ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

鳩時計。

2006年10月19日 | blog


妻は四角好きである。

どれくらい四角好きかというと、
ヤフオクで「四角」で検索するほどの強者である。
そんなプリミティブな検索ワードがあったか、と目からウロコ。

まぁとにかく、そんな話を週末の友人宅でしていたら、
奥さんが「それならぜひもらってほしいものが」と、
出してくれたのがこのハト時計。

グラフィックデザイナーの彼女が、オランダ留学時に購入して、
部屋に飾っていたものだとか。
ものすごくかわいい。

一見なんちゃってハト時計のように見えるけれど、
じつは数百年前から変わらぬ機構。100%アナログ。
動力は、重力に引かれた、とうもろこしのような重りが下がるチカラ。

がらがらがらっとチェーンを引いて重りを持ち上げて、
振り子をそっと揺すると、カチカチ動き出します。

スキマから見ていると、木と紙(!)でできた「ふいご」が
徐々にふくらんでゆき、15分に一回、「ぽぅ」と鳴きます。

まるで、縦笛をくわえたままの小学生が、ふとため息をつくように、

「ぽぅ」

なごむことこのうえない。

時計はものすごく不正確で、一時間に5分ずつくらい狂ってゆきます。
たぶんオランダと日本では、重力とか空気の密度が違うのでしょう(ウソ)。
この脱力サウンドをまえに、時間なんて、もうあまり気にならない。


「ぽぅ」

グリコのおまけのような質感と、
けれどかっちりしたカチカチ音と、
脱力系の鳴き声に、参りっぱなしです。

「ぽぅ」