、今菅首相を退陣に追い込むことはかつて福島県知事だった佐藤栄作氏を失ったような過ちを繰り返すことになりかねません。  今はしばらく我慢の時なのでしょう。