ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

由来。

2005年12月31日 | blog


今年の10大ニュースのひとつに、3月に「詩人宣言」をしたことがあります。
とくにキッカケがあった訳ではないんですが、
ただ、「今日から詩人を名乗ろう」とおもったのです。

もともと文章による表現が好きで、
なにが好きって「メール」。
仕事でもプライベートでも、「メールの文章」を
大事に書くようになって。

ことばの表現に一所懸命になっていると、
書いた文章は、内容を問わず、
じぶんにとっては大事な「表現」だなぁと感じるようになって。

カテゴリや様式にとらわれず、ただ文章の表現をたのしむ。
それをあえて言うなら「詩」じゃないか、と気付いたんです。

「何やってる方ですか」
「詩人です」
「…は?」

それ、おかしいでしょう。
ちょっと間抜けなカンジもいいなぁとおもって。

人を招いて料理をするのが趣味ですが、
そういうこととか、
ふだんカイシャでやっている「デザイン」とか、
つきつめると同じ「表現」であって、
じぶんにとっては「詩」じゃないかと。

「ポエトリー・デザイン」にはそんな思いがあって、
あとはもちろん映画「ポエトリー・セックス」の
タイトルから来ています。

というわけで、今日も詩人がお送りしました。
良いお年を。



気持ち。

2005年12月29日 | blog


「モノの気持ちがわからないひとは、人の気持ちもわからない」。

いやぁ名言ですね。
誰が言ったか?俺です、おれ。

バカとハサミは使いよう、とか言いますが、
道具というのは正しく使うと長持ちするし壊れない。痛まない。
モノの作りや構造がわかっていれば、そのモノを壊すこともない。

モノと人を同化するような言い方はどうかとおもいますが、
「モノは人がつくっている」ことをお忘れなく。
「デザインはコミュニケーションである」と言ったデザイナーがいましたが、
「モノの気持ち」がわかるということは、
モノをつくった「人の気持ち」に触れることでもあります。

だから、モノの気持ちがわからないようなひとは、
人の気持ちもわからないとおもうんです。

ハヤリの言い方で言うと、「リテラシー」とか?

たとえば、携帯のアンテナの先がない人とか、あんまり信用しません。
バイクの鍵がねじれて曲がってるひととか。
パソコンしょっちゅう調子悪い人とか。

いや、いいですよそういう人にもいい人はいますけど、
モノづくりに携わる人としては、なんだかなぁとおもうんです。

それとは別に、「モノはかくあるべし」という価値観がハッキリあって、
ガシガシ使い込んで壊れたら「壊れるのがわるい」という人もいますが、
それまたそれで「正しい」ですけどね。
(そういうひとの酷使に耐えるモノはまた、かっこいい)

うーん、でもなかなかねぇ、「モノの気持ち」がわかっちゃうと、
それってできなくなっちゃうなぁ。
モノに「同情」すると「甘く」なっちゃうのかもね。
でも「仲良く」なりたいし。

一度は偏見を捨てて「モノに身体をあわせて」、
慣れも含めて判断するカンジかなぁ。
だから時間かかるよね。



±0、加湿器(続編)。

2005年12月28日 | blog


「ちょっと使いにくい」旧型を使いこなすための工夫。

インターバルタイマーを買いました。
時間指定で2回まで「入」「切」ができます。
就寝時に「入」。
真夜中に「切」。
明け方に「入」。
水が切れる頃に「切」。
5時間しかない加湿時間を、
タイマーでコントロールするわけです。

このタイマーは、照明器具とか扇風機とか充電器とか、
タイマー機能のない軽家電?に、いろいろ使えるので、
あるとなかなか便利です。

ちなみにNational製なので、60Hzにセットされていました。
「上方」周波数。

それから、補水時に、あのまるくてつるつるしたタンクを
持ち歩くのは不便なので(新型はタンクの内側にハンドル内蔵!!)、
ペットボトルに水を入れて置いておくと便利です。
容量もちょうど2リッターだしね。

