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ソフィア・コッャ炎ト督最新作『SOMEWHERE』

今日、梅田グリーンシネマで、ソフィア・コッャ奄フ最新作、『SOMEWHERE』を見てきた。この映画は先日ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したのだが、ソフィア・コッャ奄フ最新作ということで、前から見たいと思っていた待望の作品だ。あの豪華な『マリー・アントワネット』から4年の歳月が流れたが、あの名作、『ロスト・イン・トランスレーション』を彷彿とさせる、彼女独特の”間”と空気感で描かれていて、とても嬉しくなった。



舞台はハリウッド伝説のホテルである”シャトー・マーモント”。以前のブログでも紹介したが、このホテルはセレブが立ち寄るホテルとしてもLAで有名。あのパリス・ヒルトンやブリットニー・スピアーズも良く出没するのだ。僕も仕事でLAに行く時はここのホテルのカフェなどを打ち合わせの場所にすることも有るが、妙にダラッとした雰囲気が気に入っている。ホテルの隣には長期滞在アパートにもなっているので、ここに長く住んでいる人も多い。



さて物語だが、フェラーリを乗りまわし、退廃的なライフスタイルを送っている映画スター、ジョニー・マルコ(スティーブン・ドーフ)の暮らしは、表向きの華やかさとは裏腹に、実は孤独で空虚だ。マネージャーから電話があると仕事の取材や撮影に出鰍ッ、そして仕事の無い暇な日は毎日のようにデリバリー・メ[ルダンス嬢を2人部屋に呼び、パーティーで知り合った美女とは情事の途中で寝てしまったり、全く無駄で意味の無い生活を送っている。そんなある日、彼のもとに前妻と同居する11歳の娘、クレオ(エル・ファニング)がやってくる。久しぶりに娘と過ごす時間は、とても楽しく、親密で穏やかであった。ミラノでの仕事にも娘を連れていき、Wiiで遊んだり、一緒にプールで遊んだりと、楽しい時間が過ぎて行く。そんな何気ない日々の時間の中、ジョニーはやがて気が付いていく。自堕落な生き方が置き去りにしてきた、大切なものを。



ソフィアの撮影の仕方は相変わらず独特だ。彼女の作品に見られるあの独特の間は絶妙である。また、若い女性を起用するのが実にうまい。『ロスト・イン・トランスレーション』のスカーレット・ヨハンソンも魅力的に描かれていたが、今回もティーンエイジャー目前の若きエル・ファニングを起用し、魅力的に描写している(エル・ファニングはあの天才子役のダコタ・ファニングの妹)。ジョニー役のスティーブン・ドーフも、優しくも退廃的な映画スターを自然なタッチで演じており、リアリティーのある、ドキュメンタリーのような作品に仕上がっているのだ。



そして、自分も娘を持つ身としては、すっかりジョニーに感情移入しながら見てしまったが、この父と娘の繋がり、そして自分自身の空虚さを自覚する再生過程はとても心に染みて、思わず娘に会いたくなったしまった。



『シャトー・マーモントホテル』の登場と共に、今回の映画で嬉しかったのは、僕の大好きなアメリカ料理、『エッグズ・ベネディクト』の登場だ。これも前にブログで取り上げたが、僕はアメリカ出張に行くといつも朝食にエッグズ・ベネディクトを注文する。そして各地それぞれの味付けの違いなどを楽しむのが好きなのだが、今回はクレオがパパの為に作る。



ソフィアの音楽の使い方にも注目だ。劇中にフー・ファイターズや、クレオのアイススケートシーンにグウェン・ステファニーの名バラード『Cool』が効果的に流れ、そしてャ潟X初期の名曲『So Lonely』がWiiから流れてきたりするのだが、これは普通映画で流れるバックグラウンドミュージックというよりは、日常生活の中で登場する音楽という雰囲気で、それ以外の静寂とのコントラストも見事だ。



ソフィア・コッャ奄ヘまた期待を裏切らない、素晴らしい味のある作品を届けてくれた。LAのセレブライフスタイルの空っぽさに問題提起し、そして人間として大切なことを教えてくれる、そんな素晴らしい、お薦めの作品だ。



今回映画を見た梅田ガーデンシティは、空中庭園があることでも有名な梅田スカイビルで見たのだが、水曜日は1000円均一デーだったことも有り、今日はとてもお得だった。

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