無精髭

無精者の日記です

目標は1ミリシーベルト 保護者の訴えが文部科学省を動かす

2011-05-27 21:53:21 | 日記

 今日はうれしいニュースが飛び込んできました。  小中学校等の被ばく線量の目標を1mSv/年にすると文部科学省発表しました。   福島の保護者の声がやっと政府に届いた瞬間でした。  今できることはできるだけ早く実行することが大切です。  これまでは知りえたデータも既知の対策も活用するどころか隠蔽されてきました。  ここにきてやっと様々な事実が少しづつ明らかにされ、政府も対策に乗り出しました。  遅きに失したとはいえうれしいことです。  

 頼りない民主党政権ですが、自公政権であればこうはなっていなかったのではないでしょうか。   様々な公害訴訟、エイズ問題など被害者の声が政府に届くまでどれだけの犠牲者の命が積み重ねられた知れません。  もっとも放射能被曝はこれまでの間に大半の被曝を許してしまいましたし、その犠牲は今後10年~20年の歳月を経て検証されるべきものですが、国民の意志に対する態度の違いは評価すべきものがあるのではないでしょうか。

    
 話は少し変わりますが、国会で散々問題になった福島原発1号機の海水注入の問題です。
官邸の意向で海水冷却が止まったとのかどうか、議論の焦点になった原子力安全委員会の斑目委員長の「私はいったいなんだったんでしょう。」という発言に象徴されるように、この国の中では何が事実か判別不能に陥ってしまったようです。  賢明にも現場責任者である福島第一原発所長の吉田氏は本社との会議では海水注入中断に合意したものの、実際には中断せず海水注入を続ける判断をしました。  また事故後の防潮堤の建設問題でもこれを拒否する本部に対して「こんなこともできないならやってられない」と開き直ったと報じられています。
日本の運命を左右するような重大な決定が所長の知見と勇断により決定されたのです。

 これは決して東電の組織だけに起きている問題ではありません。  どこの会社、組織でも少なからず起きている問題です。  「本音と建前」 高度成長を経て巨大化した資本は少しづつ現場から遠ざかり、下請け、請負、派遣と自分自身をも見失う様な変身を遂げました。  その結果本社は損益しか興味をもたず、はるかかなたにある現場は中小零細会社が担っています。  大企業といわれる組織はほとんど内部は空洞化してしまっています。  技術立国と言われてきた日本の技術を支える部門が消えようとしているのです。  現場の仕事をしているのは孫請、ひこ請け、その社員もほとんど派遣社員や臨時社員です。  現場の声が本社に届くルートなどあるはずもありません。  万が一届こうものなら最末端の会社はその責任を問われ倒産の憂き目に会ってしまいます。  このような企業風土の中で生き延びるためにはどんなに重大なことでも判断基準は会社の存続であるだろうし、自身の生活です。  その結果は明らかです。  会社の会議では架空の事実に基づいた真摯な?議論が交わされ、現場には現実とかけ離れた方針が示される。  吉田所長は派遣や臨時社員ではないでしょうが、会社組織は上から下までこの病魔に汚染されています。  まともに仕事をしようとしたら本社の命令など脇に置かざるを得ないというのが実態ではなかったでしょうか。  ましてや東電では原発の不祥事が多発する中で原発に携わる幹部は左遷され中枢幹部には原発の専門家はいないということです。

  しかし、現実はそう甘くはありません。  架空の儲け話は長続きするはずがありません。  アメリカのリーマンショックに代表されるように。  利益は人々の生産活動に依存します。  お金がお金を生むはずはありません。 どんな社会でも利益の根源は人々の生産活動にあるのです。  架空の安全理論の上に築き上げられた原発は自然の猛威の前に脆くも崩れ去りました。  情報隠蔽の片棒を担いだマスコミも安穏としてはいられません。  ネット社会はここでも威力を発揮しています。  善悪入り混じりながらも真実を伝える役割を担っています。
混沌としたこの時代ですがもう少し希望をもってもよさそうです。