ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

『ゼロ・グラビティ』。

2014年04月28日 | blog
iTunesレンタルで。

なんというシンプルな映画だろう。
無音の恐怖の美学。

しかし疲れたなー。ピンチに次ぐピンチ。時系列がそのまま進むので、休むことができない。アメイジング・スパイダーマンにしときゃよかったかな(迷った)。

ジョージ・クルーニーの軽口ヤンキーぶりは良かった。絶望的な状況で常にジョークを欠かさないそれは「アメリカの良心」そのものだ。反面、ずっと考えていたのは、これなんでサンドラ・ブロックなんだろう、サンドラ・ブロックじゃなきゃならない理由は何もないんじゃないか?ということだ。

『コンタクト』のジョディ・フォスターは良かった。ジョディ・フォスターが演じるのはいつも「存在の違和感」だ(ジョディ・フォスターの出演作品を思い出してほしい。全てに共通するのが「存在の違和感」だ)。あの浮世離れした容姿とダサい私服が、尋常ではない研修者というキャラクターに不思議なリアリティを与えていた。サンドラ・ブロックにそういうのは感じられなかった。

いや、そんなことが気になってしまうのも、2Dで見たからだろう。今年のささやかな目標は、3D映画を劇場で3Dで観るということだ。ささやかすぎて泣ける。

スーパーヒーロータイム。

2014年04月27日 | blog
鎧武に限らず東映ヒーローものがいつも凄いと思うのが、見た目もアクションものっけからカッコ良くなけりゃ見てもらえないのに、必ずもっと強い敵が現れて負けて、復活してもっと強くなるというお約束の演出だ。アクションという限られた見せ方の中で「圧倒的な強さ、を超えた強さ、をさらに超えた」的に強さレベルがインフレを起こしていて、演出としては相当しんどいと思う。

最近の国産ヒーローが様々なガジェットで武器や攻撃の形態を変えたり、パワーアップステージで違うスーツに変態するのはそんな強さのインフレを解消するのにすごく有効だし、ガジェットもフィギュアも何個も売れるしで本当によくできていると思う。

「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」

2014年04月26日 | blog
作品多くてお得です。いきなりそこか。

会場で流れてた懐かしいマクセルのテレビCM、ウォーホールってあのイメージ…血圧低そうなオッさん…だったんですが、凄まじい作品の多さに「なんてエネルギッシュに活動していたのか…」と圧倒されます。あんなゆっくりした動きでどうやってこんなに大量の作品を…人が見てないところでは素早かったのか?

「シルクスクリーンの人」程度のイメージで行ったら、ドローイングの上手いこと素晴らしいこと!「70年代的おしゃれ素描のスタイル」ってウォーホールが原点なの?!と思ったり。

そしてきわめて有名な、あの鮮やかなシルクスクリーン群。

現物を見る醍醐味というのは作者の手順が見えてくるところですが(シルクスクリーンという手法だと単純に版の重ね順がわかりますね)、あのシリーズって全体的に「ラフ」なイメージだったのに、色彩も版もすっごい緻密な構成なんですねー。そして重ねられているドローイングの躍動感。いやーこの人めっちゃ絵ェうまいわー(笑)。

そして何より「商品」としての完成度です。『誰にでも、わかりやすく、欲しくなる』。これってアートとして、本当に凄いことですよ。

あと名言コーナーで、

『70年代に「誰でも15分だけ有名になれる」と言ったがもう古い、今なら「誰でも15分で有名になれる」だ』

というのはゾクッとしましたね。SNS全盛のいま聞くと。

知ってるようで知らない、アンディ・ウォーホール。見といて良かった。夕日のポスター買いました。額が高かったので額だけ別に買う予定。ウォーホール、最後に欲しくなって買う、というのが正しい鑑賞法です。

使いやすく見えるデザイン。

2014年04月25日 | blog
GUIデザインをしていると、「使いやすく見えるデザイン」という言葉が出てくることがある。変な言葉だ。「使いやすく見える」ということは、それすなわち「使いやすい」ということではないのか。逆に、使いやすく見えなかったら、それはすでに機能として使いにくいだろう。

GUIのデザインにとって、視覚的な印象は、そのまま機能だ。

逆に、「使いにくく見えているだけで、本当は使いやすい」デザインってあるのか?と考えてみる。ある。プロ用機器の場合。素人にはとっつきにくいが、習熟した人には使いやすいというものだ。

そういうプロ用機器というのは、「情報の一覧性」と「操作のダイレクト性」をギリギリまで両立させていることが多い。簡単に言うと・ごちゃごちゃしている。そして、ユーザーによってカスタマイズできるものが多い。

使いやすく見えるだけで、本当は使いにくいデザインってあるのか?

ないことはない。見た目は良くても、レスポンスが極端に悪いとかだ。ああ、なんだか色々思い当たってしまってつらくなったのでこのへんで。

俺がいいと思ったものが、売れるといい。

2014年04月24日 | blog
商品企画者によくいるんだけど、今売れているものが何で売れてるのか全然わかんない、どこがいいんだろう、とかいう人。

好き嫌いは置いといて、いま多くの人に受け入れられている物事については、いったん肯定して受け入れたほうがいいんじゃないかな。商品企画者なんだから。

メーカーにいる以上、たくさんの人に向けた商品を作っているわけで、自分の基準と流行っているものがあんまりズレちゃ困る。好きじゃなくても、ああこれはわかる、くらいには思っておかないと。「どこがいいんだか」なんて言っちゃうと、「なんでこんなに流行ってるんだろう」って考えることもできない。



ただ、最近少し考えが変わってきて、流行りものと自分の価値観をあんまり重ね続けると、自分の価値観がぼやけてくるな、というのは実感としてある。そんなに美味しくないものを「まあこれも、美味いといえるし、皆が食べてるのもわかる~」って食べ続けるようなもんで。味覚狂いますわね。

理屈を超えて、ぞぞそっと惹かれるものに出会うと、思い出すんだよね、そういうの。