ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

それで「あなた」は買ってくれますか。

2006年02月28日 | blog

「できないんじゃなくて、やらせてもらえないんだよ。」

ちょうど10年くらい前、職探しをしているときに出会った、ちいさなデザイン事務所のひとは、面接の席で言いました。

「べつに日本のメーカーのデザインがわるいわけじゃないの。インハウスでも事務所でも。やろうと思えば、イタリアなんかのデザインに負けないようなものができるデザイナーは、いくらでもいるんだ、日本にもね」

もうその事務所の名前も場所も思い出せない。

その頃は「そうかなぁ、そうなんだ」くらいにしか思わなかったけれど、のちにメーカーに就職したわたしは、その言葉を実感したことがあります。

確かに、「デザイナー」が「いいデザインだとおもった」ものが、「やらせてもらえる」機会はすくない。めったにないと言ってもいい。

なぜ「やらせてもらえない」のか。
それは、じつにいろんな「事情」(ああ、事情!)があって、どこかひとつを取り出して論ずるのは難しいです。自分でも整理できてないし。

でもあえて、誤解を恐れずに言うならば(怖いけど)、
過去そういう「デザインが先にたった」商品は「売れなかった」。

「売れない」ものは「作らない」。

「グッドデザイン取ると売れないって言われてたんだよね」と言う上司もいました。
そう言われていた時代も、あったのだろうとおもいます。

さらに誤解を恐れずに言うならば(さらに怖いけど)、
そんなモノが売れない原因は、
「割高」で「使いづらい」からだったとおもいます。

適正価格で使いやすければ、
デザインが「よくても売れる」んだろうとおもいます。
ユニクロとか。
ぎりぎり無印良品とか。

デザインが良いというだけで割高になっているもの。
まして使うことに「やせ我慢」を強いるようなものは、買ってもらえない。



だからね。
「今は」高価でもいい。
うつくしくデザインされたものの「価値」が浸透するまでは。

売れなければつくらない。
つくりたくてもつくれない。

だから私は買うんです。
作り手としてもがんばるけれど、買い手としてもがんばってゆきたい。
…というか、まぁ、趣味だけど。



「やらせてもらえる」機会が増えれば、
いずれあたりまえのことになってゆくでしょう。
「デザイン家電」が消える、その日まで。




CHEMEX、コーヒーサーバー。

2006年02月28日 | blog


我が家では「ケメコ」の愛称で親しまれている、
ケメックスのコーヒーサーバーです。
一人暮らしの頃は、たまの来客時しか使いませんでしたが、
二人暮らしになって毎朝使うようになり、使用感も変わってきました。

皮ひもが固くてほどけなかったんですが、
なじんでくるとほどけるようになります。
やはり木部は湿らさないほうがいいみたいなので、
毎回ほどいてはずしています。

これを毎回「着せる」んですが、ちょっとめんどくさい。
ケメコを寝かせて、きものを着せるように、帯を結びます。

帯をじっと見て、
「もしかしてこれは『輪ゴム』でもいいのでは…」
とか考えたりして。

ペーパーフィルタが専用なんですが、ちょっと変な形で、
折り曲げて漏斗(ろうと)にすると、
はんぶんは2重、はんぶんは4重になります。
なんか変なんですけど、
取り説みてもどう折ってもそうなるのでしょうがない。

紙が厚手なので詰まりやすく、
豆は「カルディ・コーヒーファーム」で少し荒めに
挽いてもらったのをつかっています。

おなかの凸ポッチが「2杯分ここまで」の印であることに、
最近気づきました。

中を洗いにくいというのが問題です。

もともと「実験器具」をモチーフにしてデザインされたものだから、
「試験管洗い」とか「フラスコ洗い」とかがいいんじゃないか。
いろいろと探していたら…同居人が見つけてきました。

その驚くべき「ケメコ洗い」についてはまた次回。




D&DEPARTMENT、アデリア60 ルック・コーラグラス/アメジスト。

2006年02月27日 | blog

写真ではいつも「気になって」いて、
でもお店で現物を手にするたびに「うーん」となってヤメてたんですが。

これ、元は切子(きりこ)のデザインだとおもうんですね。
でも型モノで、エッジはとろ~んと甘いし割り線は見えてるし、
飲み口がやたら「ぼってり」と厚い。
んー、なんかちがう。

もっとしゃきっとしたエッジが「そもそも」なんじゃないかなぁとおもって、
そっと棚に戻してました。

さいきんこの深紫色が発売されて、やはり「うーん」となるんですが、
でも透かした色目がなんともきれいで、
「ためしにいっこ買ってみよ」と連れて帰りました。

つかってみたら。これはなかなかいいです。

切子のばったもんじゃなくて、
「そもそも」こういうあまーいかたちなんですよ。

ぶあついので重いんですが、持ったときに、まるいへこみに「ぴた」と指がはいります。
あまいエッジを指でなでていると、飲み口のまるさもだんだん心地よくなってきます。
しっかりしていて、ガラスなのに「あんしん感」があるんですね。

相変わらずD&Dのセレクトは、
実生活に溶け込んで違和感なく、「そして」かっこいい。

折に触れて限定色を出しているようですが、んー、買っときゃよかった。
色違いを一個ずつそろえていったら、きっとたのしいです。

ワイングラスを割って以来、うすいグラスを使うのが
ちょっと「おっくう」になって、最近こっちをよくつかいます。
ワインを入れると保護色で、どれだけ飲んだかわからない。

だからよっぱらっちゃうんれすよれー。
ドンだけ飲んだかわかあんなくなうからー。
あはははー。



D&DEPARTMENT、ヤマギワ、Y60。

2006年02月26日 | blog

以前、この照明器具の構造について触れましたが、
わかりにくかったので、画像再掲載。

今日あらためて細部をみたら、そんなにつくりはよくないですね。
塗装が流れて溜まっていたり、ごみがはいってたりしました。
「近くで見ない」から、わからないですけど。

2個あるんですけど、構造が微妙に違ってました。
上部熱抜き穴の中のつくりがちがう。

片方デッドストックだったりして??


デロンギのミトン。

2006年02月26日 | blog


毎日ホーローのポットでコーヒーを煎れているんですが、
綿のミトンは、ポットが滑るんです。

無印良品のミトンは、わるくはないんですが特に良くもない。

いいのをずっと探していたんですが、
同居人に連れて行かれた渋谷の雑貨屋で出会いました。

カタチやステッチがちょっとおもしろいのはもちろん、
付け根に縫い込まれた革に注目。ううん、いいかも。

無印良品でも「ふつう」に使えているので、その日は買わず、
じっくり考えて数週間後に買ってきてもらいました。2100円。

予想通り、ポットの持ち手が「ぬるっ」と滑ることはなくなりました。
ちょっと変わったカタチも、つかむときに布が溜まらず突っ張らず、
いいあんばいです。

デロンギの製品、持ってませんけどね!