あとは、補水時には念のために、本体側のコンセントを外す。
万が一、水がかかることがあるかもしれないので。

ううん、今書いてること、ほとんど新型では解決してるなぁ。
けっきょくやっぱり新型ほしい。ははは。

(ええと色はそうだなぁグレイか……グリーンも……いやオレンジ……)


D.B.K.、THE ACADEMIC。 D&D、斉藤アイロン台。

2005年12月28日 | blog

クリーニング屋がないんですよ。
クリーニング屋がないんですよ。
全然ないんですよ。
しょうがないんで買いました、アイロン。

べつにレトロなものが欲しかった訳じゃないんですけど、
なんだかやたら流線型の、尖ったものしかないんですね、今。
「デザイン家電」が、まだない世界。

しょうがないんでいろいろ探して、
この蒸気機関車みたいなのにしました。
きっと昔のままなんでしょうけど、
アイロンの機能なんて、べつに変わってないから
これでいんだとおもいます。

しかしなぜ「アカデミック」なのか。
学術的アイロン。
何だ、そりゃ。

アイロンには一時凝ったことがあるんですが、
アイロンがけってアイロン本体よりも、
アイロン台で決まるような気がします。

や、それは言い過ぎかもしれないけど、
すくなくともシワ伸ばしの要素の「半分」は台ですからね。

これもまたいいのがなくて、D&DEPARTMENTで買いました。
これはちょっと高かったなぁ。
アイロン本体の倍近かったもん。

でもしっかりしていて使いやすい。さすがプロ用。
こういうのって半端なものでガマンするよりも、
思い切ってちゃんとしたもの使った方が「ラク」です。
たたむとかなり小さくなるので、大丈夫ですよ。

畳みかたが、慣れないとよくわかんなくてじたばたします。

D&DEPARTMENT、SEIKO、船舶時計。

2005年12月27日 | blog
はじめてD&DEPARTMENTでこの時計をみたときは衝撃でしたねぇ。
確かに知っている。とてもよく知っているけれど、どこで見たのかは思い出せない。

古い駅舎?バスの中?学校の放送室?

大好きだったテレビドラマの小道具を買うような気持ちで、
我を忘れて購入しました。

これは施設(壁)にぴったり「据え付けて」あるべきものなので、
悩んだ末に、外周のゴムパッキン(ゴムパッキン!)部分を、
貼ってはがせる両面テープで貼り付けました。

いつかどこかで見た、でもなぜか手にすることなど想像もつかなかったものを
手にしたことのワクワク感。なんでしょうこの感じ。
デザインの善し悪しではない(?)記憶と刷り込みに根ざした感動。

D&DEPARTMENTで購入したモノは、随時紹介してゆきますが、
いずれも「生活の中のリアリティ」を色濃く持っているというか、
オシャレ空間の「外」でもその輝きを失わない、
「腰の据わった」デザインばかりでうれしくなります。

今後もよろしくお願いします。

±0、加湿器。

2005年12月26日 | blog

お待たせしました。
デザイン家電の真打ち登場でおま。

去年の夏頃に買ったんですが、登場に時間がかかったのは、
さいきん(やっと)リコールに出していたからです。
リコールが出たのは春頃ですが、引っ越したりしていて、
加湿器シーズンになるまで、めんどくさくて忘れていました。
修理に出して、再度届くまでの期間は10日ほど。

最初に開封して思うのは「うおおでかい」ということ。
フルフェイスのヘルメットをごろんと置いたくらいの
ボリュームがあります。
置く場所選びます。

そしてこの色。
およそ普通の家にはない、この強い色。
視界に入ると思わず「2度見」しちゃいます。

あとは匂い。
塗装仕上げなので、新品のうちしばらくはシンナー臭い。

世の加湿器って、ぱっと見「加湿器」だか「除湿器」だか
「イオン発生器」だか「浄水器」だかわからないでしょう。
カタチの「よりどころ」がないモノのデザインは難しい。
その構造とか機能とかイメージとかで、デザインが決められないからです。

