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敢て再論、環境浄化にカテコールジオキシゲナーゼ!

2013-05-06 08:43:49 | ラジカル

自然界では芳香族アミノ酸をはじめ難分解性のリグニンなどほとんどの芳香族化合物は土壌菌のモノオキシゲナーゼによってカテコール化合物へと代謝される。さらにカテコール-ジオキシゲナーゼによって芳香環は開裂され,ATP 産生系(解糖系やクエン酸回路)に合流する。多くの環境ホルモンを含む環境汚染物質も,その構造中にカテコール環をもつ。シグナル伝達物質の中にもカテコール誘導体であるものが知られている。O2 は酸素添加酵素の存在下でこれらの物質を代謝する。

Catachol-dioxygenase-reaction.png

反応1 カテコール-1,2-ジオキシゲナーゼの反応によりカテコールからcis,cis-ムコン酸が生成する例。

カテコールジオキシゲナーゼ(catechol dioxygenases)は反応1に示すように、カテコール類を酸化的開裂させる金属タンパク質酵素群である。この酵素群は基質に酸素分子(O2)を組み込む。1955年、早石等はO18を用いて、反応1を証明した。緑濃菌のカテコールジオキシゲナーゼは酸化還元酵素の一つで、カテコール-1,2-ジオキシゲナーゼ(PDBID:3HHY)、カテコール-2,3-ジオキシゲナーゼ(PDBID:3HPY)、およびプロトカテキン酸-3,4-ジオキシゲナーゼ(PDBID:3LMX)の3種類がある。カテコールジオキシゲナーゼの活性部位はだいたいは鉄を含む部分であるが、マンガンを含む型(PDBID:?)も知られている。

奇しくも、同年の1955年、ア メリカのH.Maisonはキノコのフェノラーゼという酵素がジメチルフェノールをカテコールに変える反応において、生成物中に取 り込まれる酸素が分子状酸素に由来することをO18を用いた実験で証明 した。

これらは、以前より知られていた酸素の働きとは異なる新 しい生体内反応であった。こ れ らの反応を触媒する酵素は酸素添加酵素(オ キシゲナーゼ)と呼ばれ、前者のような添加酵素をジオキシゲナーゼと呼び、後者をモノオキシゲナーゼと呼ぶ。こ れらの酵素は生体内の代謝機能に大きな役割を果たすほか、薬物・毒物・農薬などの外来性物質の代謝にも関与 し、解毒や環境浄化の観点からも注目を集めている。

3hhy2(クリックで拡大)

図1 カテコール1,2-ジオキシゲナーゼ結晶構造図(PDBID:3HHY)。Chem3Dで鉄原子近傍を示した図。ペプチドはcartoonで表示し、リガンドはヴァンデアワールス半径を基にspace fillingで表示した。中央にカテコールとノンヘム鉄原子が錯形成しているのが見える。

3hhy4a(クリックで拡大)

図2 Fe3+活性中心の模型図(PDBID:3HHY)。CACheを用いて、鉄原子を中心に4Åの範囲に入るアミノ酸グループを選んだ。鉄原子はカテコールのOH-基酸素およびtyr138酸素3個とイミダゾール窒素2個の5個の元素で取り囲まれている。

 一方、 カタラーゼ反応、スーパオキシドジスムターゼ反応、抗生物質の合成、エチレン合成、フェニルアラニン・チロシン・プロリンの水酸化など、一見関係のない多彩な反応があるが、これらの反応を触媒する酵素が、2個のヒスチジン残基と1個のグルタミン酸(またはアスパラギン酸)残基に結合したFe2+イオンを共通して活性部位に持っている。この事実は、同じ非ヘム Fe2+ を持つカテコール2,3-ジオ

 

Hpya(クリックで拡大)

 

図3 カテコール‐2,3-ヂオキシゲナーゼ(PDBID:3HPY)のFe2+の周り(5Å以内)の配位子

 

キシゲナーゼがコンポジット生体触媒になり得ることを示唆している。近年、同じ非ヘム Fe2+ を持つカテコール2,3-ジオキシゲナーゼに関する論文発表が相次いでおり、環境浄化の面から、やっと、ことの重大性が認識されだしたのである。ノーベル賞候補に挙げられて久しい。

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