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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

元徴用工裁判の新判決は荒唐無稽?

2021-06-09 19:32:18 | 韓国雑学
 元徴用工裁判で、2018年10月、韓国の最高裁は、日本の不法な植民地支配に対する「慰謝料請求権」を認め、新日鉄住金に対して「賠償金」の支払いを命じ、判決は確定しました。

 韓国では同様の訴訟がほかにも起こされていて、元徴用工と遺族85人が日本企業16社を相手どって起こしていた訴訟の判決が、6月7日にありました。

 ソウル地裁は、先の最高裁判決とは異なり、「日本企業を相手取って訴訟を起こすことはできない」として、却下判決を下したのです。

 これについて左派のハンギョレは激しく反発しています。

[社説]最高裁判例を否定し「荒唐無稽な論理」を展開した強制徴用判決(リンク

「日本から得た外貨で『漢江の奇跡』」…強制徴用判決、荒唐無稽な論理(
リンク

 どちらの記事の見出しにも、荒唐無稽の字が躍っています。

 判決文は未入手ですが、ハンギョレの記事には判決文からの引用と思われる記述が多く、次のような内容が含まれているようです。

「最高裁の判決は、植民支配の不法性とこれに基づく徴用の不法性を前提としており、このような判決は単に国内法的解釈にすぎない」

「日本を含め、どの国も自らの植民支配の不法性を認めたという資料は存在せず、国際法的にもその不法性を認めた資料がない」

「請求を認容する本案の判決が言い渡されて確定し、強制執行まで完了した場合、国際的にもたらされかねない逆効果がある」

「強制執行は、国家の安全保障と秩序の維持という憲法上の大原則を侵害する」

「分断国の現実と、世界4大国の間に位置する大韓民国としては、自由民主主義という憲法的価値を共有する西側勢力の代表国家の一つである日本との関係が悪化し、これは結局、韓米同盟によって韓国の安全保障と直結した米国との関係にも影響を及ぼす可能性がある」

 請求権協定で支払われた3億ドルは過少であるため、被害者の賠償請求権が含まれたとみなすことはできないという原告側の主張に対しては、

「当時立ち遅れた後進国の地位にあった大韓民国と、すでに経済大国となっていた日本国の間で成立した過去の請求権協定を、現在の物差しで判断するのは誤っている」

「当時、大韓民国が請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江(ハンガン)の奇跡』と評価される世界経済史に記録される目覚ましい経済成長に大きく貢献した」

 この中で、

「最高裁の判決は、植民支配の不法性とこれに基づく徴用の不法性を前提としており、このような判決は単に国内法的解釈にすぎない」

という部分にびっくりしました。

 周知のように、1965年の韓日請求権協定で、日本は植民地支配の不法性を認めず、日本では「合法」、韓国では「不法」と解釈されて今日に至っています。

 韓国の「植民地支配は不法」という解釈を、「単に国内法的解釈にすぎない」と切って捨てたのです。

 ハンギョレが「荒唐無稽」と表現した気持ちはよくわかりますが、日本の立場からすれば「理の当然」です。

 ただ、これは一審にすぎず、原告は即時控訴していますから、二審以降でどんな判決が出るかは、予断を許しません。

〈参考〉
元徴用工判決は日韓合意に反している(リンク
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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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シェアさせていただきました。 (skanno)
2021-06-09 09:25:03
韓国の法意識とはやはり王朝時代の伝統(かなりいい加減)から考えるべきか。
シェアさせていただきました。
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Unknown (ZEN)
2021-06-12 09:03:46
韓国の法意識とは法令や根拠に沿っているかではなく、人々の気持ちにそっているか、なんですよね。
返信する
skannoさん (bosintang)
2021-06-13 17:52:37
シェアいただき、ありがとうございました!
返信する
ZENさん (bosintang)
2021-06-13 17:56:55
法治ではなく、人治とか情治とか言われますね。「日帝被害」に関しては、被害者の証言を検証せずに事実認定するとか、「日本非難のためには嘘をついてもよい」という慣例を改めてほしいです。
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