それを、「水滴」とか「張力」とかの、きわめてプリミティブな
イメージでカタチにしたのは、やはりすごい。
あの「くぼみ」から、「出るべきして蒸気が出ている」感があります。
今まで見たことがないはずなのに、この説得力。
床を照らす緑のランプもしびれます。LEDの光の特性をよくわかっている。
なにか「いいデザインに賞をあげるイベント」があれば、
受賞してしかるべき「デザイン」だとおもいます。異議なし。

機能的な問題はいろいろあります。

タンクを外すと、結露した水が、本体からぽたぽたと
こぼれて床を濡らします。
コンセントまわりにも水がつくので怖い。
タンクを装着するときは、本体とタンクについた水を、
ていねいに拭き取る必要があります。
水を入れた状態では、水がこぼれるので、持ち運ぶことができません。
コンセントを入れると、部屋の湿度に関係なく全開で加湿を始め、
約5時間でタンクが空になります。
水が無くなると、加熱皿の電気は切れますが、ファンが止まりません。
つまり、寝るときに使うと、夜明け前に水が無くなって、
でもファンが止まらずうるさい。

リコール後の変更点は、

1)ゴム足高さ追加(3ミリ)、色が黒から白に
2)蒸散皿まわりの構造変更、部品追加
3)によって、本体とタンクの噛み合わせが4ミリほど浮き上がる
4)コンセントまわりのパッキン追加
5)別売フィルターの添付、こまめな交換を推奨

などです。
リコール自体は、工業製品には起こりうるものなのでとやかく言いません。
かなり徹底していて、真摯な対応だとおもいます。

最近発売された新型は、かなり改良されています。
タンク容量が1.9リットルから2.4リットルになり、
連続加湿時間は8時間になりました。
60%湿度を維持するように断続運転が可能で、
水が無くなればファンも切れるようです。
補水時の水滴の始末はわかりませんが、
構造はまるっきり新設計のようです。
買うなら絶対に新型をおすすめします。

なぜ旧型が併売されていたのか疑問でしたが、
在庫を売り切るだけで、随時販売終了するようです。

わたしも新型がほしい。
すごくほしい。
でもこのちょっと使いにくい旧型を、人に譲るのもナンだし、
処分するのは論外だし。
一冬使って「ちょっと面倒」と感じていたので、
リコール出たときは、けっこう愛が冷めました。

でもあらためて、「帰ってきた」こいつを使い始めると、
「やっぱいいなぁ」なんてしみじみ思います。
リコール対応の徹底ぶりにも、なんというか
「いちど世に出したこの商品を、何があっても絶対に殺さない」
という、執念のようなものを感じました。

ねえ、ほんとうに、
いままでこんなにすばらしいデザインの加湿器なんて、
いや、こんなにすばらしいデザインのカデンなんて、
世界中のどこにもなかったとおもうんです。

±0の製品全般に思うんですが、
「デザインがメーカーの技術力を超えてしまっている」と感じます。
デザイナーが無理を言い過ぎて、製品に不具合が出るのはよくあることです。
そこで起こる不具合に、文句をつけるのは簡単ですが、
けれどだからこそ、「どこにもなかった」ユニークな商品が
生まれるのだろうとおもいます。
結果的に、メーカー(日本電熱)の技術レベルは、大躍進したはずです。

たとえば60年代とか、いわゆるカデンの黎明期、
倣うものが何もないなかで、よかれと思って作られていたカデンって、
もしかしたら同じ匂いを持っているのかもしれません。

