今日もArt & Science

写真付きで日記や趣味を勝手気ままに書くつもり!
徒然草や方丈記の様に!
あるいは寺田寅彦の様に!

携帯ESRの応用(14) 古くて新しい燃料電池

2012-04-05 15:41:16 | 携帯ESR装置

燃料電池は、補充可能な負極活物質(通常は水素)と正極活物質となる空気中の酸素を常温または高温環境で反応させることにより、継続的に電力を取り出すことができる発電装置である。装置内の固定量の活物質を使用することで電気容量に限界のある一次電池二次電池と比べ、正極剤、負極剤共に補充し続けることで電気容量の制限なく放電を永続的に行うことが可能な点で大きく異なる。熱機関を用いる通常の発電システムと異なり、化学エネルギーから電気エネルギーへの変換途上で熱エネルギー運動エネルギーという形態を経ないため発電効率が高い。さらに、システム規模の大小にあまり影響されず、騒音や振動も少ない。そのため、ノートパソコン携帯電話などの携帯機器から、自動車鉄道、民生用・産業用コジェネレーション発電所、軍事兵器まで多様な用途・規模をカバーするエネルギー源として期待されている。燃料電池は方式ごとに水素や水素原料となる化石燃料等の利用が検討されている。直接水素を用いる場合は化石燃料改質することにより取り出した水素を利用する。水素を反応させ電気を取り出す仕組みとしては水の電気分解の逆反応である 2H2 + O2 2H2Oによる場合が多い。反応時に熱を伴うだけでなく、発電効率の高いものほど反応に高温を必要とする傾向があり、1,000℃近くの環境を必要とする方式もある。反応によってできる物質は水であるが、生成されるのが高熱環境下であるため実際に排出されるのは水蒸気または温水である。

<o:p></o:p>固体高分子形燃料電池 (PEFC)<o:p></o:p>

 

固体高分子()形燃料電池(PE(M)FC, Polymer Electrolyte (Membrane) Fuel Cell)は、イオン交換膜を挟んで、正極に酸化剤を、負極に還元剤(燃料)を供給することにより発電する。イオン交換膜としてナフィオンなどのプロトン交換膜を用いた場合は、プロトン交換膜燃料電池(PEMFC, Proton Exchange Membrane Fuel Cell)とも呼ばれる。水素を燃料に用いる場合では、触媒に高価な白金を使用して、30-40%程の比較的低い発電効率で発電する。起動が早く、運転温度も80-100℃と低い。実用化が最も進んでいるが、発電効率が低いため、小型用途での発電使用が想定されている。触媒として使用される白金の使用量を減らすことと、電解質として使用されるフッ素系イオン交換樹脂の耐久性の向上とコストが今後普及の課題である。室温動作と小型軽量化が可能であるため、携帯機器、燃料電池自動車などへの応用が期待されている。<o:p></o:p>

 

りん酸形燃料電池 (PAFC)<o:p></o:p>

 

りん酸形燃料電池(PAFC, Phosphoric Acid Fuel Cell)は、電解質としてリン酸H3PO4)水溶液をセパレーターに含浸させて用いる。動作温度は200℃程度で、発電効率は、約40%LHV。固体高分子形燃料電池と同様に白金を触媒としているため、燃料中に一酸化炭素が存在すると触媒の白金が劣化する。従って、天然ガスなどを燃料とする場合は、あらかじめ水蒸気改質・一酸化炭素変成反応により一酸化炭素濃度が1%程度の水素をつくり、電池本体に供給する必要がある。工場、ビルなどの需要設備に設置するオンサイト型コジェネレーションシステムとして100/200kW級パッケージの市場投入がなされ、すでに商用機にて4万時間以上の運転寿命(スタック・改質器無交換)を達成している。

 

溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC)<o:p></o:p>

 

溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC, Molten Carbonate Fuel Cell)は、水素イオン(H+)の代わりに炭酸イオン(CO32-)を用い、溶融した炭酸塩(炭酸リチウム炭酸カリウムなど)を電解質として、セパレーターに含浸させて用いる。そのため、水素に限らず -->