『東京事変』は5枚の傑作アルバム、１枚のミニアルバム、
１枚のライブアルバムを世に送り出し、
残念ながら先日解散を発表したばかりだが、
今回何とカップリング曲(昔で言うB面コレクション)を
集めたアルバム『深夜枠』をリリース。
中身の話をする前にまずはこの『深夜枠』、
そのジャケットのイラストからして何とも素晴らしい！
水着の女性が泳いでいるアニメ的なイラストなのだが、
このイラストが何とも不思議なフェロモンを
醸し出している。ちょうど椎名林檎の性的な魅力と同じく、
男性の心を鷲掴みにする魅力があるから不思議だ
(こう思うのは僕だけだろうか？)。
そして更にはそのアルバムタイトル『深夜枠』がまた絶妙。
カップリング曲ということで、ゴールデンでは無い“深夜枠”
とテレビ番組になぞって付けたのでは無いかと推測されるが、
この“深夜枠”という響きが、ジャケットのイラストとも
見事に交わりながら、妙なエロティズムを煽るのだ。
さて、アルバムに収録されているのは下記全１３曲。
1) ハンサム過ぎて
2) 体
3) BB.QUEEN
4) 我慢
5) ピノキオ
6) 鞄の中身
7) 心
8) 恋は幻
9) 落日
10) DYNAMITE
11) その淑女ふしだらにつき
12) 顔
13) ただならぬ関係
曲タイトルの付け方も相変わらず独特で、インパクト大である。
全体的にはJazzyな雰囲気が漂う大人っぽい曲が多いが、
どの曲もカップリング曲集とは思えない完成度の高さで、
アルバム全体としても統一感に満ちているから不思議だ。
13曲の中でも特に好きなのが、ロック調な中にも林檎イズムが満載の
メロディアスな１曲目の『ハンサム過ぎて』。
そしてこれもまた林檎のソロ曲にもテイストが似ている
４曲目の『我慢』。比較的爽やかな部類の曲が返って
新鮮な魅力を放つ6曲目の『鞄の中身』。
7曲目の『心』は秀逸な林檎的なバラードで、
ファーストアルバム『無罪モラトリアム』の頃を思い出させる。
9曲目の『落日』も美しいバラード。
12曲目の『顔』のサビ部分のメロディーも結構気に入っている。
何とも林檎的な切なさで美しい。
そして、今回『深夜枠』に収録された新曲となる
『ただならぬ関係』でアルバムは締めくくられるが、
この曲もさすがと言わざるを得ない秀逸な１曲。
タイトルからして“ただならぬ”雰囲気を秘めているが、
“ただならぬ関係”という響きがまたエロティック且つ
ユーモラスな雰囲気を連想させてしまい、何とも巧みである。
そして、曲は何とも可愛いくてャbプな明るさに満ちている。
かなり前にもブログで書いたように思うが、
僕は椎名林檎が昔から大好きだ。
完全にハマったのはシングル『本能』を聴いてからだが、
その時のインパクトは衝撃的で、それから遡って
ファーストアルバム『無罪モラトリアム』を買って、
完全に“林檎ワールド”の虜になってしまった。
近年ではキスミントやマキアージュのCMに主演したり、
NHK朝の連ドラ、『カーネーション』の主題歌を
手鰍ｯることでその知名度も全国区になっていると思う。
彼女の何とも言えないエロティックで
アングラな魅力は他には絶対マネ出来ないものだろう。
先ずはそのルックスからしてとても刺激的。
決して圧涛Iな美人ではないのだが、
キスしたら突然脇腹を刺されそうな(笑)、
危険な香りが漂う性的な魅力とその目力が刺激的だ。
セカンドアルバム『勝訴ストリップ』にも封入
されている下記写真の椎名林檎が特に好きである。
何よりも彼女の独特な詞のセンスは凄い。
同年代の女性には絶対書けないような、
世の中を全て悟りきっているような詞に、
その独特な声と歌唱法、更にはメロディアスながらも
オリジナリティー溢れる曲調と見事に調和されており、
完成度がとても高い。
彼女はまさに100年に一度の天才ではないかと思うが、
プリンスを始めて聴いた時の衝撃にも似ている。
それにしても、『深夜枠』には完全にやられてしまった。
椎名林檎にまたしても“完敗”である。
