ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

鉄チンホイール。

2006年10月07日 | blog

スムースな舗装路での高い動力性能というのは、
じつに抗い難い快楽があるのだけれど(あるよねぇ)、
物理的にも社会的にも法規的にも、
たいへんなリスクがともなうわけです。

かたや、「悪路の走破性」というのは、一見不要なようですが、
街中でも、工事中の穴ぼこや路上の落とし物や路肩の段差なんかがあって、
そういうものを気にせず安全に走るために、大事な性能だったりします。
踏切やファミレスの駐車場で、
いちいち下回りをコスる心配なんか、したくない。
そういう状況って、とにかく速度も低いしね。

大雨で低地の道路が冠水したり、とつぜん雪が降ったり、
ほんとうに出かけたくても出かけられないときに、
乗れないクルマじゃ、意味がない。

そして、「素の潔さ」。

軽自動車は、妙に背伸びした装備が多かったりして、
かえってビンボー臭くなったりしがちです。

じつはこの黒い鉄チンホイールは、
シルバーの純正品を、わざわざ塗装しています。

「ホイール塗ってほしいんですけど」という注文に、
当初ディーラーさんは「んー、やったことないんで」と
難色を示していましたが。

「あの、ホイールキャップ外すと、中の鉄チン黒いでしょ。あのカンジ」
と言ったら「あーなるほど、ああいうカンジですか」
と、ピンと来てもらったようです。

さらに板金屋さんがいい仕事をしてくれて、

「ピカピカじゃないし、かといってつや消しだと汚れが目立つんで」
その中間の、微妙な艶に揃えて塗ってくれました。

新車ということもありますが、着脱工賃込みで、一本一万円。
悪くないです。

「素」を追求するために、わざわざ手をかけるというのも、
ちょっぴり矛盾してますけどね。

唯一の渋ーい、カスタムポイントです。