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安土城築城の熱血映画、「火天の城」

今週は9月以来の米国出張に出鰍ッている。そして今回のNY行きのJAL機内で映画「火天の城」を見た。これは9月12日から劇場公開されている映画で、あの織田信長の幻の名城「安土城」を築城した天才名工、岡部又右衛門の物語。戦国時代や織田信長をテーマにした歴史物語はかなり多いが、戦のシーンが全く出てこない物語は極めて珍しいのでは無いかと思うが、その意味で着眼点が新鮮な映画である。



僕は特にお城が大好きなので、そもそもお城をテーマにしたこの映画は前から興味があったが、神秘的で謎の多い「安土城」を取り上げているのも面白い。安土城は織田信長が権力の象徴として1576年に琵琶湖の畔に築城した城だが、当時としては六角の天守や豪華絢爛で斬新な装飾/デザイン、そしてこれまた当時では前例の無い、5層7階建てという巨大な天守閣を持つ城ということで、安土城は天下人織田信長にふさわしいスケール感のある城であった。しかし、織田信長が本能寺の変で暗殺され、安土城も築城から3年後に落雷を受けて消失してしまった為、多くが謎となっている幻の名城なのだ。この安土城を題材にしたこの映画には自然と大きな興味が沸いた。



この映画に込められたそのメッセージはかなり熱い。織田信長の強烈な個性に正面から命懸けでぶつかり、自分の信念を貫いて安土城を3年で作り上げた名工/棟梁、岡部又右衛門とその仲間たちの、城に賭ける熱い物語となっている。奈良の東大寺を建設した建築家や、その他日本を代表する建築家での安土城指図(設計図)アイディアによるコンペで織田信長が岡部又右衛門の設計に決める過程は現代のゼネコン/設計士のコンペを見ているようで実に面白いし、他のコンペに打ち勝つ岡部の姿が実に感動的で、思わず胸が熱くなった。また、安土城を支える為に必要な樹齢2000年以上の巨大な檜を求めて、織田信長の敵であった武田信玄領地である木曾まで探しに出る物語も感動的であった。



この映画は、豪華な俳優陣も魅力だ。岡部又右衛門役には西田敏行、岡部の妻には大窒オのぶ。2人のベテランを中心に迎えて骨太な物語が展開。娘役には若手女優の福田沙紀を起用。全身全霊で城作りに取り組む夫を常に笑顔で支え続ける献身的な妻との夫婦愛、そしてそんな父の姿を見つめる娘との親子愛などが丁寧に描かれている。



織田信長には椎名桔平、この他夏八木勲、山本太郎、渡辺いっけい、西岡徳馬、緒方直人、寺島進、水野美紀、熊谷真実など多くの実力派俳優陣が固め、物語を引き締める。




城を設計段階から建設過程が見れるドラマという観点でも面白い映画だが、全体的には熱い感動的なシーンも多く、エンターテインメント性の高い映画として素晴らしい出来栄えと言えるが、あえて言うなら、巨大な岩をみんなで城のある本丸まで引き上げようとするスペクタクルシーンで織田信長の暗殺を企てるグループのくだりはかなり唐突だったし、映画のエンディングがやや物足りない感じだったのが少々残念であった。

しかし、この映画を見て、安土城址も一度訪れてみたくなってしまった。ぜひいつか天守閣を復元してほしいものである。

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