梨泰院事故犠牲者名公表の功罪

写真：追悼集会で尹錫悦退陣を求める（京郷新聞）

Korea World Timesに寄稿した記事のリンクです。

韓国の悪弊 梨泰院惨事を政争の具に 事故と政治の現代史を振り返る

韓国 地震もないのに建物崩壊で500人が死ぬ なぜ繰り返される？

　野党共に民主党の李在明代表は、「犠牲者を真に追悼するためには名前が必要だ」と主張し、犠牲者名・写真を公開するように政府に要求していました。

　セウォル号沈没事故のとき、亡くなった高校生たちの写真を並べて国民の涙を誘い、朴槿恵大統領を退陣に追い込むろうそくデモを扇動しました。その再現を願っているんでしょう。

　数日後、野党の意を受けたネットメディアは、遺族の同意を得ずに氏名を公開、多くの遺族から抗議の声が上がりました。日本をはじめ犠牲者を出した複数の国も抗議しました。

　ただ、そのおかげで遺族になりすましていた親子が逮捕されました。（朝鮮ン日報11月16日、リンク）

　この親子は身内が事故で犠牲になったと主張し、衣類や現金を受け取ったり、食事のサービスを受けたり、現場を訪れた俳優（チョン・ウソン）に握手してもらったりしたそうです。

　ところがこの親子を支援しようとした人たちが犠牲者リストをチェックしたところ、そこに名前がないことが発覚。「お金がなく、空腹だったため」の犯行でした。

　韓国では「犠牲者なりすまし」がよくあります。

　古くは1980年の光州事件。民主化暴動を軍が鎮圧し、多数の死傷者が出ました。

　当局発表の死者数は170人。

　民主化後に犠牲者に補償を出すことにしたとき、申請者は649人（死者・不明計）、認定者は224人でした。400人以上が「なりすまし」だったと思われます。

　植民地時代の犠牲者（徴用工、軍慰安婦、独立運動など）にも多いのではないかと思います。