犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ポシンタンの危機

2019-06-16 23:27:57 | 食べる
 日本では、夏の暑い時期、「土用の丑の日」にウナギを食べます。

 韓国では、伏日(ポンナル)に犬を食べる習慣がありました。伏日は初伏、中伏、末伏の三回があって、今年は7月12日、22日、8月11日。

 伏日を前に、朝鮮日報にこんな記事が出ました。

女子大キャンパス内で飼育された犬、飼い主の酒のつまみに
大学構内で清掃業者が飼育、従業員が食用に。大学生らが処罰要求


 韓国・京畿道の大学に出入りしている清掃業者の従業員が犬をキャンパス内で飼育した上で殺して食べたことから、学生や大学職員らが処罰を求めて警察に告発する騒動に発展している。警察は捜査に着手したが、処罰できるかどうかは不透明だ。現行法では遺棄犬(飼い主がいない捨て犬)を殺すことは違法だが、飼い主が所有する犬を殺すこと自体は違法ではないからだ。警察は問題の犬が遺棄犬に当たるかどうかを検討している。

 事件は今月5日、京畿道華城市にある水原女子大の海蘭キャンパスで学生らが構内に壁新聞を張って告発したことに端を発する。大学と学生らの説明を総合すると、清掃業者の従業員が昨年12月ごろ、黒毛の子犬を連れてきて、構内のごみの分離収集所で飼い始めた。子犬をどこから連れてきたのかは判明していない。学生らは子犬にえさを与えたり、毛並みを整えてやったりして可愛がった。「カムスニ」という名前も付いた。ところが、先週からカムスニの姿が見えなくなった。学生らは大学側にカムスニの捜索を求めた。大学側が清掃業者にカムスニの行方を尋ねたところ、従業員は「別の場所に引き取られた」と説明した。

 ところが、事実は全く異なっていた。今年4月末ごろ、大学側は清掃業者にカムスニの引き取り先を探すように勧告した。カムスニが大きく育ち、「怖い」という苦情が寄せられたからだ。実は清掃業者の従業員は5月11日にカムスニを犬の食肉処理場で殺し、肉を知人らと酒のつまみとして食べていた。


 清掃業者はもともと、食べるために飼っていたんでしょうね。

 このところ、犬食文化には逆風が吹いています。こちらは昨年7月の記事。

犬の食肉処理に初の違法判決、韓国
「食用にするのは犬を殺す合法的な理由と言えない」


 韓国の裁判所が、食肉用に犬を処理するのは違法であるとの判決を下した。韓国でこのような判決が出るのは初めて。

 犬肉産業の違法化に向けた第一歩ではあるが、今回は食肉処理だけを違法としたのであって、犬を食べること自体が禁止されたわけではない。

 米ワシントンD.C.にある動物保護団体アニマル・ウェルフェア・インスティテュートによると、韓国では1年間に推定200万匹の犬が食用に処理され、10万トンの犬肉を消費している。動物保護団体ヒューメイン・ソサイエティ・インターナショナルは、世界的には3000万匹の犬が食用に供されていると推定している。東アジアの一部では、昔から犬は当たり前のように食べられてきた。

 今回の判決は、2017年、動物の権利保護団体コエグジスタンス・オブ・アニマル・ライツ・オン・アース(CARE)が、「適切な理由なしに動物を殺している」として韓国富川(プチョン)市の養犬業者を訴えた裁判で示された。判決は今年4月に出されていたが、その詳細が6月末まで明らかにされなかったため、あまり広く知られていなかった。

 AFP通信によると、富川の裁判所はCAREの訴えを認め、食用にするのは犬を殺す合法的な理由とは言えず、さらに養犬場を取り締まる目的で自治体が課した建物および衛生管理規制にも違反しているとして、この養犬業者に対して300万ウォンの罰金を言い渡した。業者は、控訴権を放棄した。

「食肉用に犬を処理することは違法であるとの判断を裁判所が示したのはこれが初めてであり、大変重要な判決です」。CAREの弁護士を務めるキム・キョンウン氏は、英ガーディアン紙にそう語った。

 しかし、養犬場や犬肉処理場の経営者たちは、この判決に抗議している。英デイリー・メール紙によると、業者は政府に対し、犬食を禁止するのではなく合法化し、犬肉処理場へ免許を発行するよう求めているという。

「牛、豚、鶏、それにあひるだって、全部食べるために育てているじゃないですか。なぜ犬はだめなんです」。養犬業者を代表するチョ・ホワンロ氏は、テレビでそう訴えた。

 韓国でも、犬は食べ物ではなくペットという見方が広まり、犬を食べたがらない若者が多い。しかし、昔からある犬食文化を全面的に禁止すべきだと考えている韓国人は半分以下だ。

 活動家団体は、韓国で食用として処理される犬が虐待されている画像や動画を公開している。CAREは、食肉用の養犬業者を相手取り、さらに多くの訴訟を韓国の裁判所に起こす予定であると、ガーディアンに語った。

 韓国与党「共に民主党」の議員は6月末、国内にある1万7000ほどの養犬場が、食用に犬を処理できないようにする法案を国会へ提出した。

 2015年1月6日。ヒューメイン・ソサイエティ・インターナショナルは、ソウル郊外の養犬業者と交渉し、食肉用に犬を飼育することを止め、代わりに農作物を育てるとの約束を取り付けた。1月5日、救出された23匹の犬のうち最初の11匹が、米ワシントンDC郊外のアレキサンドリアにあるアニマル・ウェルフェア・リーグへ到着した。ここで犬たちは保護・観察され、いずれ里親希望者に引き渡される。


次は産経新聞の記事です。

https://www.sankei.com/life/news/181214/lif1812140003-n1.html

 私は8月に韓国出張の予定があり、久しぶりにポシンタンでも食べようかと思っていたのに、難しいかもしれません。

 これまでも、一緒に行ってくれる韓国人を探すのが一苦労だったのですが、今はお店そのものを見つけるのが難しいかも。
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