今回は6代目ボンド、ダニエル・クレイグ最後の作品ということもあって、『007/ノータイムトゥダイ』を楽しみにしていた。僕は殆どの007作品を鑑賞してきているが、歴代ボンドの中でもダニエル・クレイグが一番好きなボンドである。ショーン・コネリーも骨太感はあったが、その後はロジャー・ムーアやピアース・ブロスナンなどかなりライトでチャラいボンドが主流となってしまったが、ダニエル・クレイグはとてもシリアスで、最もハードボイルドで男らしいボンドに仕上がっていたと思う。アクションも歴代ボンドの中で最もリアルであり、兎に角カッコいいのだ。ダニエル・クレイグのボンド作品の中では、第一作の『007/カジノロワイヤル』がある意味007の原点回帰を目指した再スタートとも言える作品となり、シリーズの中でも一番好きな作品となった。
ボンドガール(今はボンドウーマンというらしい)のヴェスパーを演じたエヴァ・グリーンが特に好きなタイプだったので、印象に残っているし、最初のダニエルボンド作品だったこともあって、かなり鮮烈なデビューであった。
悪の組織、スペクターとの対決を描いてきた前作『007/スペクター』から物語を引き継ぎ、前回ボンドと結ばれることになったマドレーヌ(演じているのはレア・セドウ)も再登板。北欧風美女的な魅力のあるボンドガールで、ダニエルボンドの相手役の中ではヴェスパー以上にボンドとの深い関係となった存在だ。
今回も派手なカーアクションが満載で、クラシックなアストン・マーティンも大活躍。やっぱりボンドはアストン・マーティンが似合う。
敵役も前回登場したスペクターの首領、プロフェルドも再登場し、更には『ボヘミアン・ラプソティー』でフレディー・マーキュリーを演じたラミ・マレックが新たな敵となるサフィンが登場し、相変わらず凶悪さが魅力の悪役も見事に用意されている。
そしてマドレーヌ以外にも、キューバでボンドを助けるMI-6諜報部員パロマという、何ともセクシーで魅力的な女性が登場する。このパロマを演じている女優はアナ・デ・アルマスというらしいが、今回初めて認識した。キューバ出身の女優らしいが、ルックス的にベッキーとゆきぽよをミックスしてモデルのようにした感じだ(笑)。
ストーリーに関してはネタバレになってしまうのであまり書けないのだが、007を引退してマドレーヌと幸せな時間を過ごしていたボンドだったが、ヴェスパーのお墓参りに訪れたスペインで敵の襲撃を受け、マドレーヌが裏切りを疑い、彼女と別れることを決意。しかし、その後、マドレーヌとの過去があり、細菌兵器を製造する新たな強敵サフィンがボンドの前に立ちはだかる。
そして終盤、最初全く予想もしていなかった衝撃の展開となり、ダニエル・クレイグのボンド完結編にはこれ以上無いと思われる見事なラストに仕上がっている。また、ボンドとマドレーヌ、そしてとても重要な“絆”も描かれており、今後の展開も期待させる実に見応えのある作品となっていた。
ロケ地は世界遺産となっているスペイン南部の町、マテーラで過激なカーチェイスシーンが撮影されている。またキューバ、ロンドン、ジャマイカ、ノルウェーなどでも撮影されており、今回も世界旅行も楽しむことが出来る。また、お馴染みのQやM、それにマネーペニーも前作に引き続き登場。
これは若干ネタバレになってしまうが、今回の『ノータイムトゥダイ』は、1969年に公開された007第6弾、『女王陛下の007』のオマージュ作品でもあり、同じ主題歌が使われていたり、オマージュ的なセリフが登場したりするようだ。僕はかなり昔に『女王陛下の007』を見た筈なのだが、あまり記憶が無いので、今回久々に観賞しようと早速ブルーレイを購入した。これを見ると、また更に『007/ノータイムトゥダイ』が楽しめるのではないかと思う。
007と言えば、毎回旬なアーティストが主題歌を担当するのも大きな楽しみの一つ。今回主題歌を担当したのは、まさに旬なビリー・アイリッシュ。なかなか哀愁のある見事な主題歌に仕上がっている。
今回僕の好きなダニエル・クレイグのボンドが完結したことを機に、改めてダニエルの過去4作品 (『カジノ・ロワイヤル』、『慰めの報酬』、『スカイフォール』、『スペクター』)のブルーレイを購入して、改めて鑑賞しようかと。
