犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

フィリピン便り~山下の財宝

2024-01-10 22:13:00 | フィリピン

写真:山下奉文(ともゆき)日本陸軍大将。戦犯としてフィリピンで処刑


 今回のフィリピン訪問の唯一の目的は結婚式への参席でしたから、そのほかはノープラン。

 結婚式の翌朝、D(三女の夫)に聞きました。

「今日はどうするの?」

「棚田を見に行きましょう」

「いいよ。前の来たときも見たけどね。移動はどうするの」

「大丈夫です。車を借りました」

 民泊のロビーで車を待っていると、昨日の結婚式にも来ていたフィリピン人のおじさんがやってきて、ダニエルの友だちと話し始めました。

「あのおじさんが牛を安く譲ってくれたんです」

 この地域の農場主で、広い田畑と牧場を持つ資産家。結婚式の時、1頭7万5千ペソ(約19万円)する牛を、6万ペソ(約15万円)で売ってくれたということです。

 二人の会話から、「ゴールド」という言葉が聞こえてきました。

(ん? もしかして…)

 どうも、Dの友だちに金属探知機をどうやって手に入れられるか、相談しているらしいのです。

「地中2メートルから8メートルぐらいに深さに埋まっているからね。高性能のやつじゃないと…」

 キアンガンでは、「山下財宝伝説」なるものがまことしやかに伝えられており、掘り当てれば一攫千金、大金持ちになれると信じられているのですね。

 この伝説については、前にも書いたことがあります。

フィリピンで有名な日本人

 そして、お土産に「金属探知機」を頼まれ、買って行ったことも。(ドン・キホーテで2000円ぐらいで売ってた安物ですが)

金属探知機

「山下財宝伝説」というのは、太平洋戦争期、日本が占領していた東南アジア地域(主にビルマ)で、欧米植民地政府がもっていた大量の金の延べ棒を接収。山下奉文大将がこれを日本に運ぼうとしたが、戦況が悪化し、連合軍に制海権を奪われたため、最後に逃げ込んだイフガオの山中に埋めて隠したというもの。

「日本でも、M資金といって、似たような話があるよ。ぜんぶ嘘だけど」

 韓国でも金を掘る話(たぶん詐欺)を聞いたことがあります。

韓国便り~クムのある話

D「掘り当てたっていう話もあるけど、フィリピンに住んでいた日本人たちの装身具みたいなのばかりです」

Dの母「実際に、金の延べ棒を8本も見つけた人がいるんだよ」

三女「最初にフィリピンに来たとき、日本人が盗掘で逮捕されたっていうニュースがあったよね」


 2018年6月に、「財宝を狙ってカポネス島で違法な採掘を行ったとして、15歳の少年を含む日本人4人とフィリピン人13人、計17人が地元警察に逮捕された」(Wikipedia)

というニュースのようです。

 同じくWikipedia によれば、

「財宝探しをめぐってのトラブルが頻発するため、2007年からフィリピン政府は山下財宝探しの規制を強化し、これまでの届け出制から許可制となり、環境天然資源省へ10,000ペソの手数料を払って取得する。 それと同時に発見された場合の措置についても以下のように権利の配分が取り決められた。

文化遺産と判断された場合 → 国により全て没収
公有地で発見された場合 → 政府が75%、発掘者が25%
私有地で発見された場合 → 政府が30%、発掘者と地主で70%」

 発見された場合、国にも分け前をよこせ、といっているわけですね。

 もしおじさんが金の延べ棒を発見したら、金属探知機の入手に協力したDの友だちの日本人も、分け前をもらわなくちゃね。


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