犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

宮合〈グンハプ=相性)

2006-10-13 23:32:33 | 飲む

 北の核実験で飲み屋の営業が自粛されると嫌なので,ちょっと大阪へ酒を飲みに行っていました。

 前に鮒鮨を用意してくれていたタンゴルチプ(いきつけの店)が,今度は「逸品を仕入れた」ともったいぶった連絡をよこしたので,期待して行きました。

 でてきたのは何の変哲もないスモークサーモン。

 え,これのどこが逸品?

 見ると外側に「マッカラン」のラベルがありました。

 ん?
 マッカランってモルトウイスキーでしょう? 
 サーモンも出してたっけ。

 聞けば,大阪のあるデパートで英国フェアをやっていてスコッチとともに売っていたとのこと。マッカランの樽の木で燻したサーモンだということです。
 それならば酒もマッカラン。それも樽だし原酒の「10年」じゃなきゃ,ということで,マッカラン10年,58.7度(!)をストレートで注文しました。

 マッカランの樽で燻したサーモンとふくよかなスコッチの絶妙の宮合! しばし核の恐怖を忘れました。

 「宮合(グンハプ)」というのは「相性」のことですね。占いなどで人間同士に使う言葉ですが,食べ物の相性にも使います。

 私が初めてこの用例に接したのは,「トンカツ・スントゥブ鍋」のメニュー。「幻想的な宮合」と書いてありましたが,その後,実際に食べてみて幻滅を感じました。

 さて,用意されていたのはこれだけじゃなかった。こんどは大阪のキョッポのお店で仕入れた「チョックパル(豚足)」。
 実は,今ソウルで住んでいる所がチョクパルで有名なドンネ(街)。チョックパルには少々うるさい。
 ところが一見してソウルのチョクパルと違うのが色。ソウルのチョクパルはどこも照り焼きふうの薄茶色をしています。今回出てきたのは二種類あってどちらも薄茶色ではない。片方は焦げ茶色というか黒に近い。そしてもう一方は真っ白。黒は味つきでそのまま食べ,白は粗塩をつけて食べる。形態もまた,「まさに足」という感じです(ソウルのチョクパルはふつうの肉の部分がむしろ多い)。

 チョクパルにウイスキーは宮合が合わなかろうということで,私が持参したチャミスルを飲みました。
 なんか,英国貴族から朝鮮常奴(サンノム)に転落という感じですが,どちらも絶品。

 結局,時の経つのを忘れて飲み続け,閉店時間を過ぎてあたふたと店じまい,店主とともに店を出たおかげで,支払いも忘れました。今回の飲み代はウェーサン(つけ)ということで。


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