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進化続く製造プロセス・装置 半導体や電子部品のファインピッチ化・高密度化に対応 

2012-01-05 | 実装技術



 スマートフォンやタブレットPCのが急速に普及する中で、軽薄短小、高機能化を実現するための半導体、電子部品のファインピッチ化、高密度化が進み、これに伴って製造プロセスや製造装置も進化を続けている。

 ウエハーレベルのデバイス加工からキーデバイスのパッケージング、モジュールやIC実装、PCB組み立て、3次元実装、モジュール実装、印刷、SMT(表面実装)はんだ付け、フロー・リフローの前工程から後工程に至る革新が続き、材料の進化が革新を支える。

 一方で、コスト低減も大きな課題になっている。


●3次元実装で高密度化

 シリコンウエハーは、インゴットと呼ばれる原料の種結晶を円柱状に結晶成長させ、薄くスライスした円盤状のもので、これが半導体デバイスメーカーに出荷された後、半導体素子などを焼き付けたIC、LSIなどのチップの基板として使われる。

 ウエハー径300mmから450mmへの移行が大きな関心事。ウエハー面積が拡大すれば、1枚のウエハーからとれるチップ数も増加し、チップコストは理論上30%程度低減するとされる。

 450mmは投資が膨大になることから半導体メーカーの動きは慎重だが、ムーアの法則のコストターゲットからして量産は2015年、18年、もしくは、20年との見通しもある。

 「線幅20nm以下の微細化技術は必須。EUVか、大面積化(Φ450mm)、液浸法、ダブルパターニング法にするのかを決め、遅くとも15年には量産したい」(TSMC・林本堅開発副社長)と取り組んでいる。

 ウエハーの大口径化によるファインピッチ化が膨大なコストを必要とすることから、同一パッケージに複数個のチップを積層して搭載することで高密度化を実現する3次元実装が注目されている。

 「3次元化には材料・設計・前工程・後工程・製品化の広範囲にわたるシステム統合技術が必要。3次元実装技術の標準的な方法は、東北大学で生まれた。多岐にわたる寄せ集め技術は、日本が強く、存在感を発揮できる領域である」(東北大学・小柳光正教授)と3次元実装技術の日本の優位性を指摘する。

 3次元実装技術は進化し、15年にはCPU、DRAM、フラッシュメモリー、MEMS、RFデバイスなどをすぺて3次元実装した製品も登場すると予測されている。


●フリップチップ工法に注目

 また、半導体チップをパッケージングしないで実装するベアチップ実装や、チップ表面と基板を電気的に接続する際、ワイヤ・ボンディングのようにワイヤによって接続するのではなく、アレイ状に並んだパンプと呼ばれる突起状の端子によって接続するフリップチップ工法も注目されている。

 「スマートフォンに代表されるモバイル機器に搭載される半導体パッケージはますます高密度化し、フリップチップが主流になる。宮崎工場でボール径最小20μmまでのはんだボールの月産1兆個体制を整えた」(千住金属工業・長谷川永悦社長)といった動きもある。

 スマートフォンや、タブレットPCなどの大量生産に向け、プリント基板に半導体チップや電子部品を搭載するマウンタも進化を続けている。

 これまでは1枚の基板を1台の装置で流す方法だが、二つの基板搬送ラインで1台の装置で同時に2枚を生産するデュアルレーン生産方式が注目されている。

 これにより生産効率が大幅に向上し、デュアルレーン生産は片方ずつ別の基板も流せることから、少量多品種や変種変量生産にも適応しやすいとされる。すでに、台湾系や中国系の大手EMSが同生産方式の導入を始めている。

 富士機械製造、パナソニックファクトリーソリュ-ションズ、ヤマハ発動機などが力を入れている。

 「マウンタだけではなく、デュアルレーン生産方式に対応した印刷機の製品化を進めている」(ヤマハ発動機・藤田宏昭執行役員IM事業部長)と、製品開発が加速する。

 
●銀レスはんだの製品化活発

 はんだ材料の多様化が進んでいる。はんだ業界では、環境問題からかつてのSn(錫)Cu(銅)Pb(鉛)系に変わって鉛フリー化しAg(銀)を加えたSn(錫)Ag(銀)Cu(銅)系はんだが広く普及している。

 日本ではSn-Ag-Cu系のSAC305(銀の含有率3%)を業界標準として普及してきた。

 ところが、高騰する銀の価格により、Sn(錫)Ag(銀)Cu(銅)系はんだの銀の含有を減らす低銀化や銀を含まない銀レスはんだの製品化も活発になり始めている。

 Ni(ニッケル)やBi(ビスマス)などの材料を微量に添加することで低融点化、高強度、高信頼などの実現に向けた工夫が進んでいる。これもモバイル機器などの高性能化と、一方で求められるコスト要求に対応したもの。

 0402部品の一般化、部品内蔵基板の進展、さらには半導体チップや電子部品を印刷に置き換える「プリンタブルエレクトロニクス」の試みなど、あくなき挑戦が進む。





【記事引用】 「電波新聞(第2部)/2012年1月5日(木)/1面」


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