がんばれ、±0。
まけるな、±0。
これからも買うぞ。俺が買う。



バースデイ。

2005年12月25日 | blog

先日子供が生まれた友人夫婦が、
クッキーを送ってくれました。
子供の手のクッキーです。かわいい。

こうやって、自らのしあわせを、
人々に伝搬させるような人間になりたいものです。
おめでとう。

メリークリスマス。

パッケージと包装紙。

2005年12月25日 | blog

消耗品のパッケージというのは、
いまひとつどうにもなりませんな。
はがせるものは、はがすんですが。
台所のジョイとか。

これはトイレの消臭剤ですが、
D&DEPARTMENTで食器を買ったときの
包装紙で巻いてみました。
D&DEPARTMENTでは、ワレモノを買うと
新聞紙ではなく雑誌の紙で包んでくれるんですよね。
STUDIO VOICEだったりして、ほほうとおもう訳です。


ブリジストン、アビオスツアラー。

2005年12月22日 | blog


自転車通勤をはじめて、ほんとうに人生変わったなぁとおもう。

2004年の正月に、学生時代から10kg以上、
しかも半年で5kg以上太ったことを発見し、
中年への岐路を軌道修正するために乗りはじめたんだけど。

片道10kmの通勤を毎日続けて、
半年で12kg落ちました。
これはうそじゃないです。

けっきょく普段の仕事では「筋肉」をほとんど使っていないので、
いくら「頭脳労働」で疲れていても、漕げるんです。
むしろ疲れているときの方が飛ばすカンジ。

身体が健康になると、気力も出るし集中力も増します。
養老孟司センセイが言われているように、脳も身体です。

ブリジストンは頑固な会社で、いまだに埼玉県の上尾市で、
自社生産を続けています。
自転車屋でのアルバイト経験があるわたしは、
その品質の高さをよく知っています。

この自転車は、「団塊の世代」向けにデザインされたものだそうです。

まぁそんなことはお構いなく、価格と構成をみて決めました。

自転車のデザインって、グラフィックデザインというか、
構成要素が「面」ではなく「線」なので、
その描きかただけで、印象が決まるとおもいます。

これはひとことで言うと「ボールド」。
太いダウンチューブ、厚みのあるエアロリム、ウレタン巻きのハンドル。
それぞれの構成要素がちょっとづつ印象的なシルエットを描くので、
全体としてとても特徴あるアイコンになっているとおもいます。

乗り味はすこしクセがあって、軽快感をとても強調していて、
だから低速ではバランスしにくいです。
オートバイのように重心を後ろ寄りにして、
ハンドルをこじらないように意識するカンジ。

そこそこ軽い車体と、26×1.0という、小径で細いタイアのおかげで
キビキビと効率よく走れます。

構成も価格も中途半端で「わかりにくい」ので、
あまり売れてないみたいですが、
なんとなく買ったおじさんの満足度は高いとおもいます。

なにより私にとっては「人生変えた」自転車です。
大事にします。


SONY、ICF-B100。

2005年12月21日 | blog


ラジオ好きです。

台所とかお風呂で使うのに、
こういう「災害用」の防水ラジオをおすすめします。

これはなかななかすぐれもので、
電池ボックスに凝ったスプリング機構が組み込まれていて、
単一、単二、単三の電池が使用できます。

電池に関しては、先日のグッドデザイン賞で
松下の「電池何でも使える懐中電灯」が
大賞候補になっていましたね。
それだけ、電池の種類を克服するのって、
難しいし、需要というか「必要」があるんですね。

また、非常用のリチウム電池も内蔵していて、
とにかく「電池切れ」に対して、徹底的に対抗しています。
レイゾウコ、デンキなければタダのハコ(古い)。

ブザーと簡易ライトも内蔵しています。
ライトがLEDじゃないのが、ちょっとだけ設計古い。

デザイン的には、360度どこから見ても、
細部に至るまでまったく「スキがない」です。
こういうのって実際ここまでデザインするの、かなりタイヘンです。

いわゆるSONYっぽさっていくつか「お約束」があると
おもうんですけど、そのうちのひとつの典型だとおもいます。