犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

高田馬場エスニック街道

2013-04-07 23:39:52 | ミャンマー

 金曜日の夜、また高田馬場にミャンマー料理を食べに行きました。今回は会社の同僚の日系ペルー人と一緒です。彼は高田馬場にこれまで縁がなく、初めてだということです。

 前回行ったミンガラバーではなく、早稲田口正面の黒いビルの脇を入ったところの店に向かいます。黒いビルの中にはノングインレイというシャン族の料理を出す店があり、そこを通りすぎるとヤンゴン、マンミャンマーレストランという二つの店があります。ヤンゴンは地下、マンミャンマーは一階です。

 ヤンゴンは去年行ったので、マンミャンマーにしました。ドアを押すと、狭い! 10畳ぐらいの店内に、二人席が四つだけ。壁際の席にミャンマー人らしい先客がいましたが、われわれが入ると、年配のおばさんが席を立って、「こちらへどうぞ」と案内してくれるので、出られない雰囲気になりました。どうも常連さんのようです。

「今日はママがいないから、おばさん一人でやってるんです」

 厨房内のおばさんは、日本語があまりうまくないらしく、お客さんのほうのおばさんが注文もとってくれます。

「とりあえず、ミャンマービールを二つ」

 ミャンマービール(缶)は400円。安い!

 モヒンガーを頼むことは決めていましたが、麺類なのでシメにまわすことにして、まずつまみになりそうなミャンマー豆腐と、豚肉の煮込み料理を頼みました。

 隣のミャンマー人は子ども連れ。小学校1年生ぐらいの女の子がいます。最初は夫婦かと思いましたが、どうも違うらしい。父娘と、ぐうぜん居合わせた常連さんのようです。

 そのうちにもう一組の子ども連れが来ました。お母さんと娘で、やはりこちらも小学校1年生ぐらい。お母さんは、OL風のきちんとした服装をしています。ミャンマー語で注文しましたが、子どもとは日本語です。

 子どもたちはもともと知り合いなのか、すぐに遊び始めます。店内を走り回るので、それを止めようとする親たち。店内はにわかに騒がしくなりました。

 出てきた豆腐は日本の豆腐よりも固めで、木綿豆腐のよう。なかなか美味です。豚肉のほうは写真でみるより量が少なかったので、牛肉の煮込みも追加しました。

 客のおばさんは、厨房を自由に出入りして、自分で頼んだ料理を自分で運びます。

「これ、サービス。豆腐を揚げたもの」

と、自分の料理からおすそ分けしてくれます。

「おいしいですね」

 煮込み豆腐と同じものでしょうが、揚げたもののほうがホクホクしておいしい。ビールもどんどん空いて、酔いが回るうちにミャンマー人のおじさんと話すようになりました。

「日本に長いんですか」

「そうね、10年ぐらいかな」

 子どもたちは日本語でしゃべっているので、ときどき耳に入ります。

「わたし、韓国人なの」

「えっ?」

 おもわず顔を見つめると、そんな顔だちでした。

「ミョッサリエヨ?(何歳?)」

私が話しかけると、子どものほうはきょとんとしています。韓国語はできないのかもしれません。

「母親が韓国人なんだよ」

 おじさんが解説してくれます。

「奥さんが韓国人なんですか?」

「日本で知り合ってね」

「へえー。国際色豊かですね。実は、こっちはペルー人ですよ」

 連れは父親が日本人、母親がペルー人の日系二世です。

「私はブラジルよ」

 おばさんが割って入ります。

「えっ、本当ですか」

「うそうそ。ミャンマー人。でも、このまえブラジル人っぽいって言われたわ」

 そういわれれば、東洋人離れした濃い顔をしています。インドっぽいのかもしれません。

 そうこうしているうちに、子どもがドアに指を挟んだといって泣き始める。

 (なんだか、よその家の台所で食べてるみたいだなあ)

 途中、若い日本人男性の一人客も入ってきましたが、狭い店内を走り回る子供たちにあっけにとられています。

 最後に頼んだモヒンガーも食べ終わり、われわれはそろそろ二次会のことを考え始めます。

「ミャンマーのバーとかってあるんですか」

「たくさんあるよ。たとえば…」

 店を後にして、おばさんに教えてもらったさかえ通りに入ります。ところが件の店は閉まっていた。ミャンマー語のメッセージがあるのですが何と書いてあるのかわからない。それで別の店を物色することに。

 韓国料理、マレーシア料理、ベトナム料理…。さかえ通りにはさまざまなエスニック料理の店が目につきます。フィリピンの国旗もありましたがたぶんパブでしょう。

「ここどう?」

 ネパール料理という看板に目をひかれました。入ってみると、小ぎれいな店内で、あまり混んでいない。ネパール産の「エベレスト」というビールと、タンドリーチキン、シシカバブを頼みました。どちらも500円前後と安い。

「高田馬場ってエスニックな街だね」

 店長がときどきやってきては、料理の説明をしてくれます。

「日本にあるネパール料理屋は90%がインド料理です。でも、うちは純粋なネパール料理ですよ」

 開店して4か月。以前はミャンマー料理の店があったところだそうです。残念ながら、ネパール料理らしさはよくわからなかったのですが、ビールだけでなく、ネパールの焼酎とラム酒もあったりして、また来てもいいなと思わせる店でした。

 当分、高田馬場にはまりそうです。


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