フィリピン便り～待つ

　これまで、ヨーロッパなどを旅行するときは、観光する場所を決め、事前にだいたいの計画を立てて行きました。

　今回のフィリピン旅行は完全にノープラン。私たちは、ずっとバギオにいるつもりだったのに、急遽、２泊３日でイフガオの田舎に行くことになり、そこで年を越したのでした。

　イフガオのホテルの部屋にはテレビも電波もなく、日本から持参した「イモトのWi-fi」も役に立ちませんでした。

　ですので、大晦日から新年は、紅白歌合戦も、ガキ使も見ず、爆竹が鳴り響くこともなく、とても静かに過ごすことができました。

　フィリピンには、店を予約するという習慣がないということを前に書きましたが、待ち合わせ時間にかんしても、いたってルーズです。

「明日は９時に行動を開始しよう」といって、ホテルで待っていても、いっこうに車が来ない。１０頃に「今起きた」というメッセージが届いて、ホテルに来たのは１１時、なんてこともありました。

　フィリピン人は、「待つ」ことに慣れているのか、待たされてもいらいらしたり、怒り出したりすることはないようです。

　最終日、私たちは、いろいろな場所で、何度も待たされる場面がありました。

　SMモールで両替するとき、最初、間違えて違う列に並び、そのあとに正しい列に並び直して、計２０分以上待ちました。

　巨大なモールなのに、トイレは１か所。女性トイレは大行列。妻はここで１５分待ちました。

　そしてタクシー乗り場。タクシーはたくさん来ているはずなのに、ホテルの敷地の入り口からタクシー乗り場にいたる道に問題があるようで、タクシーがなかなか来ない。タクシー乗り場は長蛇の列です。私たちはここで４５分待ちました。

　やっとタクシーに乗り、ホテルに着いたと思ったら、今度は部屋のカードキーが故障。フロントに連絡し、部屋に入れないまま、ドアの前で１０分以上待たされました。原因は、ドア側の電池が切れていたこと。

　私たちは、この日の夜遅くにチェックアウトして、車でクラーク空港に向かう予定でした。学校帰りの娘がホテルに来て、いっしょに韓国料理を食べましたが、レンタカーを運転してくれるダニエルのために、ジョリビー（Jollibee）というハンバーガーショップで、ハンバーガーをテイクアウトしようとしました。

　注文すると番号の印字されたレシートを渡されます。受け取り口の上のモニター画面に番号が出るのですが、たくさんの人が待っていて、私たちの番号はなかなかでてきません。フィリピン人たちは文句も言わず、無表情でモニターを凝視しています。ハンバーガー一個を受け取るまでに、なんと３５分もかかりました。

　空港からバギオまで、往路は４時間半でした。フライトの時間に遅れるわけは行かないので、渋滞の可能性を考えて１時間余裕をもって出発したところ、道はスイスイで、往路よりも１時間短い時間で到着。飛行機の出発時間が朝７時なのに、夜中の２時半に着いてしまいました。車内で２時間半ほど待ちました。

　妻はこれでは終わりませんでした。

　午前１１時ごろ関西空港に着き、特急はるかで新大阪へ。そこで昼ご飯をとり、妻だけは新幹線で東京に向かいます。

　年末年始のUターンのピークだったため、新大阪始発の自由席に座るために、ホームで１時間待ったということです。