三浦しおん様は、年に一度私を慰めてくださる方です。
「まほろ駅前多田便利軒」「風が強く吹いている」に続き「舟を編む」
なんか気になる舞台を作ってくれる作家です。
舟を編むの主人公が働くのが出版社の辞書編集部。
しかも新たに刊行する辞書を編み始めて15年の歳月を描くのです。
この設定を新聞広告で読み、帯の雲田はるこさんによるイラストが愉快で、
大久保伸子さんいよる装幀がまさに辞書風で誘ってくれるので、
読まないわけにはいかない本でした。
さらに。主人公の名前が、馬締と書いて、マジメさん。
そのあこがれの君が、香具矢と書いて、カグヤさん。
本と一生の友とする人ならこれほどの設定は逆に煩わしいのかもしれませんが、
本が高みのものであり続ける私には、これほどの敷居の下げ方が、なんとも嬉しいのです。
言葉の存在を語るために、これだけの誘いを準備してくれる三浦しおん様に
読み終わった今は、さらに深い尊敬の念を感じています。
人が集まり情熱をかけ、言葉の海を渡るために、
あなたも読む時間にひたってみてください。